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水中探査と君  作者: 大山 治郎
三章前半
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決意

 鬼島が宮殿に触れると水が一気に噴き出し、そこに真空状態ができた。その空間だけ見えない何かに包まれた。もはや家だ。扉があり、中に入った。

「大きな博物館のようね」

「どちらかと言えば、秘密基地っぽくないか」

「それもそうね。ここに来たのはなにか目的があるからよね。」亜美は目をキラキラ輝かせている。大原が「水中トンネルを作る」と言った。

「国を錯乱させるためだわ」

「理由はそれだけですか」

「水中都市を閉鎖させるためにも必要なの」

「どうして、閉鎖させるんですか。というか、今も水中都市は動いているんですか」

「そうよ、このままだと時空が壊れて元に戻らなくなるの」修一が「その通りだ。国の狙いはこの時間を操ることだ。満月の日に時空が歪む」水中都市のどこかに時間空間を操作できる場所があり、そこを国が狙っている。俺たちは、国の企みを阻止しなければならない。そこでなぜ鬼島や大原、仕舞いには修一までもが、国の企みを知っているのかという疑問が生まれる。

「なぜ、あなた方はそれを知っていたんですか」鬼島が答える、「僕は代々家で保管されている桜の日記で知っていたんだ」桜の家系であることから鬼島の答弁はわかった。では、大原と修一までもが知っているのは何故だ。俺は、二人に問いただす。

「私は、国の傍で三年間働いていたわ。そこで聞いたのよ」と大原は言う。鬼島家の人間が重大なこの秘密を他言するだろうか。俺は、この大原という女を疑いの目で国を見た。もしやこの女は国から送られたスパイなのではないか。ただ、この推測では鬼島との関係についての矛盾が生じる。鬼島家の人間と大原が、この極秘事項を共有していると考えると怪しくはないのかもしれない。鬼島は信頼できる人間だ。約束を破ったことは一度もない。そんな鬼島が、大原を嫌悪しないのだとすると、この女への疑いの目は多少和らぐ。俺は、鬼島を一人だけ呼び出し、その場から離れたところで問う。大原は国のスパイではないか、と。「そんなことはないよ。大原さんは僕の親戚だから。」

「本当か」

「ああ、本当だとも。僕の従妹にあたる」ここで大原への疑いは解けた。大原は国に接近し、そこで懸命に働き、信頼を得てこの極秘任務の担当に付いたそうだ。もちろん、このことは他言禁止であり、破ってしまえば死刑になるようである。国は盗聴器を大原に渡し、一日中監視しているとのことだ。「では、大原さんの身が危険なのではないか」生じる疑問である。「その心配はないよ。彼女の特殊能力がそれを阻止している。」と鬼島はほっとさせてくれる良いニュースを提供してくれた。よかった、これで辻褄が合う。だが、侮れない。疑いたくはないが、修一の件についても触れなければならない。ここはきっちりと確認しなければならない。俺は修一との関係性について続けて聞いた。

「宗太、修一が、海外から引っ越して来たと話していたのを覚えている?」

「ああ、そんなことも言っていたなあ、それがどうしたって言うんだ?」そう、これは小学生の頃に聞いていたことだった。確か、イタリアのナポリから引っ越してきたと話していたことを思い出した。「修一が引っ越して来た理由、言ったっけ。」詳しくは聞いていなかった。一回、修一に聞いたことがある。親の都合とのことだったのは覚えている。「六歳の時、修一だけ日本に行かせることになったんだよ。でも、親の仕事の関係でどうしても駄目だったから、おばあちゃんの家に居候しに来たんだけど」ここで新たな事実が発覚する。 

「近所に大原さんがいたから、そこで交流があった。」とのことである。なるほど、そこの関連だったのか。

「ある時、僕の家に遊び来た。それで、何故か鬼島家の秘密を知っていたのさ。」

「そんなことあるのかよ。普通ないだろ」

「これも後に分かったことなんだけど、鬼島家以外の能力者は、同胞に近づくとわかるらしいんだよね」

「へー、そうなんだ」俺は分からなかったが。そうらしい。

「でも、気づけるのは・・・頭が良くないといけない。」と言う。ほう、つまり、俺と亜美は馬鹿だから同胞の存在に気が付けなかったということか。修一が鬼島家の秘密を知ったのは、ただただ頭が良いからという結論だ。そのあと、腹を割って話し合った結果、秘密を共有したそうである。

失われかけた希望が蘇る。国家からの任務に背き、水中トンネルを築き上げることで、国が裏で紐を引くこの世界を守る。明らかになる鬼島と桜の関係。俺が鬼島との交友関係があったことに後悔はない。課せられた水中都市を滅亡させ、時空間を閉じるという壮大なストーリーを完結させることができるのか。俺は、静かなヒーローになり、潔白な日本を取り戻すのだ!

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