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水中探査と君  作者: 大山 治郎
三章後半
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富士の山 登山Part1

 富士山に到着、早速登ろう。仙人がいると聞いている。登山と言ってもできる場所とできない場所がある。険しい道もあるだろうし、落雪に注意しなければならない。第一、仙人がいる山が富士山なのかは確信できない。だが、俺は今朝見た夢を信じることにした。この山に水中トンネル建設に向けての重要キーパーソンがいることを信じよう。その仙人探しの為登らなければならない。

 一般道から登ってみよう、と思ったのだが、もう昼時だ。今から登ってもすぐ日が暮れてしまう。また、服装も登山着ではない。だから、やめることにした。明日の早朝に立つことにしよう。近くに旅館があったので泊まることにした。

 登山道付近にそびえ立つ旅館。ここに泊まる。

女将が案内してくれた。年季が入っていて、古風の中に新鮮さがあって趣きがあるといった感じだ。俺の部屋は三階で畳の部屋、和室であった。

「お客さん、どこから来られたんですか」

「旅の者で、東京から来ました」女将さんは愛想よく話しかけてくれる。

「遠くからありがとうございます。温泉もありますからお疲れをお取りください」ここの温泉が有名だとネットで見たことがあった。後で行ってみるか。和の部屋は落ち着く。多くの非現実的な出来事に疲れていた俺にとって、ささやかな安らぎであった。


「あー、生き返るー」クタクタの身体に温かいお湯は、最高である。外の露天風呂からは富士山が見える。神々しい。やはり、日本一の山、富士山は素晴らしい。言葉では説明できない。

湯船に浸かっていると

「お兄ちゃん、富士山に登るのかい」とお爺さんが話しかけてきた。

「はい、明日の早朝に登る予定です」

「兄ちゃん、若いのにたくましいなぁ。山頂まで行くのかい」

「その予定です」

「私もその予定だよ、何かの縁だ。一緒に登らないか。こんな年齢だけど富士山には詳しくてねぇ。何十回も登っているんだよ」このお爺さんは、登山が趣味で富士山にも登るスペシャリストなのだそうだ。優しい微笑みから数々の困難を乗り越えて来たであろう強さが垣間見えた。俺はこの人と登ってみることにした。

その後、俺とお爺さんは話し続け、世間話もして盛り上がった。第一、初心者が一人で富士山を登るなんて無謀過ぎる。俺は彼との出会いに感謝した。


 翌朝、5時に起床。天気は晴れ。雲一つない晴天。朝食を摂り、登山着に着替え宿を後にした。もう、昨夜のお爺さんは来ていた。  


午前6時半。

「おはようございます。本日はよろしくお願いします。」

「宗太君、おはようさん。では、登りましょう。」登山がスタートした。このお爺さんは龍三りゅうぞうさんという。小石が転がってあり、少し残雪が残っていた。俺は龍三さんの後を必死に着いていった。ベテランなだけあって、足取りは軽やかだ。他の登山客も数多くいて、外国人もちらほらいる。会うたびに挨拶を交わす。皆んな笑顔で挨拶をしてくれる。俺は頑張れる気になれた。登り始めて最初の30分がきつかった。乳酸が溜まっているような感覚で疲労と汗が出る。まだ全然進んでいないらしい。心が折れそうである。山頂に着くことができるのだろうか。ただ、山頂に着くことがゴールではないのだ。仙人に会うことがゴールだ。そこを間違えてはならない。山頂に何か手掛かりがあるのではないかと思っているだけだ。龍三さんとの出会いに感謝し、ここは踏ん張る。

「休憩しましょう」始まってから2時間程経過して休憩をした。見ると、7合目まで来ていた。5合目からのスタートだったので、良いペースだとのことだ。少し休憩をした後、再び登山が始まった。時折、吹く風が頬を痛める。冷たいのだ。エネルギーは充分。淡々と登り続ける。俺は龍三さんと二人きりのチームだった。龍三さんと命綱を付けて登っている。流石なベテランということもあり、初心者の俺が何一つ不安なく登れている。


 午前11時。龍三さんがペースが少し落としてくれて、八合目まで到着した。他の登山客も数十名いた。

「長めの休憩をしよう」

「わかりました。 いやぁー。しかし、眺めが凄いですね。日本中を見渡せるような気がします」

「そうだね。登山は楽しいだろう?」確かに楽しかった。コツコツと一歩一歩進んでいる感覚が良かった。(美味い!)山の上で飲むコーヒーは格別だった。

龍三さんと他愛のない話をしていると、興味深い話題が出てきた。

「宗太君、自然には神様が宿っているんだよ。だから、自然に優しく、誰にでも感謝の心を持てる人間がここぞという時、見えない力が助けてくれる。だから、君もそういう人間になりなさい。ここの山にもいるだろうね。」はい、俺はそういう人間になります。この人の話は深いものだった。








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