第二話「朝のルーティン」
「大変恐れ多いのですが…」
「言うてみよ。」
部下は、2980円の椅子に鎮座する主の重圧におびえたまま口を開いた。
「プールでは人間のだしはとれないのでは…」
「……」
まったくそんなことか。
だしの取り方というものすら知らぬとは、
全く滑稽なものだ。
「ふ、そんなことか。」
「まさか、すでに対策を」
まさか知らなかったのか、こやつ
「対策?そんな物は必要ない」
まだ、わかっていないのか仕方がない。
「全く、我を誰だと思っているのだ」
毎朝、昆布とかつお節を小一時間ほど水に浸している間に
Gメール(地獄メール)、昨日の管理施設ごとの報告確認
15分ほどの朝風呂、荒ぶる髪の調整
その日着る制服のアイロンがけを
スピーディーに実行しきるもの、それが我だ。
だが、ここからが大切だ。
浸しておいた水を鍋で沸騰させ、
豆腐、ネギ、大根(今朝の場合)を入れ
味噌で味を調整してつくるあの味噌汁。
あれがおいしくておいしくてたまらない、
人間の家庭ではずっとあれが毎日食べられる家庭があると聞く
朝から血族ともにあれを食すのはさぞ良いことだろうな。
我は最近「弁当」というものを知ったからな、
それで昼も味噌汁が飲めるのが今はたまらなくうれしいことだ……
我は人間世界の慣習などひとつも興味はない、そう断言…できる
※補足
施設の方もだしと同じ原理なので、プールとか関係ありません。
どこでもとれます。




