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水中探査と君  作者: 大山 治郎
三章後半
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富士の山 登山Part2

「やっほー、やっほー」


日本一の山から響き渡る俺の声。山々を超え、一周回って返ってくる。イメージして欲しい。

 雲一つなく太陽が顔を出している晴天の夏。なのにふと、優しい風が肌に触れる。お腹一杯、満腹幸せ。眠いくらいだ。

登山仲間は美女ばっかり、皆んな笑顔で俺を応援してくれる。休暇に富士山に登る強者つわもの=俺。

イケメン、天才、金持ちの俺。しかも、彼女持ち。ファンクラブ持ち。俺は最強の人間だろう。



 なんてさ、何言ってるの?(笑)現実逃避も甚だしいよ。全部逆。真っ逆さま。 

 夏なのに何故か吹雪が襲ってくるし、風がガラスのように固く尖っていて痛い。少し食べたからお腹は逆に空いてきたし、ここ辛すぎ。登山仲間は誰もいない。俺一人。一人で富士山登ってるんだよ。美女などいない。俺は普通のゲーマー。彼女なんて年齢=なし。はい、負け組。

 ここまでの経緯を説明する。まず先程、龍三さんと一緒にいた。だけど龍三さん8合目でリタイアしてしまった。ベテランのはず。山頂まで来ると思っていた。「すまないねぇ、宗太君。ここで辞めておくよ。もう年でね」と言われた。あの時、二つの分かれ道の際、俺が右を選択した時、彼も来ると思った。思うはずだよ。だけど、「ここから先は一人で行きなさい」と告げられる。その件については、勿論拒否したし一緒に来て欲しいと頼んだけれど駄目だった。子供のように嫌だと駄々をこねたかったのだけれども、高校生の俺はカッコつけて

「任せください。龍三さんの分まで山頂まで辿り着きます」とか言ってしまったしもう後に引けない。そしたらこんな状況。絶望した。9号目まで来た途端、雲行きが怪しくなり雪が降ってきた。おかしな状況に巻き込まれる。そこからは身動きが取れないままここにずっといる。現場報告は以上。(はい、詰みました)


 さて、どうするものか。山頂までの道のりはわかった。スキーのストックを使って登ってきたのだが、さっき落としてしまった。どうするべきだろうか。そんなこんなで立ち往生してしてみる、右を見れば崖。左を見ても崖。戻る選択もあるのだが、ここは踏ん張りたい。再び進む選択をした。雪がだんだんと俺の体を冷やした。肌寒さを感じつつも進み続けなければならない。


「おっと、危ない」

 前方が崖になっていた。危なく落下する所だった。しかし見渡しても山頂までの道はここしかない。ジャンプをしてこの崖を飛び越えるしかない。重い腰を持ち上げ飛んだ。


「よし、着地。」

(俺は運動神経が良いな。ってあれ、待ってくれ)着地した瞬間、俺の予想と裏腹に地面が柔らかくなっていた。雪がふかふかだったのである。雪を見誤ってしまった。


「ズボン」と嫌な音と共に(俺はどんどんと落ちていく)止まらない。落下していく。

あー、止まらない。

俺はここで死ぬのだろうか。走馬灯が見えた。生まれてから小学校、中学校の思い出。遊んだ思い出。楽しかった思い出が脳裏を巡る。(俺はここで終わるのか)やはり、負け組なのか。全てを諦め、俺はゆっくりと目を閉じた。


お花畑が見える。長い眠りに着こうか。


「こっちだ」


「おーい。戻ってこい。君にはやるべき事があるだろう」

なんだ?声が聞こえる。聞き覚えのある声だ。随分と眠った気がするのだが。

俺は、声がする方へ歩いた。視界が明るくなっていく。

「おはよう。よく来たね」


「あなたは!」

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