騒がしい鼓動
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「ものって……一応人間だよ、言い方に気を付けたほうがいいいよ、夜途さん」
「そうかもしれないな……」
里紗は沈み込んだ表情して、元気のない口調で素朴な答えを返した。複雑な気持ちに満ちた瞳を閉じる。眉間にある皺は何を意味するのか、彼女のみぞ知るのだ。里紗は言いかけた言葉を喉に逆流させて、顔に薄っすらと影のようなものが横切った。
「とりあえずお風呂入ってきな、風邪ひくぞ、もう沸かしてやったんだから」
「本当!? ありがとう、夜途さん、いい人じゃん」
「ふうん、今更か……まぁ遅くないがこれからもカッコイイところ見せつけてやるから、たっぷり堪能して」
「はいはい。わかったよー」
当然ながら、琴絵は彼女の自惚れタイムに雑な反応を出した。彼女は着替えた用の服をクローゼットの中から引き出して、風呂場に足を向かわせる。いつものやりとりにほっとした里紗は再びソファーに腰掛けて、ゲームパッドを手につく。そして何気なく肝心な問題を投げる。
「あんたら、一緒に風呂入るの?」
「仕方ないだろう、なんなら夜途さんも入るか?」
「いや、それは結構だ」
里紗は間髪入れずに断った。ぼんたやりと視線を外してテレビの画面に戻る。だが、彼女はじっとしていられず、やたらとソファーにあるクッションを握りつぶさんばかりに抱きしめる。さも自分の不安をぶちまけるようだった。
すかさず彼女はかぶりを振って、不穏な情緒を払いのけ、なるべく考えないようにゲームの世界に飛び込む。それでも里紗はこのようなぐちゃぐちゃな思いを抱きながら、容赦なく目の前にいる敵をフルボッコにしてやった。
一方、琴絵は風呂場で棒立ちして、女の子に背を向けるばかりだ。その子は湯船に入ったが、流石に一緒に入れるほどの仲ではないと思い、琴絵はあえて椅子に座って頭を洗い始めた。
風呂場の熱い湯気が渦をまくように立ち上っていき、重い霧がかかったかのように視界が一気に霞んでしまい、彼女の頭を混乱させる。
彼女本人の家だったのに、今は違って、居ても立ってもいられない気持ちだ。その紛らわしい思いを押し込むように泡を立てて、ブラシで体を強くゴシゴシする。先ほど里紗との会話が後味かのように喉の奥から湧き上がった。
──そういえば、何も考えせずにあんなことを言ってしまった……なんか自分から誘い側になったじゃない? まぁ、気を取り直してささっと済ませて、コーンスープを飲もうっと!
「ここにシャンプーやリンス、あとはボディーソープもあるから。自由に使ってもいいよ」
「……」
──気まずい……どうやってこの状況を乗り切るのかあの攻略本に書いてないな。まぁほんの少しの辛抱だ、耐えろ私!
琴絵は立ち上がってシャワーを浴びた。そしてタオルで自分の体をグルグル巻いて、少し様子見も兼ねて、後ろに振り向くと、その星空のように澄み切った目と合った。しかし、その奥に据えているのはほのかな虚しさ。
毎回その目と合うなり、体が妙なタイミングで身動きが取れなくなるので、琴絵は余念を踏み潰すかのように一歩を進んだが、やはり視線がさまよい、耳をこすることしかできなかった。最終的に一番落ち着く、つまり床のところにじっと見据える。
「……」
「どうした? シャンプーならそこに置いてあったよ、問題ないと思うから、一旦外出るわ」
「……」
──もう……どうすればいいのかわかんない、夜途さんを呼んだ方が……そうしたいところだが、言いにくいからやめよう。
「背中だけ流してやるか?」
「うん……」
その蚊のように弱々しい反応にきょとんとした琴絵は目を見張った。自分の呼吸がだんだん浅くなるにつれて、胃もそわそわしてる。彼女はぎこちない振る舞いと共に椅子についてる泡を流して、その子に座らせた。
──初めて反応あった……なんか感動的な瞬間だな。それにしても今の返事はちょっとだけ可愛いなぁ。
すると琴絵は新しいボディスポンジにボディーソープをかけて、その子の背中を優しく洗い、ふとその泡が徐々に溶け込んでいくのを見て、今自分の雑念も共にこの世から消え去りたいとそれしか考えなかった。
「なんか不思議だな……女同士でお風呂入るなんて、初めてだ」
その一言に素早く反応して、女の子はじーっと琴絵の顔を見つめる。
「な、なに? 今のは独り言よ、気にしないで、いつもの癖で」
「……」
二人の間に、沈黙が再度に割り込んだ。琴絵は何もなかったかのようにその場をしのぎ切って、その子の要求に応じて髪も洗ってあげた。ぱぱっとパジャマを着替えて浴室を出るや否や、里紗からのからかいが聞こえる。
「もう用済みか?」
「変な意味合いになっちゃうから、それは勘弁してよ」
「冗談だよ。食卓について、もうよそってあげたわ、あとめっちゃ熱いから気を付けて。ほらそこのあんたも」
里紗はまだ不意につく来訪者のことが気にかけているようで、視線を外すつもりはなかった。そして彼女は憂わしげな情緒をあらわにする。
それをまったく気づいていない琴絵は湯気が立っているコーンスープにフーフーと息を吹かけて冷ますが、途中力入れすぎて反動に襲われて、スープが顔に跳ね返した。彼女はクソっと言わんばかりの苦しい表情して、鼻を触る。
「ったく……言ったじゃん。大丈夫か?」
「ううん。こんなのへっちゃらだ」
「子供じゃあるまいし、誰も奪おうとしないよ」
結構の時間を経っても、その人が依然としてぽつねんと立っている姿を目にした里紗は疲れ気味の嘆息して、彼女に手招きする。
「あんたもはやく食べなさい。毒は入ってない、殺すなんてまっぴらだ」
「夜途さんったら、また誤解を招くような言い方して、一体どうしたの?」
「はぁ……気のせいじゃない?」
「それを置いといて、な、君、あそこでぼうっとしないで、冷めちゃったら旨さ半減するぞ、それとこのスープ、外のレストランに匹敵すらできるレベルだよ。騙されたと思って一回試してみなよ」
女の子はやっと食卓について、小さくすくってスープを口に運ぶ。次第にまろやかな味が口の中に広がり、くどくない甘さが滑らかな食感をもたらして、喉をうるおせた。その人は珍しく目が輝き出した。
まるで異物混入され、鍵が回らなくなり、そこに潤滑油を使い、普段の調子を戻らせる。まさにそれと同じく、女の子の顔に少しずつ生気を取り戻し、更にその旨さに震え上がる。
その子は次々とスプーンを動かせて、熱々のコーンスープを口に含む。彼女はすっかりとこの料理の虜になったらしく、その美味しさに思わず目をつぶり、大きく深呼吸する。その後味をしっかりと堪能するかのように少し仰向いてた。
──夜途さんの作ったスープ気に入ってくれたみたいで、よかった……でもこの子は一体何者なんだ?
「で、夜途さんはどこで学んだの? つくづく見直したわ」
そんな賛美の言葉をよそに琴絵の肩を叩いて目配せする。里紗は深刻な表情をする。それは滅多に見れない色んな思いを詰め込んだ表情だった。何かの茶番かと思い、琴絵は特に気にしてなかったが、里紗に何回も催促をかけられた。
「ちょっといいか? 結凪」
「いいけど、まだ飲みかけだから、もう一口飲ませて」
「いいから、こっちに来い」
さっきまでスープに夢中してた女の子は異変に気付き、ソワソワとした目つきで、スプーンを口に含んだまま琴絵の方に視線を移す。無表情していたが彼女はハリネズミのように警戒の針を張らせて、双眸には微かな動揺を浮かべる。
「ぴりぴりするな、大丈夫だ。スープ、あそこにも余ってるから、好きなだけよそってもいいよ」
先ほどの強気な態度が噓のように消え去り、里紗は相手の張り詰めた神経をなだめるよう、優しく諭すような口調をする。
その後、琴絵は半ば無理強いされて、自分の部屋まで連れ込まれた。里紗は後ろ手でドアを閉める。彼女は厳粛な表情を表てにして、そんなしかめっ面の里紗と視線がぶつかり、不安という名の種が迅速に心の中で実を結んだ。
「どうした?」
「ここからは真剣な話なんだ、耳をかっぽじって聞け」
琴絵は緩めた神経をこわばらせる。ここからは何を知らせれるのもまだ未知数のまま、彼女は背筋をグンと伸ばして、その押しつぶされそうな悶々とした圧迫感に対抗して、いつでもいいよと言わんばかりに、眉の辺りに決心の色を見せる。
読んでいただきありがとうございます。次話は水曜日か土曜日にあげさていだきますので、次回も楽しみにしていただけると幸いです。




