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水中探査と君  作者: 大山 治郎
三章前半
10/20

共通点

 過去を回想すると、ふとある共通点が浮かび上がった。四人は、幼稚園からずっと一緒だったのだ。修一とは特別仲が良かったわけではない。だが確かに、ずっと同じクラスにいた。進路も全員同じだったのだ。今まで違和感を抱かなかった俺は馬鹿なのか。そこに今日の伏線があったとは思いつきやしない。亜美は冷静ではいられなかったようである。まあ、無理もない。自分が持つ特殊能力は何だと鬼島を急かす。     

「わかった、今から君たちの特殊能力を発表しよう」

なんだか 、ドキドキの発表形式だ。現実とわかったが俺は、主人公補正が付いた最強の能力に違いない。


「では、発表するよ。修一は設計力。どこにいても素晴らしい建設ができる。亜美は光力を持っている。必要な時に辺りが照らされる能力だよ。」おお、二人ともぱっとしない能力だなあ。俺は、きっとすごい能力のはずだ。


「二人ともすごい能力だね。それで、俺のは?」一応だが二人に賛美を送り、自分のチートクラスの能力を期待した。「ああ、宗太の特殊能力は・・・」と鬼島が言いかけた時突如、俺らが居るところが地震のように揺れた。「ガタガタガタガタ」と。次第に揺れが収まり、再び答えを聞き出そうとしたが、「ザブン」と今度は大きな音が鳴った。何故か胸騒ぎがする。

 一瞬わからなかった。見ると、俺たちは水に流されていた。そして「ボン」と勢い良く外界に飛ばされた。再び海底一千メートルの地点に還されたのである。そこは、暗黒の世界。意識はある。心臓は動いていた。

 だが、どうしてだろうか、海水がパッと光った。苦しくはない。これも特殊能力のうちなのか。水圧にも潰されず、泳ぎの「お」の字も知らない俺なのに導かれるように規則的に泳いでいく。まるでここに暮らす人魚のように。暫くして俺たちはある地点に集まった。その周りに長い丸を作る魚の群れが集まってくる。俺は生きている。どっしりと「生」を感じた。母なる海への安堵だろうか。何一つ邪念はない。(さあ、やろう。鬼島。)何が起きるかわからない。しかし、俺はここで真の意味の漢になる決心が付いた。鬼島を助けるために。どんな困難も乗り越えよう。自分の能力は未だ不明だ。だが、それも後々わかってくるのだろう。そっと目を閉じた。これから始まる難題、不可解なこと。全てを乗り越える旅に出よう、ともう一度自分に誓った。

 俺らは無意識に誘われた。魚の群れに付いていく。どうやら、皆も泳げるらしい。呼吸ができることも分かった。エラ呼吸をしているのか。将又、肺が発達したのか。進化が順応を可能にしたのか。ただただ、海中を進んでいく。腕をいっぱいに動かし、足はばたつかせず、蛙のように泳ぐ。井の中の蛙、大海を知らず。地上での人間は、地球の支配者のように振る舞う。しかし、ここでの人間は小さかった。海が人間を飲み込むのだ。肩に誰かが触れた。亜美が右を見ろと訴えていた。顔を動かしてみると宮殿があった。ぼんやりと眺めた。感情などなく、苦しくもない。疲れなども一切ない。何も考えず魚の群れに誘われて一歩、一歩前に進んだ。泳ぐのだ。これこそ真の自由だ。身を任せるだけでいい。今の俺は果てしなく小さく、ただ前に進み続けるために必死に「生」を全うしようとするプランクトンだった。「始めるわよ。水中トンネルを建設しましょう」大原が言った。俺らは海の中でも話せるのか。

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