表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/63

第4話:初の戦闘

 街を探しつつ歩く。なかなか見つからずに疲れてきた。日も沈んできてそろそろ夕日になりそうだ。あたしは弱音を吐く。


「委員長~、そろそろ疲れて来たよ。休憩にしようよ」

「疲れはエネルギー不足ですね。そろそろ敵を倒したい所です」

「エネルギー不足? 敵を倒すのとどう関係があるのです?」


 二条さんが質問をした。確かにエネルギー不足ってなんだ? メカ少女はエネルギーがいるのか?


「敵を倒すとレーションが手に入ります。それがエネルギーとなります」

「うへ、レーションって美味しくなさそうやな」


 佳那子ちゃんの意見に同感である。そこへおずおずと芹澤さんが手を上げて質問をした。


「あ、あの……エネルギーが完全になくなると死んでしまうというか、機能停止とかになるんですか?」


 深刻な顔で委員長が答える。


「死にはしないけど機能停止にはなります。機能停止になった場合は蘇生処置を外部から受けないといけません。その蘇生処置をするアイテムも敵から入手します。なので早く敵に遭遇しないと……」


 そこに酔ってはいない酔っ払い幼女が声をかけて来た。


「おい! あそこに見えるのが噂の敵じゃないか?」


 その言葉に全員が反応して視線を移す。

 確かに何かロボットのような物が見える。八本足の昆虫のようなシルエットに見える。それが三匹。いや三体というべきか?

 六人で集まり、気づかれないように小声で相談する。


「敵は三体いるから二人ずつ組んでそれぞれ倒しましょう」


 有森さんが仕切る。流石学級委員長。


「えーっと? じゃあ、どう分かれようか?」

「はい! あたし、佳那子ちゃんと組む」

「うちもそれがいい!」

「まあ、二人はいつも一緒だからそれがいいかもですね。じゃあ芹澤さんは私と組んで、二条さんは脇坂さんと組むということでどうですか?」

「ええ、それでよろしくてよ」

「ああ、いいよ」

「ひぃっ! やっぱり戦うのですか? ……よろしくお願いします」


 早速、正面と左右にそれぞれ分かれて敵にこっそりと近づく。

 敵が気づくと上手い具合に三体がそれぞれのペアの方に分かれてくれた。これで乱戦になるということは回避された。

 接近すると敵の姿を目視出来た。どうやら蜘蛛型のロボットのようである。

 武器がないので殴る蹴るぐらいしか出来ない。とりあえず殴りかかる。これが本物の蜘蛛で人ぐらいに大きかったら気持ち悪くて殴れないが、幸い相手はロボットである。気持ち悪さはない。

 殴りかかるも避けられる。実際の蜘蛛の俊敏さを持っているようだ。

佳那子ちゃんと意思疎通をして、敵を攻撃できる位置に追い込む。考えて行っているのではなく、佳那子ちゃんがどう動くかがなんとなくわかる。日頃一緒に行動することが多かったおかげであろう。

 蜘蛛型ロボットの脚を蹴ることが出来た。そのことにより敵のスピードは落ちた。

 あとは二人で取り囲み、脚をまず狙って更に機動力を奪った。脚なので殴るより蹴りである。敵の脚を蹴りまくった。

 ほぼ動けなくなったところで、胴体や頭をタコ殴りにした。敵は機能を停止したのか八つの眼の光が消えた。


「倒せたのかな? これって?」

「そうみたいやな。なんかドロップアイテムが手に入ったで」


 そう言われた途端にあたしの方にもドロップアイテムメッセージが現れた。脳内にだけど。

 ドロップアイテムも気になるけど、他の二体の敵が気になり、そちらの方に目を向ける。

 二条さんと脇坂さんは既に倒している。早い!

 有森さんと芹澤さんはまだ戦っている。だがもうすぐ倒せそうな雰囲気ではある。あたしが手伝いに行こうと身体を動かしたとき、佳那子ちゃんが手であたしの行く手を遮り制止する。


「待ちいや。あの二人にやらせとき」

「なんで助けないの?」

「あの二人の為にならないからや。この先、戦いは起こるやろうな。今は敵の数が少ないけど、たくさんの敵が現れたときに臆したら、場合によっては二人が死ぬかもしれない。敵の数が少ない今のうちに戦うことに慣れていた方がいいってことや」


 なるほどと納得する反面、助けてはいけないと言われたようでちょっともやもやする。だが佳那子ちゃんの言っていることは正しい。これから何があるか分からない。最低限、自分の身は自分で守れるようにならなければいけない。

 ようやく最後の敵も倒された。あたしはせめてもの労いとして駆け寄り、ハイタッチをした。


「イエ~イ! みんな勝利したね!」

「そうですね。なんとか戦えましたね」


 そんなことを話していたら、佳那子ちゃんが二条さんたちに質問した。


「二条さんと脇坂さんはなんであんなに早く敵を倒せたんや?」


 二条さんと脇坂さんは顔を合わせる。脇坂さんは手を差し伸べて後ろに下がり二条さんに説明役を丸投げした。


「敵が遅いから攻撃を当て放題だっただけですわよ?」

「敵が遅い? 結構な速さだったんやけど?」


 話がまとまらないと判断したのか、援護するように脇坂さんが二条さんの後ろからひょこりと顔を出して答える。


「あたいにも速く見えたよ。でも、それ以上に速い速度で綾乃が戦ってた」

「私と芹澤さんの敵も速かったです。ひょっとしたら二条さんのスキルが関係しているのかも?」

「スキルですか……流石わたくしの選んだスキルですわね」


 二条さんがドヤ顔になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ