第36話:朝食
暗闇を打ち消すように日が昇ってきた。任務時間の六時間が経過して、交代のために部屋に戻った。
部屋に戻ると四人とも寝ている。うっかり綾乃ちゃんを起こすと怖いので、そっと佳那子ちゃんと真夕ちゃんを揺り起こす。
「佳那子ちゃん交代の時間だよ」
すると突然目を開けてかばっと上体を起こす。何度も見てもこの光景は驚く。佳那子ちゃんは寝起きが良い。
直ぐに思考を切り替えて返事をする。
「お疲れ! 朝か? おはよう!」
「う~ん」
佳那子ちゃんの声のデカさに綾乃ちゃんが起きそうになっている。慌てて私は人差し指を口元に持っていき、シーっと合図する。
真夕ちゃんの方は梓ちゃんが起こしている。視線を向けると真夕ちゃんは気怠そうだ。これが普通で佳那子ちゃんの起きたてのテンションはおかしいと毎度ながらに思う。そして私も再びベッドに潜り込んだ。
「か……さん、花鈴さん。朝食の時間ですわよ」
「う~ん、もうちょい……」
「駄目ですわよ。起きて朝食をとらないと、料理を準備してくれた人に申し訳ないじゃないですか」
綾乃ちゃんにそう言われて欠伸をしつつ、もぞもぞと布団から起き上がる。綾乃ちゃんを起こさないようにしてあげたのに、あたしを寝かせておいてあげようという優しさはないのかね? などと思ったが口には出さない。まあ綾乃ちゃんの言うこともわからなくもないから。せっかくの料理が冷めちゃうしね。まあ食べそびれてもレーションを食べればいいだけなんだけど。エネルギー補給もレーションの方が効率的だし。限りある食料だし、あたしたちがレーションを食べて、一般市民に食料を少しでも配布してあげた方がいい気もするけど、ナグモさんなりのギブアンドテイクという感じで、きちんと線引きしたいのであろう。
昨日と同じ部屋で食事をとるようだ。ナグモさんも席についている。
「おはよう。夜の状況はどうだった?」
朝っぱらから仕事の話を持ち出された。とりあえず食後にしない? と思うが、ギブアンドテイクということを考えると報告せざる負えない。そんなことを考えていると綾乃ちゃんが説明をする。
「わたくしたちの時間帯は、敵の数は前回と同じくらい来てました。装備は少し強化されましたわ。砦の奪還にどれくらいの強化が必要かは分かりませんが、この調子なら十日ほどくらいでいけるのではないかと思いますわ」
綾乃ちゃんに説明を任せて、恭子ちゃんは既にガツガツと食べている。
「花鈴さんと梓さんの方は?」
急に話を振られた。
「え、えっと、あたしたちの方も昨日と同じくらい。ただ、初めて見るハサミ虫型のロボットがいたね。あたしも梓ちゃんも装備の強化というよりも、連絡系統の強化という感じで通信機200の設計図が出たよ」
「は、はい。そんな感じです」
梓ちゃんもなにか発言しないとと思ったのか頷いた。
「え? 通信機200? わたくしだけまだ出てない?」
綾乃ちゃんのスプーンを持つ手が震えている。スプーンがお皿にカタカタと辺り、嫌な予感しかない。
そんな予感は的中して、綾乃ちゃんが恨みがましくあたしたちを見る。いや……あたしたちを恨まれてもこれはリアルラック問題だから……。
慌てて話題を変える。
「そ、そうだ! 佳那子ちゃんと真夕ちゃんが任務中はあたしたちは自由行動だよね? 街中を散策してみない?」
その言葉に気がそれたのか、綾乃ちゃんが興味深そうに喰いついてきた。綾乃ちゃんはナグモさんの方を振り向く。
「そうですわね。ナグモさん、それでよろしいですか? それとも警備するべきですか?」
「その辺はおまえさんたちのやりやすいようにやってくれて構わない。こちらが求めるのは結果のみだ」
話もついたし食後に街中を散策することにした。




