104/122
希望の光16
『おしえてくれるのかい』
政直は愚問を返した。教えるつもりがないと判断したとしたら、わざわざ話題にも出さないだろう。
なぜメッセンジャーがそう判断したのかがわからなくて、つい聞いた。
『おにいちゃんがいるから』
メッセンジャーの意外性に満ちた受け答えには、だいぶ慣れたつもりでいた。だが、この回答には政直は酷く驚かされた。
人類が生きるべきか死ぬべきか
これは一般的に考えられるより、遥かに重厚なテーマだ。
人がこのテーマについて語った場合、答えは決まりきっている。人類は生きるべきと答えられるに決まっている。なぜなら、このテーマについて語るものが人間しかいないからだ。いかなる遠回りをしようとも、いずれは人間の都合の良い論理展開がなされ、最終的な回答は予定調和通りに初めから決められた結論に導かれる。
人間の存在が地球と相反する悪であるとする意見は、どんなに理にかなった正しいことが語られたとしても絶対に受け入れられないだろう。裁判官だけでなく、弁護士も公聴人も全て人間なわけだから、人間に都合が悪い判決が下るはずがない。
政直だって綺麗事を並べ立てた末に、結局のところは人と自然が共存していくことを前提にものを考えてしまう。




