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第20話 『またもや異世界』

「……治ってる……?」


 魔界に着くや否や、自分の身体の変化に気がついた。

 先ほどまで潰れきっていた下半身が元に戻っているのである。


「ああ、説明し忘れておりましたね、何故かはよく分かりませんが、あなた方の住む自然界と、この魔界を移動する瞬間、身体の不調が全て完治するのですよ。無論、自由に行き来できないあなたにとっては、もう関係の無い話ですがねぇ。フフッ」


 僕が自由に動けるようになったにも関わらず、あまり不都合そうにもしていない魔人は、僕を魔王城へと案内し始めた。

 魔人と魔王城へ歩く途中で、魔界のことを詳しく聞いた。


 自然界と魔界の差は主に3つ。

 1つは太陽の有無。

 自然界には太陽があるが、魔界には太陽の役割を果たすものは一切ないらしい。

 そんな世界で僕は生きていられるのかと聞いてみたが、魔人は「そこに関しては問題ありません。前例がありますのでねぇ」とだけ答えた。

 前例というのが誰のことなのかはわからなかったが、僕に問題がないということなので、深い疑問が残ることはなかった。


 もう1つは生物。

 これはその太陽の有無によってできた違いで、太陽がないから植物も動物もいない、というだけの話である。

 植物も動物もいないとは言えど、正確にはそうではなくて、特殊な生態系を持つ魔物は数十種類いるらしい。

 食事はどうすれば良いのかと魔人に聞くと、「そこに関しても問題ありません」と定型文のように返された。


 最後は時間の差──これが1番ややこしいかもしれない。

 まず、自然界の1年間は、魔界の4年間に相当するらしい。

 ここまではまだ理解しやすかったが、問題はこの後である。

 1年間は4年間に相当するが、年齢に差は出ないらしい。

 この辺は魔人自身も説明に苦労していた。

 魔人はこの現象を「自然界で生まれた直後の赤ん坊がいるとします。そして、その赤ん坊を魔界に連れて行き、そのまま4年間経過させても、その赤ん坊の年齢は1才なのです」と言っていた。

 要するに、年齢に差が出ないなら、魔界で過ごした方が3年長く過ごせてお得、ということなのだと思う。

 まあ、そんな良心的な意味が込められているわけではないのだろうけど。


 しかし、太陽がないというのはかなり不便だ。

 魔界に着いた直後は、周りが一切何も見えず、現世の月明かりの偉大さを知ったくらいだった。

 僕が今周りの視界が見えるようになったのは、この魔人の幻術の賜物である。

 つまりは、この魔人の好き勝手で僕に見せる視界を変えることができるため、状況が良くなったのか悪くなったのか判断しきれない。

 魔人は「そうですねぇ。あなたが私達にとって不利益なことをし始めたりしなければ……問題はありませんよ」と言っていたが……


「もうそろそろ到着しますよ」


 魔人の生声音声ガイドを聞き流しながら、考察を続ける。

 魔界での生活はどうにかなるかもしれないが、僕には心残りがいくつもある。

 フェイのことは気がかりだし、魔王側の目的によっては、僕の命も保証できない。

 それに、ラナタイト城にしばらく帰ってないし、ザックスや国王は、僕やフェイのことを心配してるんじゃないだろうか。

 こんなことばかり挙げていたら収拾がつかないし、今は現状に目を向けないといけないというのはわかってはいるけど……僕はいつからこんな心配性になってしまったのだろうか。

 サブキャラ好きとかいうよくわからん性格をしてるせいで、まともな友人なんてあの2人ぐらいしかいなかったから、人を心配することには慣れてないはずなのに……

 そういえばサブキャラ好きで思い出したけど、僕はこの世界に来てからサブキャラっぽいこと1回もしてないような……やっぱり、この称号のせいなのだろうか。

 本当ならこの状況だって、勇者が連れ去られて、パーティメンバーの僕は、勇者をどう助けようか悩むとかが良かった。

 そもそもパーティメンバーもまともな数いない勇者で、かつ勇者を辞めたいと思ってる人間……聞く限り不安しかない。

 転生ものは結構見てたし、好きではあるけど、いざ自分が転生者になったとすれば、結構理不尽を感じるものだ。

 転生して数日で死にかけて、さらに数日で……まあ、あれで……そんでもってさらに数日は良いホテルで充実したけど、その数週間後にまた死にかけて、魔界に誘拐される……壮絶にも程がある気がする。


「さっ、着きましたよ」


 どうやら考え事が丁度終了したタイミングで到着したらしい。

 目の前では牛と馬の二足歩行の魔物が門を見張っていた。

 馬の方はかなり冷静な様子で、背筋を良くして佇んでいるが、牛の方はほぼ真逆で、常に荒い息をして、常に前のめりのその様子には冷静さを一切感じられない──その隆々とした筋肉で、今にも殴りかかってきそうなほど。


「──それが例の勇者か?」


 馬の方が先に言葉を発した。


(話せるんだ……言葉……)


「ええ、魔王様は……今は?」


「ああ、不在だ」


 魔王城に魔王が不在というのはどういうことなのだろうか。

 魔王というのは常に魔王城の最奥のところで、謎に大きい椅子にイキりながら座って、勇者にレベル上げ用のモンスターを差し向けるのが仕事のはずだが──と言ってもそんな魔王は最近じゃあまり聞かないけど。


「また……例の?」


「詳細は聞いていない。だが、恐らくな……」


 僕がいるからだろうが、内容を掴まれるようには話さない。

 ただ、魔王自身が僕を連れてこいと言って、それなのにいざ来てみれば不在……自由奔放なのやら忙しいのやら……


「さて……どうしましょうかねぇ……」


「客室用の部屋なら空いているが、魔王様の許可なしに入れてはならないからな……」


(魔王城に客室って……誰を招くための部屋だよ……)


 ──馬と魔人が互いに悩んでいると、暴れだしそうだった牛がとうとう口を開いた。


「だったら簡単な話だ! こいつを今ここで殺せばいい! "ユウシャ"ってのは、魔王様を殺しにくるニンゲンってのは知ってるからな!」


 隆々とした筋肉を見て、僕の中で勝手な偏見を持ち合わせていたが、その通りだったらしい。

 ──こいつ、脳筋だ。


「こいつの言うことは気にするな。頭脳はないが、魔王様への忠誠心だけはある。お前を勝手に殺せばどうなるか、こいつの空の脳みそでもわかっているはずだ」


「誰が空の脳みそだゴラァ! テメェごと殺したっていいんだぞオレはァ!」


 頭が悪く、それでいて短気……1番面倒なタイプだな……


「頭が痛くなるので、それ以上喋らないでいただけますかねぇ。とりあえず、1つ思いついたことがあります。"人間"達と同じ部屋に入れておいてはどうでしょうか?」


「そのようなこと、客室を使うよりも……いや、確かに掟に反しているわけではないな……」


 掟……法律みたいなものじゃなくて、この魔王城内での決まりらしいな。

 というより今、人間って言ったか?

 なんで魔王城に人間……まさか、その人達も誘拐されて……?


「そうだな、同じ人間達とまとめておけば、魔王様も納得するだろう。よし、入れ」


「了解しました。そこの脳なしさんも、変に勇者様を殺しに来ないでくださいねぇ? フフッ」


「だァれが脳なしだァ?透明野郎! 今度会った時八つ裂きにしてやるから覚悟しとけやァ!」


 この牛……普段からもこんな感じなのだろうか。

 というより、こいつらの会話の内容的に、人間に会うことになるのか……魔界だと、もう2度と人間と会話することなんてないと思ってたけど……


 どんな人達なんだろうか……

==========

ルーシュ・ラナタイト

レベル77

役職(ジョブ)魔法騎士(ルーンナイト)

 体力:902

 魔力:673

攻撃力:392

防御力:299

魔攻力:406

魔防力:351

素早さ:417

 知力:381

アビリティ:王家,勇者,転生者,捕食,自然治癒【体】,自然治癒【魔】,生物感知・極,魔力感知・極,魔導・極,物理耐性・極,魔法耐性・極,毒耐性・極,陽炎・極,水月・極,疾風・極,慈悲・極,個性・極,達人・極

 称号:勇者,美食家

==========


固有魔法:不明

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