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水中探査と君  作者: 大山 治郎
三章後半
17/20

葛藤

正午。12時に回った。

「そろそろ、行けるかね。宗太君」

「はい、行けます。」



「グーーッ。グーーッ」あれ、腹が鳴ってしまった。

「腹が減ったら戦はできぬ。ご飯にしよう」

龍三さんありがたい。本当はお腹が空いて力が出なかった。食料を持ってきていなかったため、我慢していたのである。

「いただきます。」龍三さん手作りの塩むすび。塩加減が絶妙に良い。塩分を欲しがっていた俺の唾液をごくり。最高に美味い。元気が出た。美味すぎる。おいしく、食に感謝しいただいた。


「今度こそは行けます。龍三さん先導よろしくお願いします」

「では、選択は君に。」

突如、龍三さんの顔から笑顔が消え真剣な眼差しで俺を見てきた。

「山頂までの近道があるのだけれど、そこから行くのはどうかね?」

「いいですよ。」俺は同意した。早く行けることに越したことはない。

「いいかね、宗太くん。一般的な道ではないんだ。危険が伴うよ。だけどね、君はこの道で行くべきだと思う」

「わかりました。」俺はとてつもない信頼をこの人にしている。だから、近道でいくことに賛同した。


 8合目から山頂までの道には、全ての登山者が通る一般ルートがある。このルートでないと山頂まで行くことは厳しい。現に、ベテランの登山者でも他の道から行くことは困難なようだ。

だが、今回そこからは、行かないのだ。この道長い龍三さんが開拓した新コース、未知のコースから進むことにした。冒険だということ。まあ、やってみよう。別に怖くなんかなかった。龍三さんへの信頼だ。


 休憩小屋の後ろに回る。ここが、新コースのようだ。進み始める。歩き始めて気がついたが、普通の山道だった。


(おっと、道が二つに分かれていた。)俺の直感的に左に行きたいと思った。見るからに左の道は楽そうだからだ。これも俺の感だ。果たしてどちらに行くべきか。

「宗太君、どちらに進みたい。」

「決まっているのではないのですか」

「ここまでは私が先導してきた。危険な道でも君は着いて来てくれた」

「はい、龍三さんの背中を見て登ってきました」

「いいかい。人生に道はいくつもある。その道を決めるのは自分自身なのだよ。この二つの分かれ道、どちらに進んでも山頂まで辿り着く。どちらかが良い道などない。君が思う方に進みなさい」龍三さんは、優しい声でそう言ってきた。さて、どうしたものか。直感的には左に行きたいのだが、あえて右に行ってみようか。これまでの人生。俺は人に流されてきたような気がする。ずっと、ずっと。楽な方や友達がいる方、簡単な道を歩いてきた。では、俺は。


 苦しい。一人は辛い。やめたい。楽したい。どうしてこんなにもついていないんだ。そんなことないよな。吹雪が俺を襲ってきた。夏のはずだよ。どうして。意味がわからない。と思ったら上から雪崩が落ちてきた。(危ない!)

 間一髪、避けることができた。はあー、やはり道を間違えたのだろか。直感に従えば良かった。どうして俺はいつもこうなんだろう。道を間違えてしまうのだろう。


 人に嫉妬してしまうのだろう。自分よりも上の人やキラキラ輝いている人、能力がある人を恨んでしまうのだろうか。自分と勝手に比べて俺はダメな人間だと自己嫌悪してしまう。落ち込んでしまう。ゲームをして、その、イライラを果たそうとするのだけれど、心のモヤモヤは消えない。なくならない。だから、今回こそは。絶対に。俺は変わりたい。大きな人間になりたい。成長したい。だから、俺の為に頂上まで行くのかな。鬼島の為なのかな。いや、俺の為。鬼島の為。

俺たちの為である。


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