表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/49

第1話 『勇者転生』

──20XX年 9月25日(水) 午後4時47分

  ラナタイト王国、ラナタイト城にて


「国王様、伝令です! 先程、王妃様が第2子をご出産なられたとの事です!」


「なに!それは本当か! すぐに向かうと伝えておけ!」


「はい!かしこまりました!」


* * * * * * * * * * * *


「はいはい。元気な子ですねぇ」


「ローズよ!子が産まれたとは本当か!」


「あらあなた、そうです、元気な男の子ですよ」


「我が国の第2王子か……名は決めてあるのか?」


「あら、すっかり忘れてましたわ。でも、ザックスは私が名付けたことですし、今度はあなたが名前を決めてあげたらどう?」


「そうか……であれば……」


 ──ルーシュ、今日からお前の名は、ルーシュ・ラナタイト、ラナタイト王国の第2王子である!


「ルーシュ……いい名前ですね。それにしても本当に元気な子。ステータスを少し見てみようかしら。……あら!あなた、大変よ! この子、赤ん坊なのに凄いステータスだわ!」


「……本当ではないか、体力も魔力も攻撃力、素早さも、何もかも申し分ないステータス……あれはザックスに与えようかと思っていたが、このような子は今後千年産まれるかわからない。やむを得ん、この子に『勇者』の称号を与えるとしよう」


* * * * * * * * * * * *


──16年後


 妹を探しながら城の廊下を歩いていると、向こう側から歩いてくる兄様が見えた。


「ザックス兄様!」


「おう、ルーシュか。どうした?」


「フェイを見なかった?」


「フェイ? フェイなら、今俺も探しているところなんだが……何か用事か?」


「うん、今日の壮行式は、俺を『勇者』として冒険に旅立たせてくださる為のもの。それで、父様が、冒険に出る時には、パーティメンバーを集める必要がある、って言ってたから、フェイをパーティに引き入れようかと思ってさ!」


「なるほどな……確かにあいつ、可愛らしい顔して普通に強いからなぁ……まあわかった、フェイを見つけたら伝えておくよ。お前は壮行式の準備に戻った方がいい。それと、父様じゃなくて国王様、16年経っても、その癖は直らなかったみたいだな……」


「あはは……ああそれと、兄様。こういうのは、あんまり聞かない方がいいとは思うんだけど……」


「どうした? 別にいいぞ」


「その……本来なら、『勇者』の称号は俺じゃなくて、兄様に与えられるものだったんでしょ? なんていうか……嫌じゃないの?」


 兄様の表情を見て、様子を伺う。

 でも、兄様は軽く笑って答えた。


「悔しいさ、それもかなり。だけど、お前のことは嫌いでもなんでもない。だって、出来の良い方を『勇者』にするのは当たり前のことだろ? きっと、国王様だって、俺に申し訳ないと思ったはずだ。でも俺は、俺自身の力で強くなりたいと思ってる。その称号はお前の方が相応しいよ」


 頭を軽く触られ、兄様はまた笑った。

 兄様が本当に何も気にしていないのだということを知って、自然と俺も気持ちが明るくなる。


「俺も!兄様に負けないくらい強くなってみせるよ!」


「おう!その意気だ」


「ありがとう兄様。あ、フェイの件よろしく!」


 兄様の横を走りすぎながら、兄様に手を振ると、兄様も笑顔で手を振り返してくれた。


* * * * * * * * * * * *


「ああルーシュよ、丁度良い所に来たな。もうすぐ式の準備が終わる。お前はそこの部屋でゆっくりしておけ。今日はお前の16歳の誕生日も兼ねた特別な日じゃからな。お前に体調を崩されでもしたら困る」


「はい、わかりました、父……国王様」


 父様に挨拶をして、壮行式の準備室に行き、軽く仮眠を取ろうと思い椅子に腰掛ける。

 すると、またすぐに扉が開き、探していた人物がやってきた。


「お兄様!フェイをパーティに引き入れて頂けるというのは、本当ですか!?」


「ああフェイ。うん、そのつもりだけど、いいかな?」


「もちろん!凄く嬉しいです! 正式にパーティメンバーになった暁には、お兄様の矛となり盾となり時には囮になり……」


「そんなに頑張らなくても大丈夫だよ。フェイのステータスだと、攻撃力と素早さが高いから、相手の隙を読んで攻撃するとか、隠密して不意を付くとか、僕のサポートをしてくれればいいからさ」


「そうですか……それでも、お兄様が危険な時は、必ず!フェイがお守りしますから!」


「あはは、大丈夫だよ、自分の身ぐらい自分で守るって」


 フェイと話し込んでいると、式の準備が終わり、間もなく式を開くと言われた。

 結局仮眠は取れなかったものの、元々そんなに眠くなかったし、特に気にもしなかった。


* * * * * * * * * * * *


「それではこれより、我がラナタイト王国の第2王子、ルーシュ・ラナタイトの壮行式を行います!」


──午後4時20分31秒


「それではまず初めに、この度『勇者』の称号を与えられるルーシュ・ラナタイトが入場します。皆様、盛大な拍手でお迎えください」


──午後4時24分41秒


「続いて、『勇者』の称号授与の前に、隣国のグラサール王国、アレスタル王国の国王より便箋が届いていますので、代理人の私が読ませていただきます」


──午後4時37分59秒


「続いて、我が国王、ロイ・ラナタイトより、お話をいただきます」


──午後4時42分26秒


「続いて、ルーシュ・ラナタイトより決意表明をいただきます」


──午後4時46分04秒


「では最後に、国王よりルーシュ・ラナタイトに『勇者』の称号を授与していただきます」


「ルーシュよ、前に来なさい」


「はい!」


──午後4時46分24秒


「お主の類まれなる戦技の才能と、勇者に相応しい勇敢さ、優しさ、その全てを称え、ここに『勇者』の称号を与えることを宣言する!」


──午後4時46分37秒


「私も、『勇者』になった暁には、パーティメンバーや街の方々との協力、戦技の努力を惜しまずに、いつか必ず、魔王討ち取ってみせることを誓います!」


──午後4時46分50秒


「では、ルーシュよ、この『勇者』の称号を受け取るがよい」


──午後4時46分54秒


「はい、ありがたく受け取らせていただきます」


──午後4時46分57秒


《称号『勇者』を獲得しました》

《アビリティ『勇者』を獲得しました》


「国王様、これで、私も晴れて『勇者』に──」


──午後4時47分00秒


《アビリティ『転生者』を獲得しました》


「…………」


「どうした? ルーシュよ」


「ルー……シュ……」


「これにて、ルーシュ・ラナタイトは正式に『勇者』となりました! 皆様、もう一度盛大な拍手をお送りください!」


(ここはどこだ? 目の前にいるこの老人は誰だ? それよりこの状況はなんだ?)


「おめでとうございます! お兄様!」


「おめでとう。ルーシュ」


(あの2人は誰だ? 僕は今どうなってるんだ? 理解が追いつかない……)


「待て! 何かルーシュの様子がおかしい。どうしたのだルーシュよ!」


(ルーシュ……って誰だ?……考えるほど……目眩……が……)


「うっ……」


 そのままルーシュは床に倒れ伏した。

 直後に、周りの城の医師たちが駆けつけ、ルーシュは医務室へと運ばれることになった。


「お兄様!お兄様!」


 薄れゆく意識の中、1人の可愛らしい声が聞こえ続けた。


「フェ……イ……」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ