自然な接点
いつも読んでいただきそして応援をくださり誠にありがとうございます。感想やコメントも大歓迎です。
前回は不良っぽい金髪の女子と軽く話を交わしたら、タバコを吸ってると思われた琴絵は担任に引っ張られて職員室で説教をうけたが、あの時無事なのでしょうか? 読んでいただければと思います。
──はぁ……あれから何時間くらい説教されたんだよ。幸い退学にはいたらなかったけど、担任によくない印象を残させてちまった。
琴絵はやや苦いのを走った顔して、足元を絡みつくような不安と知らないうちにため込んでいた疲れをため息と化して、すべてを払いのけるかのように体の外へ出す。
「もういい。帰ろう……くたびれたわ。ゲームでも遊んでリフレッシュしよう」
と彼女は独り言ちているる間に、妙な視線を感じていたので右の方に目をやると、先ほど屋上でちょっぴりした会話を交わしていた金髪の女子と遭遇した。どうやら里紗は吞気に彼女のことを待っているらしく、琴絵に気づかれた途端に気さくに話かける。
「よっ!」
「……」
「その後どうなった? 退学か?」
「残念でした~思い通りにならなくて」
元凶がそこでへらへら笑ってる、腸が煮えくり返るかのように皮肉な言い方で言い返した琴絵は口をとがらせて、ちょっとだけ拗ねてるような表情を浮かべる。それを見た里紗は両手を合わせて、本心をぶちこんでいるかのように謝る。
「ごめんな」
「とても誠意が伝わらないですけど~」
「あれは予想外だったよ。本当に悪かった」
少し焦りの色を見せた里紗は苦しい言い訳を続け、他になんか説得力ありそうな理由を付け足した。琴絵も本気で怒っていたわけではないので、頭を後ろにそらせて目を閉じ、無理やりではない自然な微笑みをする。
「真に受けすぎ、そんな心狭い人じゃないんで……それじゃ」
「もう帰るの?」
「もちろん。昨日あんなが起こって、ゲームをするどころじゃないわ。今日は徹夜でゲームやるんだ」
「なんのゲーム? 一緒にやりたい!」
里紗は期待に胸を躍らせて、その一筋の光をしがみつくかのように根性よくしつこくする。初対面だと少し怖気づくさせるような表情してるが、今はそのきりとした顔が予想外にぶれた。すかさずに琴絵の話に強い興味を示して、キラキラと輝いでる目を直視することができなかった。
「え?」
「やっぱりダメか……じゃ、スイーツを対価にして、これでいいよな?」
「いや、言っている意味がわからないんだけど」
「つまり、一緒になんちゃらゲーム? やりたいなって。そのため、家に残り一個しかない高級スイーツを代償にする。これで交換できるよな?」
さも奥の手を見せびらかすかのように、これは勝ち確だと自慢げな表情する。琴絵の返事を待っている間でも彼女は鷹揚に構えて、目をキラリと光らせる。琴絵は人差し指と親指で顎を挟んで、里紗の真摯に溢れた顔を横目で見る。
「まぁ、そこまでしなくてもいいんだけど……」
「じゃ、決まりね。まず私の家にいこう。スイーツ持ってくるから」
「夜途さんの家は遠いなの?」
「ううん。学校の近くにある。歩くなら十分くらいの距離? 走れば五分くらい?」
──私のとほぼ同じだな。
「それなら、全然いいよ」
琴絵は安堵のこもった声で返事をくれて、まるで心配の氷が一瞬にして溶けたかのように安心した様子だ。向こうがオッケーを出してくれたことに里紗は屈託のない笑みをたたえ、日光が顔に当たるかのように目を細める。彼女は興奮が冷めやらぬ声で話す。
「ならさっさといこう、こっちだ」
──すごく嬉しそうだな……けど夜途さんの家ってどんな感じなんだろう。
「その方向なら、私の帰り道とほぼ同じだね」
「大体その方向なんじゃないの?」
「そうだね」
他愛のない話が続く二人は冗談を交じりながらわちゃわちゃしてるが、会話の糸が時々途切れることもあり、話のキャッチ方に苦悩している琴絵はなんとか自分でその状況を打破しないと思い、里紗に幾つかの質問を投げかける。
「夜途さんはなんであのタバコみたいなチョコを買ったの? あんなの買わなくね?」
「だって面白いから?」
里紗はいたずらっぽい顔して、これ見よがしにニヤリと口角をあげる。彼女は首を横に傾げて、控え目に笑い声をあげつつゆっくりと気怠けな動作をする。
「面白いって?」
「結凪がタバコを吸ってると思われてるときかな」
昼休みに起こったことの面白みを思い出すかのように後味を味わって、終始ニヤニヤが止まらない里紗は琴絵の背中を軽く叩いてなだめるのだ。しかし、琴絵は根に持っているように肘でつついた。
「おかげさまで……」
「じゃ私から質問ね」
「え?」
「なんでそんなに友達を欲しがってるの? 一人の方が楽なんじゃない?」
その質問の答えを探るように両手をもみあわせて、自分の一番合点がいくそうな答えを口にする。琴絵は浅い溜息を漏らし、相手が分かりやすくするために説明する。
「それは考えたことあるんだよ。でもやっぱり、誰かと気持を分かち合いたいというときもあるじゃん? 例えばガチャで大爆死したときとか」
「ガチャ? 大爆死?」
「あ、いや、なんでもない。要するに落ち込んでいるとき、そういう意味」
自分のオタク属性がばれたら洒落にならないと思い、暴走寸前の車をブレーキをかけてなんどかその場をしのげた。うまく巻き返したのかと結構案じていたが、里紗はなるほどねという顔してから、琴絵はほんのわずかな安心の一息をつく。
「そんなんだ……」
「だからあんな本買ったの。アホだと思われてもしょうがないよね。みんな平常心で行けたのに、私一人だけ……ううん。ごめん、なんでもない」
「そっか……ほらもう着いたよ」
「ここが夜途さんが住んでいる所?」
「そうだよ」
里紗は淡々と頷いて、自分の家まで案内する。だがここは確かに琴絵の住むところでもあり、彼女は飛び上がるほど驚いて、怪訝そうな視線を向ける。
「ええ? 私と住むところ同じだ!」
「本当? すごっ!」
「何階に住んでいるの? 夜途さんは」
「二階」
すると琴絵ははっとして、思わず身震いする。彼女は面食らったように里紗の方にチラッと見る。そして蚊のように弱々しい声で話す。
「私も同じだけど……」
「うわ……なんか怖っ、何かの縁かな?」
「そうかも……」
その後、二人は階段へ上り、靴の音を規則正しく床を響かせて、足元の下の感触を味わうかのようにしっかりとごぼごぼと音を立てる。だかその時、琴絵は妙な違和感を覚えた。あくまでも憶測の話なので、それを密かに心の中にしまい込む。
「ていうか、結凪さぁ、そんなに近く住んでいるのに、互いのことも気づけないなんてありえるだろうか?」
「私、出かけるの滅多にないから、そのせいかな? 必要な食料を買うときこそ出かけするんだ。あとはゴミ出しとかもついでにみたいな感じ」
「へぇ、そうなんだ……あ、ついたよ」
里紗は相槌を打ち、凪いだ海のように平穏な口調で琴絵を呼んだ。彼女は慣れた手つきでカバンから鍵を持ちだして、玄関ドアの鍵穴にさす。
──え? ちょっと待って、憶測が当たってる。隣にいるじゃん! 夜途さんの部屋……なんか嫌な予感する。
「ここが夜途さんの家?」
「ああ。でも隣のやつには気を付けて、なんか最近さぁ、鬱陶しいのよ」
「おお……なんかあったかな?」
琴絵は乱れた神経を鎮めるために、あちこちに浮かび上がった不安を全部抹消するために唾をのむ。そして最悪の事態にならないように願うばかりだ。
「昨日かな。朝の時、隣人の部屋の目覚まし時計がぎゃぎゃうるさいんのよ。あんなのずっと鳴りっぱなしだよ。それで好意をもってピンポンしたの、このあと何に言われたのか、わかる?」
「何でしょう?」
里紗は腰に両手をあてて、少しずつ不愉快な気分になり、顰蹙する。琴絵はその時、背中が異常なほどの汗をかいて、頬を引きずらせる。
「『だからうっせぇのよ。ポンコツ野郎!』 って怒鳴られたわ。あの時すんっげぇムカついたが、別の用事があるから、なんとかその怒りを押し切った」
──あ、しまった……またしてもやらかした……どう説明した方が。
「そ、そうなんだ……それはさすがに酷いね」
「だろう。まぁ昨日の話だから、とっくに、だがもし隣の住人の正体を知ったら絶対ボコボコにしてやるわ」
里紗の話を聞いたら、尚更怖くなり、浮足立った琴絵は逃げ場を必死に求めるか弱い小動物かのような目して、袖を引いて下げる。
読んでいただきありがとうございます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。




