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稲光

 重い風の音が夜を支配していた。

 ゴォっとずっと唸っている風の中に、時たまサァ−−っと木葉が擦れる音が響く。

 布団に入ってその音ばかり聞いていると、たまらなくなって窓から外を覗いた。

 暗いばかりで揺れ動く木など少しも見えやしない。やがて履物をつっかけて外へ出た。

 音だけは相変わらずなのに、暗闇に木はない。

 帰らなければ、と足を止めたとき、ピシャァと空が光った。

百鬼夜行に囲まれているのが、その一瞬だけ、見えた。

 

 

 

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