百合の崇拝者
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琴絵大変だったんですね……これで彼女は早起きになれるはずです。では今回は一体どんな展開になるんでしょうか、また友達できるのでしょうか? 読んでいただければと思います。
その後、散々になったが、なんとかギリギリの時刻で学校にたどり着いた。が、こんな年して、服を着替えさせられたことにかなり大きいダメージを食らった琴絵は戦意喪失し、死んだ魚のような目をする。
それを察したのか、ビビり子は彼女に話をかけてくる。
「おはよう、結凪さん」
「あ、あはよう、びびっ……」
「何ですか? 今の」
「いや、何でもない。今更なんだけど、あなたの名前は?」
琴絵は申し訳なさそうな顔して、両手を合わせ、わざとらしくぺろっと舌を出す。するとビビり子はメガネをぐいっとあげて、物知り博士の雰囲気をぶって自己紹介をする。彼女は真摯な眼差しで琴絵の両手を強く握る。
「西村です、西村和香です、好きなように呼んでください」
──前まではそういうキャラだっけ? キャラブレしてない?
「じゃ、西村さん、どうしたの?」
「なんか結凪さんって、元気ないみたいで……直感だけどね」
「ああ、色々あってさぁ、朝の時、服脱がされたんだから」
まるでそのキーワードを鷲掴みしたかのように、和香は目をギラリと光らせる。彼女は耳をそばだてて、体をびくっとさせる。その後、間をおいて唇のあたりを触れる。すると噂話のような弱々しい音量が琴絵の耳元で響く。
「え? こんなに激しいのですか? 朝っぱらから……」
「違う! 違うから、そういうふうに解釈しないで」
「あ、そうなんですか、失礼しました……」
「ただ女同士で……」
「百合ですか! 尚更尊いものです……」
和香は昇天しそうな顔して、ひたすら両手をすり合わせる。何に誠心誠意で拝んでいるようだ。みるみるうちに和香は鼻血が出るぐらい興奮して、彼女は反射的に身を乗り出し、もっと詳しくと言わんばかりに、ふんと鼻を鳴らせる。
その過激の反応に気がひるんでしまった琴絵は和香と一定的な距離を保ち、カバンを抱きしめながら小刻みに震える。彼女は機転を利かせて、誤解を深めないように発言に慎む。
ー──こいつやばい、そんなキャラなのか? やっぱり見かけによらずだな。それにしてもどう答えるべきか……
「だから、着換えされたんだよ、勝手に、ほら朝に弱いからね、私」
「素晴らしいお話を聞かさました……本当にありがとうございます、ごちそうさまでした」
和香はひたすら感動の涙を流しながら、はなをすすりあげる。だが間髪入れずに、自分の大失態に気付き、手で口をしっかりと覆う。それでも指の隙間から嗚咽が漏らすくらい大袈裟だった。それを見た琴絵は完全に諦めて、心の中に木枯らしが吹いているようだ。
──あ、だめだ。全然聞いてないじゃん。やばい、色々な意味で終わった、自分をぶん殴りたい、なんでさっきぽろっと出てきたのよ。
「西村さん、弁解させてくれ……」
「ホームルーム始まるよ」
ぶ最悪のタイミングで、担任先生がやってきて、みんなに早く自分の席に戻ろうと促す。先ほどまでわちゃわちゃしてた教室が灯火のように、吹けば揺らぐ間もなく消え失せた。ふいと静まり返った教室は何十年以上も取り残された廃置施設のようにだんまりしてた。
──うわっ、天も味方してくれないのか……クソ! もっと慎重にすればよかったのに。
琴絵は苦虫を噛み潰したよな渋い顔して、無気力に覆われている彼女はガクンと椅子に座り、魂ごと吸い取られたかのように瞼を閉じる。彼女は椅子にもたれて、再度目を開け、虚ろな目でグラウンドにいる別のクラスの体育授業を眺める。
一方、隣のクラスでは数学の授業が始まる。里紗は机に突っ伏して、抵抗もせずに眠りについた。食べ放題の夢だろうか、彼女は何かを咀嚼してるかの如く、口を動かせてる。それを目にした宥は悪戯心に搔き立てられて、ちょっかいをかけだす。
彼女は消しゴムを玉にはじけさせて、里紗を起こそうとするが、そのまま弧を描いて、見事な空振りだった。それでもめげずに、宥は狙いを定めて、里紗の後頭部に一直線に発射する。すると思うように命中したのだ。的にされた里紗は異変を感じ、目をこする。
「あっぶねぇ、寝てしまうところだったわ……」
と里紗はぼそっと言い、またまた顔を伏せるのだ。宥はその異様な対応にドン引きして、もう関わりたくないと目を背ける。その後、彼女たちは無事に昼休みを迎えた。授業中ずっとくよくよしていた琴絵が息を吹き返された金魚のように溌剌してる。
「結凪さん、お昼になったし、一緒に昼ご飯を食べませんか?」
──ついに来たか!! さっきのを忘れて気を取り直そう。これぞ高校生活にあるべき姿だ! 待ちに待ったご飯タイム。勝ち確だな、これ。
「あ、いいよ、食堂に行く?」
「ええ!」
和香は嬉しそうに自然と琴絵と腕を組む。琴絵は慣れていないものの、女子高生にとってあるふれたことを体験することができ、彼女はにやっと口角を緩ませ、自分の喜びをあらわにする。
ちょうどその時、宥と里紗も廊下に現れた。二人は琴絵の腕のあたりに視線を落として、何とも言えない目線がする。琴絵は訝しげな表情して、どうしたと言わんばかりに頬を軽く搔いて、その場の雰囲気を和ませようとする。
「夜途さんと宥か、奇遇だね」
「何か奇遇だよ、隣のクラスだが、出れば会えるんだぞ」
里紗はまたしても的確なツッコミを入れて、口調にこもるのはあやふやとした態度。彼女はちらっと琴絵の隣にいる和香に目をやると、すぐさま視線を外す。
そして、また同じく、向こうの二人の視線がほぼ組まれた腕に視線を凝らす。その恐れるほどのシンクロニシティがまるで事前の打ち合わせを行ったかのように目を疑うのだ。
「結凪はこれからどこ行く?」
「西村さんと一緒に食堂に行くの」
「ふぅん……」
「なによ?」
琴絵はわずかに後ろに下がって、硬い笑顔する。彼女は無意識に首の後ろをこすって、形容しがたい表情を浮かべる。しかし、向こうの二人は一向に曖昧でいまいちな顔だった。何を考えているのか知る由もなかった。
すると里紗は自分の感情を持ち込まず、淡々と話し出す。
「何でもない、私は宥と食べるね、放課後待ってる」
「ああ」
二人は琴絵の傍を通り過ぎる際、里紗は口パクで何かを言っているようだが、琴絵はそれに気づかず、ただぼうっとしているだけだ。その呆然と立ち尽くす琴絵を見て、思わず心配の声をあげた和香は彼女の肩を優しくたたいた。
「結凪さん?」
「うん? どうしたの? 西村さん」
「さっきのは夜途さんですよね? もう一人の子は誰? 長い銀髪と緑色の瞳、めっちゃくちゃ美人さんでしたわ! あの二人は結凪さんとどんな関係を持っているんですか?」
「え? 何言ってるの? いきなり」
「いえ……ただなんとなく? って感じがしたので……」
和香は親指と人差し指で顎を挟んで、真剣そうに推測しているところ、琴絵の一言に思考が乱れる。
「そんな風に見えるのか? 普通だよ、友達みたいな関係」
琴絵はまことしやかに適当な理由を押しつけて、茶を濁す。
読んでいただきありがとうございます。次回も楽しみにしていただけると幸いです。




