真相
痛い。頬が痛い。「やっと起きたか」修一が俺の頬を叩いていた。ライトで周囲を照らすと赤い部屋にいることがわかった。恐らく、あの生物の胃の中だろう。よかった、まずみんな無事だった。
「やはり、君たちは生き残った。選ばれし戦士よ」「大原さん、ちゃんと説明してください。」俺にはもう訳が分からなかった。一体、何が起こってるんだ。というか、これは、夢ではないのか。恐ろしいことに気が付いてしまったのではないか。確かに、カラスの大群に会って。その後、食われて。眠くもなったし、これはまさか現実なのか。理解をするのにそう時間は掛からなかった。体が一気に寒気づいた。
「やっと気付いたようだね。これは夢ではないよ。現実さ」修一が言う。
「・・・わかった。それは認める。だから、状況を今の俺にわかりやすく説明してくれ。」
「俺が話そう」鬼島が口を開く。
「僕らは、国に騙されているんだ。これは、水中探査なんかじゃない。僕たちは、奴らに操られた兵隊。」
「うーん。そうよね。間違ってないわ」と亜美。「国に騙されている?」
「そうだ。奴らの狙いは深いところにある。選ばれた僕たち四人は、桜と繋がっている。切れない縁だ。僕らには国が欲しがる力があるんだ」
「え、なんて。桜と繋がっている、力があるだって?」
「ああ、まず桜について話そう。桜は僕の先祖なんだ。君たちを巻き込んですまない」と衝撃的なことを話す鬼島。
「そういうこと。だから私たちが選ばれたってわけ。んまあ、所詮国の操り人形だけどね」
「ちょっと待ってくれ。鬼島。お前はわかるが、俺までが探査員になった理由はわからない」俺は、冷静に問う。鬼島は、うつむき、悲しそうな声で言った。「僕の親友だからだよ。」俺たちの間に気まずい沈黙が再び流れた。
「説明するには時間が掛かる。江戸時代に話を戻そう。」丁寧に説明してくれるようだ。「否定された水中都市は、本当はあった。幕府は裏で容認していた。桜を追放した後、幕府側の人間が都市を復活させることに成功したんだ。それが、よくなかったんだよ。」鬼島は落ち着いた声で話す。