第15話:警鐘
ナグモさんが立ち上がり、その勢いで椅子が倒れる。
「噂をしたらやつらが来やがったぜ!」
「あのロボットたちですか?」
「ああ、今の警鐘が敵が攻めてきた合図だ」
「じゃあ、あたしたちの実力を見せるよ! ちゃんと見ててね。あっ! パンツは見ちゃだめだよ」
あたしはスカートを抑えつつ釘を刺す。
「ああ……っていうか、その恰好で戦われたらイヤでも目に入るわ!」
イヤとか言われると、それはそれで腑に落ちない。こちとらぴちぴちの女子高生だよ。
「とにかく行きましょう」
全員椅子から立ち上がり、先ほどの階段を駆け下りる。って思ったんだけど、気の早い二名様が、窓から飛び降りたよ。まあそのくらいできる身体能力があるのは、戦っていてわかっていたが。
「「お先に!」」
その言葉だけ残して、佳那子ちゃんと恭子ちゃんが飛び降りた窓から着地した。それに続いてあたしたちも窓から飛び降りる。華の女子高生どこ行った? やんちゃである。
先行した二人に追いつく。
「梓! 敵はどの方向から来てるんや?」
「え、えっと、三方向から来てます。かなりの数に街が囲まれていますね」
「ペアになりましょう。ではこの前と同じで、花鈴さんと佳那子さん、私と梓さん、綾乃さんと恭子さんで」
「「「ラジャ!」」」
真夕ちゃんが早口で補足注意事項を説明する。
「アイテムがドロップして設計図が出来上がったら、デュアルコアの片方を使って戦いながら製造してアイテムを使って下さい」
なるほど。戦闘しながらの強化か。やったことないけど理論的にはできそうだ。
それぞれ、梓ちゃんが示した方向へ向かう。大きな街なので、外に出るまでに多少時間がかかる。
鉄くずの壁の上を見ると、弓使いと魔法使いが応戦しているのが遠目から見えた。魔法はともかくとして、弓は駄目もとでやっているんだろうなぁと、なんか可哀そうになる。
そして、その応戦している人たちの所に辿り着く。
恭子ちゃんが助走をつけたままかがみ込み、一気にジャンプする。あたしもそれに続いて同じ行動を取る。
鉄くずの壁の上に辿り着き、辺りを見渡す。
「十体ってところやな」
佳那子ちゃんは両拳を叩き合わせてやる気満々である。
「まあ、負ける気はしないし、そもそも負けたらこの街がやられちゃうからそれは絶対だめだね」
鉄くずの壁から飛び降りて着地し、敵に向かって行った。
敵は相変わらず昆虫型のロボットである。ムカデにバッタ、カマキリに蜘蛛。初見の敵はバッタとカマキリか。
そんなことを考えていると、佳那子ちゃんが叫ぶ。
「カマキリは花鈴に頼むわ。あの鎌の鋭さは、うちにはちょっときついかもしれん」
なるほど、目には目を。刃には刃を。いや、実際は歯なんだけどさ……。
あたしは鞘から剣を引き抜く。そしてカマキリを先行して倒すことにした。恐らくこの中で一番危険そうなのはカマキリであろう。
そして戦おうとするとバッタが鉄くずの壁を飛び越えた。まああたしたちでもできるから、跳躍に優れたバッタなら当然できるよね。思いもしなかった事態に慌てる。
「花鈴! ごめん! やっぱひとまずここの敵を全部任せた! うちはあのバッタを先に倒してから戻ってくるわ」
「え~!」
そういうと佳那子ちゃんはバッタを追って行ってしまった。残された私はまるで首がぎぎぎと鳴るように敵の方を見た。バッタ一体が鉄くずの壁を飛び越えて行っただけで、他の九体は残っている。あたしが九体相手にするの? 佳那子ちゃん! 早く戻ってきてよね! 恨みがましく念じる。




