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序章 魔帝引退

 ライゼンが5つに分裂していた魔界を統一して、すでに百年の時が過ぎ去っていた。


 火、水、金、土、風の五つのエレメント、それぞれの頂点たる魔王が絶え間ない争いを繰り返していた時代はもう遠い過去である。


 ライゼンが圧倒的な力を持って君臨することにより、良くも悪くも魔界という世界に秩序がもたらされた。


 秩序は世界が創生されて以来初めてとなる魔界に発展をもたらした。


 だが、魔界という本質自体は、なんら変わることはない。


 その本質は闇でありカオス。ただ、魔帝ライゼンという圧倒的な力がその本質を異質な物へと捻じ曲げているだけのことだ。


 そして、その影響を最も強く受けているのは、五人の魔王であった。


 火のエレメントを極し魔王イフ。


 水のエレメントを極し魔王ウイ。


 金のエレメントを極し魔王エレ。


 土のエレメントを極し魔王ドル。


 風のエレメントを極し魔王シル。


 この五人の魔王は、それぞれの国を持ち、圧倒的力を持って君臨していたが、ライゼンただ一人によって蹂躙され膝を屈した。


 それ以来、ライゼンに絶対の忠誠を誓い、魔界に秩序をもたらすための礎石となった。


 だが、それでもなお、魔界の本質は混沌である。


 常に反乱の芽は芽吹き続け、その度にそれぞれの国を統治する五人の魔王によってねじ伏せられている。


 だが皮肉なことに、秩序によって発達した魔法技術は、魔界から地上界へともたらされ地上界での混乱をもたらすことになってしまった。


 その余波が魔界にも波及して、魔界の秩序を乱す原因となっている。


 魔界の力を求める地上界の者共と手を組み、欲望を満たそうとする者や反乱を企てる者が近年になって急増している。


 長く続きすぎた魔界の秩序が地上界との格差逆転現象を生み、今や地上界より魔界の方が裕福で暮らしやすい世界へと変えてしまっていた。


 かつて、地上界への侵攻を頻繁に繰り返していた魔王国に、もう侵攻する理由は存在しなくなっていた。


 その逆に、地上界に存在する各王国には魔界侵攻するための動機が年々増している。


 この状況の中、とてつもない衝撃を魔界全土を襲った。


 突然、魔帝ライゼンが引退を表明したのである。


 理由は告ず、いきなりの表明であった。


 これによって、再び魔界が混沌の世界へと逆戻りしてしまうかのように思えたが、現実には魔界にさざなみ一つ立たなかった。


 というのも、五人の魔王はそれまでも魔界全土に及ぶような決定事項は魔王議会を開き、公論を持って決定することを魔帝ライゼンが義務付けていたためである。


 そして、この議場で決定されたことに魔帝ライゼンが口を出すことはほとんどなかった。


 よって、魔帝ライゼンが引退したとしても、五人の魔王の間に争いが起きることはなかったのである。


 そして、五人の魔王が治めている以上、5つの魔王国に混乱など起きようはずもない。


 それに、ライゼンが魔帝をやめたとしても、ライゼンが居なくなったわけではない。


 そのことを、世界が思い知ることになるのは、まだ先の話である。




 第序章 魔帝引退 < 了 >


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