第13話 『執行猶予?』
あの事件の後、僕たちはギルドに事件の詳細を報告した。
2人の死体が運ばれた後、僕とフェイは数日の間、事情聴取を受けることになり、今日は2日目である。
「ギルド牢屋の飯は臭いと聞きますけど……全然そんなことはありませんね」
(そのカルチャー……この世界でもあるんだ……)
「まあ……別に僕たちは犯罪者として扱われてないからね。あくまで僕たちがこの雑居房にいるのは、保護しておける場所がないからだし。どっちかと言うと、お客さんみたいな扱いなんじゃないかな?」
「なるほど……」
フェイが納得した後、しばらく沈黙が流れる。
僕は今、「犯罪者として扱われていない」と言ったが、実際ギルドの人たちもそう言っていた。
しかし、フェイがどうかは分からないが、僕は気づいている。
本当は、ギルドの人たちは僕たちを危険視しているのだと。
あの事件現場に、僕たちが事故に巻き込まれたという状況証拠こそ揃ってはいたが、レイノルズが僕たちを襲ってきたという確信的な証拠はない。
それに、今回の事件の凶器は不幸にもフェイと僕の剣のみだった。
僕に『殺人者』の称号はなかったから、多少睨まれる程度で済んだが、それでもまだフェイは……
不可抗力にも暗くなってしまった表情を読み取ったのか、フェイが口を開いた。
「……お兄様、私がお兄様のパーティメンバーになる時に言った言葉を覚えていますか?」
(フェイがパーティメンバーになる時……ルーシュの時の記憶か……)
── 凄く嬉しいです! 正式にパーティメンバーになった暁には、お兄様の矛となり盾となり時には囮になり……
── そうですか……それでも、お兄様が危険な時はすぐにフェイがお守りします。
「ああ、なんか……仕事人みたいなことを言ってたような……」
「かくいう私もよく覚えている訳ではないのですが……私はお兄様を敬愛していて、そのようなことを言ったのです。たとえこのような称号を得ても、フェイはお兄様の傍にいられるだけで十分幸せなのです」
………………
これがもしアニメやゲームだったらこの子は僕の最推しになっていたであろう。
こんな妹がいては『勇者』を捨てにくくなってしまう。
まあ、あくまで捨てにくくなるというだけで、相反する気持ちが相殺し合ったりはせず、選択肢は結局1つなのだが。
すると、牢屋の外から強面のギルド関係者の男が来た。
「とりあえず、この牢屋からは出てもらう。かと言って、この国の所有地外には出ることは禁ずる。国から許可が降りた後ならば出ることを許そう」
(どう考えてもただの執行猶予じゃないか……)
「わかりました。過ごす宿などは僕たちが決めてもいいですよね?」
「いや、そちらは我々が手配してある」
(どこまでも抜かりないなこいつら……)
「宿まで手配していただきありがとうございます!」
(……フェイはやっぱり気づいてないか……実際、本当にただ優しいだけならいいけど……)
「では、付いてこい」
* * * * * * * * * * * *
「この先の道を右に曲がった突き当たりにその建物がある」
「……建物の中の案内はしないんですか?」
「難しいことはない。中では自由にしてくれればいい」
(文句は受け付けないってことですね……はいはい)
「そこまで私たちを自由にして頂けるとは……誠に感謝致します」
(こんな雑な扱いで、本当にフェイは気づいてないのか?)
「では、何かわからないことがあれば、中の者に聞いてくれ」
(中の者? 人は一応いるのか……)
そうして男は来た道を戻っていく。
「では行きましょうか、お兄様」
その声に合わせて僕も足を運ぶ。
歩きながらフェイに言う。
「フェイ……これからは本当に臭い飯を食べることになりそうだよ」
「え?どうしてですか?」
「どうして……ってそりゃ……まあ、その建物を見ればわかるよ」
男に言われた右折道に辿り着き、建物があると思われる方向を見る。
「ほら……やっぱり……ってあれ?」
そこにはボロっちいアパートとかがあるのだと思っていた。
しかし、視界に広がっていたのは……
「わあ! 凄いですね! こんなところを無償で使わせて頂けるなんて!」
ヨーロッパのような本格的な噴水に、周りを飾る色とりどりの木々、それらの奥に聳え立っているとにかく巨大で豪華な家屋。
噴水だけでもかなりの大きさだというのに、その主張の激しいホテルは何倍も凌駕した大きさである。
まさか本当にただ優しいだけだったとは……
ここに辿り着くまでは道が木々で覆われていて、ほぼ周りが見えなかったため、一切気づかなかった。
「そういえば、聞いたことがあります。アレスタル王国には、世界の中でも一二を争うほどの旅宿があると」
「それが……まさかここ?」
(こんな良いとこ泊まらせてくれるなら今までの雑な対応なんだったんだよ!)
「恐らく……確かこの旅宿の名前は──」
* * * * * * * * * * * *
「我がアレスタル王国が誇る、アレスタルオブグローバルインターナショナルオネストファンタスティックミステリアスアトラクティブヴァイオレントホテルへようこそお越しくださいました。」
(……最後なんか暴力的入ってたぞ!?)
「噂通り長い名前のホテルでしたね……」
「お話はギルドより伺っております。遠方のラナタイト王国よりご足労いただき、旅の疲れも溜まっていることでしょう。ギルドより料金は支払われていますので、お部屋のご案内が終わりましたらご自由にしていただいて大丈夫です」
未だに実感がわかない。
家族旅行でもこんな豪華な所は来たことがない。
「それでは、お部屋のご案内をさせていただきます。お客様のお部屋は最上階の32階となっておりますので、こちらの魔法石での移動をおすすめ致します。」
そう言って、ホテルのウェイターは翡翠色の結晶を僕たちに手渡した。
「そちらは当ホテルの好きな階層に瞬間移動することを可能とした魔法石です。お客様は宿泊日数が定まっていないということなので、従業員用の物ではありますが、お受け取りください。その魔法石に魔力を流し込めば自動的に瞬間移動できるのですが……移動する階層は、流した魔力量によって決まるので、最初のうちはあまり思った通りに移動することはできないかと思います」
(まあ……そこは慣れと言うやつか)
「今から行くのは最上階ですので、思い切り魔力を流し込めば辿り着くはずです」
言われた通りに魔力を流し込むと、ものの数秒で最上階に辿り着いた。
(凄いなこれ……どうやって作ったんだ?)
「それではますこちらからご案内致します」
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ザックス・ラナタイト
レベル72
役職:アーククルセイダー
体力:803
魔力:396
攻撃力:402
防御力:401
魔攻力:256
魔防力:291
素早さ:380
知力:403
アビリティ:王家,物理耐性・上,魔法耐性・上,陽炎・中 ,水月・下,慈悲・上
称号:龍殺し
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固有魔法:カタストロフィ




