第45話:ごき〇り
街の西側の門を出て歩いていく。
最初は戦場痕があったが、進んで行くにつれて草原が広がっていく。なんか懐かしい風景だ。この世界に来たばかりの頃を思い出す。
道があったと思われるところは草が生えており、皮肉なことに敵の足跡を辿って砦へと向かうことになった。
「砦までどのくらいの距離があるのかな~?」
「あの地図だと距離がよくわからなかったですよね」
あたしの問いに梓ちゃんが苦笑いをしつつ反応してくれた。
歩けど歩けどそれらしきものは見えてこない。同じ心境なのか佳那子ちゃんが代弁してくれた。
「なあ、ほんまにこっちであってるんか? 何も見えてこないやんか」
「こっちで合ってるよ。実際に敵のロボットの足跡も大量にあるだろうが」
まあ確かに足跡はあるが、なかなか辿り着かないと心配になる。
隣町くらいに行く気分であったが、実際はもっと距離があり、実は日本の北海道から九州に行くぐらいの距離なのかもしれない。そう思うとナグモさんに見せられた地図にモヤモヤして八つ当たりをしたくなる。
「暇はさせてくれないみたいですよ。敵が索敵レーダーに入りました!」
梓ちゃんの声に全員が反応して身構える。あたしは片手剣を抜刀する。だが梓ちゃんの続く声に気抜けする。
「あ、あれ? 敵は一体だけみたいです」
気が抜けて敵の来る方向をみんなで眺めていると、敵がだんだんと近づいてくる。シルエットが見えてくると全員が青ざめていく。
間近まで来た途端に全員が悲鳴を上げた。
「「「ぎゃぁぁぁぁ! ゴキブリ!」」」
今までのロボットのようなゴキブリなら構わないよ? でもね、無駄に解像度の高いゴキブリはやめて貰いたいかな? 凄いリアルなんだけど。しかもそのまま巨大化させた状態。
「佳那子ちゃん任した!」
あたしの知る佳那子ちゃんなら行けるだろうと思い、パスを出した。
「いやだよ! うちだってこんなデカいの叩くの気持ち悪いわ。機械の部品じゃなくて有機物の液体とかが飛び出しそうなクオリティやん! 綾乃頼む」
「なんでわたくしですの?」
「お嬢様だからゴキブリなんてみたことないやろ? 平気平気」
「わたくしだってゴキブリくらいみたことありますわよ! 恭子さんお願いします!」
「あたいだってやだよ!」
「キャノン砲とバズーカ砲を全弾撃ち込めば吹き飛ばせるでしょう」
「その爆発の勢いで気持ち悪い汁でも飛んできそうじゃんか! 真夕! なんとか頼む!」
「私だっていやですよ!」
「おまえは学級委員長なんだろ? 頑張れ学級委員長!」
「学級委員長は雑用係ではありません!」
ギャーギャーと揉めているところに、パスっと音がした。そしてそれは頭部に命中。ゴキブリは動かなくなった。
みんなで梓ちゃんを尊敬のまなざしで見つめる。
「梓ちゃん凄い!」
「「梓、すげー!」」
「「梓さん凄いです!」」
全員で梓ちゃんを胴上げした。なんか全員安堵感とその興奮状態でわけわからずにはしゃいだ。




