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希望の光20
「佐渡よ、気負うな。お前は肝心なところで勘違いしている」
有働は震える政直の肩に手を当てた。
「もしも、お前さんたった一人のために人類を助けるんだとしたら、それは確かにバカ過ぎる判断さ。
だがな、こいつは、そういう話じゃないんだ。お前の思うよりずっと、こいつらは人類を舐め腐ってやがるんだ」
しゃがみ込んだ有働は、幼い子供の姿をしたものを見つめた。こう見えて、元々この男は子供好きだ。彼自身を含めた大人の汚さをさんざん目の当たりにしてきただけに、子供の純粋さを貴重で愛おしく想っている。
しかし…いや、だからこそ有働はメッセンジャーを憎むのだ。純粋な子供を装った、その実体といえば夥しい数の無実な子供を屠ってきた憎むべき敵の尖兵であるこの未確認生命体を、いくら憎んでも憎みきれないのだ。
子供の姿をしたものを傷つけさせ、罪悪感を錯覚させた恨みに身を焦がしているのだ。
「こいつらからしたら、人類をぶちのめす手はいつだって打てるんだ。今回のことを教訓に人間が改心すりゃ上等、まだクズっぷりが直らないようなら機を見てまた潰す手を打ちゃいいぐらいに思ってやがるのさ。
だから、お前さんに免じてこの場は手打ちに済ましてやろうなんて、甘ったれたことを考えていられるのさ……」




