第22話:メイドのセシリー
コンコンと突然扉をノックする音がした。
「「「はぁ~い」」」
「失礼します」
メイドさんが入ってきた。
「私はみなさまの身の回りのお世話をする、セシリーと申します。臨時ではありますがよろしくお願い致します」
丁寧にぺこりと頭を下げた。その様子につられてこちらもぺこりと頭を下げる。そして私たちを見た。
「……あの……お風呂に入られて着替えますか? 皆さんが全員一緒に入れる大きさのお風呂はありますので」
「ぜひ、入らせて下さいませ! 真夕さんと梓さんも入りたいですわよね?」
綾乃ちゃんがシュバっと手を上げた。しかも池に轢きづり込まれた二人にも同意を求めている……というか、間接的に池に引きずり込んだあたしたちを責めているのかもしれない。余程現状が嫌なんだろうな~。そこに異議がある真夕ちゃんも手を上げる。
「ち、ちょっと待って下さい。全員で入るわけにはいかないですよ」
「なぜですか?」
浮かれていた綾乃ちゃんがちょっと怪訝そうな顔をしている。
「全員でお風呂に入ったら、その間に敵が来たらどうするんですか? せめて三人ずつ交代で入るべきですよ」
「そうですわね。わたくしとしたことが、ちょっと浮かれていましたわ」
あたしから見た感じ、ちょっとどころではない。だが、刑が重くならないように黙秘しておく。綾乃ちゃんはあたしたちを一通り見て言う。
「花鈴さん、佳那子さん、恭子さん、あなたたち三人はわたくしたちの後から入るということで」
うん、分かるよ、その理由。綾乃ちゃんたち三人はパンツが濡れて、乾いたとはいえ履き心地は悪いだろうしね。でも、睨み付けるように言うのはやめて欲しいかな……恐いから。
三人はウキウキしつつ、セシリーさんについて行った。あたしたちは閉ざされた扉を見つめる。
「はぁ~、意外と根に持ってるな? 単なる戯れやん」
「だよね~?」
「別にそんなに気にならんだろう?」
あたしと佳那子ちゃんは自分がしたことを棚に上げて、恭子ちゃんをジト目で見る。最初に綾乃ちゃんと真夕ちゃんを引きずり込んだのは貴女です……。でもまあ、お風呂に入ればそのまんまの表現で水に流してくれるだろう。いやお湯か。
しばらくすると、扉が勢いよく開いた。先ほどのメイドのセシリーさんだ。
「敵が現われました!」
「え? 警鐘聞こえなかったけど?」
「この屋敷内では聞けないのですよ。いつも交代で誰かが外で警鐘が聞こえるように待機しているんです」
「ほんならいくで!」
「よっしゃ!」
「うん」
あたしたちは慌てて部屋を飛び出す。流石に綾乃ちゃんたちを呼んでいる余裕はないし、あたしたちで対応しないとまた何を言われるか分からない。




