入学初日
入学初日、不破は、年甲斐もなく小学生みたいにワクワクしていた。
しかし、不破にとって少しイレギュラーな事態が発生したのだ。
それは、クラスの男女比だ。
このクラスでは、1クラス40人居て、男子が5人、女子が35人と、圧倒的に女子が多かったのだ。
(でもそんなの関係ない、中学の時と真反対の人間になるぞ!!)
そんなことを考えながら、初のホームルームが始まった。
「皆さんおはようございます、今日からこのクラスの担任になった、伊藤さと子です。よろしくお願いしますね。」
(担任は30代くらいに見えるな、 中学の担任は、皆年寄りだったからなぁ…)
なんて考えていると、
「皆さんには簡単に自己紹介をしてもらいます。名前と好きな事やものを答えてください。」
と、クラスに馴染めるかが決まる最初のイベントが始まったのだ。
周りでは、「なんて言おうかな。」
「テキトーに好きな食べ物とかでいいんじゃない?」
なんて話している人達がいた。
恐らく、同じ中学から進学したのだろう。
(この学校では、俺は真面目くんになる。中学の時ならこの時、俺様は不破様!皆俺に従え!!なんて痛いこと言ってただろうが、今はあの時の俺じゃない!)
そう思い、脳内でシュミレーションをしていると、不破の番が来た。
「じゃあ、次は不破くんお願いね。」
「わかりました。」
そう言って自己紹介を始める。
「オレノナマエハ、フワコウキデス スキナタベモノハ、ラーメンデス。」
その瞬間、クラスでは大爆笑が起きた。不破は至って真面目に自己紹介をしたのだが、その姿は誰が見てもロボットみたいだったのだ。
それもそのはず、不破にとって真面目くんは、いつも教室の隅で本を読んでて、話しかけても同じことしか言わない、ロボットにしか見えていなかったのだから。
なぜ笑われているのかも分からず席に着くと、隣の席の子が話しかけてきた。
「あははっ! 不破君って面白いんだね〜!」
「あっ、どうも」
「私の名前は、小鳥遊 歩美、これから宜しくね!」
「あっ、そうそう、いきなりだけど、ライン交換しない?高校初めてのお隣さんだし!仲良くしたいんだ〜」
断る理由もないので、不破は、
「こちらこそよろしく。」と、素っ気ない態度で答えて、交換した。
こうして、不破に高校生活最初の友人が出来たのだった。