107/122
希望の光19
「お前も母ちゃんも、甘々過ぎるんだよ!何で、一人だけOKだったら全部OKにしちまうんだよ!軽率過ぎるだろそんなの!
クズの方が明らかに多いの、明らかじゃねえか!オレだったら、オレだったら、オレだったら……!」
政直はすんでのところで幼気な子供の首を締め上げるところだった。
だが、その手は再び、力なくうなだれて両肩からぶら下がった。
「オレだったら…たかだか一匹のことなんて見なかったことにして……」
政直にそこから先は言えなかった。
嗚咽に負けて、言葉を途切れさせてしまった。
政直は敗北したのだ。
重圧に敗北したのだ。
たかだか自分一人の存在が人類の運命を決めてしまうという事実に、耐えきれずに押しつぶされてしまったのだ。
あわや狂乱かというところで、政直は幸いにも手を止めた。
メッセンジャーを力任せにくびり殺すことはしなかった。
それが彼の生来の小心さによるものか、理性の抑制の賜物か、むしろ本能が人の姿をしたものの殺害を躊躇わせたのか……
それは誰にもわからなかった。




