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第11話 『救済2』

「リオさんを母親から助けようとしているのではないですか?」


 フェイに聞こえない程度の小声でそう言うと、アルスは表情を一変させた。


「……どうしてそう思うんだい?」


「生物感知でレイノルズさんの家を見たときに、中に人はいませんでした。"人は"ね」


「……生物感知……なるほど」


「フェイ、レイノルズさんの所に行ってあげてくれ。娘さんがいない状態で、あの人は今とても不安のはず、誰が付き添ってあげた方がいい」


「は、はい! 確かにその通りですね、まだギルドの近くにいるでしょうか……」


 そう言ってフェイはギルドのある方へ走っていく。


「……人を言いくるめるのが上手いんだな」


「皮肉みたいに言わないでくださいよ。ただ、レイノルズさんがフェイに盗聴器とかを仕掛けていないか警戒しただけです。現に、レイノルズさんと出会ったとき、あの人はフェイの肩に触れていました」


「わかってるさ、とりあえず入れ。話は外でしない方がいい」


「あなたの家が安全という保証は?」


「安全だよ。1度もあの人を家に入れたことがない。戸締りもしっかりしてる」


「それなら遠慮せず入らせてもらいますね」


 僕がレイノルズを警戒し始めたのは、生物感知で家の中を感知した時だ。

 生物感知の仕組みはまだよくわからないが、生物の体のものならばどんなものでも反応するらしい。

 皮膚片だろうと、抜け落ちた髪の毛だろうと、"血液"だろうと。

 レイノルズの家の中は、誰のものかはわからないけど、最近の血の跡らしきものがいくつもあった。

 しかし、問題のフィル・レイノルズには外傷らしきものは見当たらなかった。

 もしかしたら、衣服の中に外傷が隠れていたのかもしれないが、このアルスの反応的に、恐らく母親がDV加害者説が正しいのだろう。

 そんな人のところにフェイを向かわせてしまったけど、多分大丈夫だろう。

 フェイは強いし、何よりDVをする人の心情として、自分と関係のない他人は襲わないはずだ……多分。


* * * * * * * * * * * *


──アルスの家にて


「それで、リオさんはいつから虐待を?」


「それは、本人からは聞いていない……でも、かなり長い期間されていたらしい」


「虐待に気づいたのは?」


「ある時に、リオが自分から話してくれたんだ。最初は俺だけにしか話さなかったんだ。でも、仲間のことも信頼してくれて、今回の行動に移れた」


「では、リオさんが今いる場所は?」


「それは……本人から絶対に誰にも言うなと言われているんだ。かといって、俺自身も詳しく場所を知っている訳じゃない」


「ええと……ということは、リオさんは1人で母親から逃げたかったと?」


「まあ……そういうことになるな……」


「……あなたたちはよくそれで納得できましたね」


「え?」


「よく考えて見てくださいよ。リオさんたちはあなたたちを信頼して、この作戦を実行したんですよね? それなのに逃げる時は1人で? 長い間母親からDVを受けていた女の子がですか? おかしな話ですよ」


「……何が言いたい?」


「あなたたちは信用なんてされちゃいなかった。それだけですよ。本当に信頼しているなら、全員で逃げればいい」


「……ッ!お前!」


 アルスが僕の胸ぐらを勢いよく掴みかかった。


「落ち着いてくださいよ。別に、僕はあなたたちに喧嘩をふっかけたかったわけじゃない。僕が言いたいのは、今からでも信頼を取り戻すべきだってことです」


「……信頼を……取り戻す……?」


「はい。まあ別に、僕が元DV被害者だったとか、いじめを受けていたとかではないですけど、なんとなくリオさんの心情がわかるんですよ」


 恐らくリオは、パーティのメンバーに迷惑をかけたくなかったというだけのはず。

 DV歴の方が長いのか、パーティメンバーと過ごした時間の方が長いのかはわからない。でも少なくとも、思い切って親から受けている虐待を打ち明けた相手の気持ちを無下にするような真似はしないだろう。

 たとえ、どれだけ心が病んでいたとしても、自分の居場所を作り続けてくれていた仲間は大切にする。

 僕自身はそうだった。

 ……いや、違う。

 そんなことは1度もなかった……何を言っているんだ……


「まあ言葉の通りですよ。今からでも、リオさんを探しに行って、あなたたちの本当の気持ちを打ち明ければいい。リオさんがあなたたちにDVを打ち明けられたように。そうすれば、リオさんはパーティメンバーの大切さをしっかりと思い出すはずです」


「リオのことをわかったようなことを言うなって言いたいところだけど……どうやら、お前の方が正しいみたいだな」


「あの母親から受けてしまった依頼はどうにかしてキャンセルします。まあ……難しいでしょうけど」


「そうか……なあ、君もついてきてくれないか? 君なら、リオの気持ちにちゃんと気づいてやれそうだ」


「こういう場合、部外者は話に入らないのが基本ですよ? 遠慮させてもらいます。それに、いつまでもフェイをあの母親の近くに居させておくわけにもいかないので」


「……わかった。パーティの皆と話し合ってみるよ」


「それでは……僕はこれで……」


 なんだか色々と重たい話だったなあ……

 昔から人の相談にはよく乗るタイプではあったけど、こんなに深刻な問題には立ち会ったことがない。


 ……そういえば、元はと言えば僕たちは自分のレベルアップをしなければならないのだった。

 それと、あの母親の依頼はどうやって断るべきか……絶対一筋縄ではいかない。

 というより、あの母親がDV加害者ならば、ギルドに通報するべきか……

 しかし証拠は僕の生物感知とアルスの証言のみ。

 十分なようで不十分だ。

 通報はアルスたちのパーティに任せよう……


 パーティ?

 そうだ! 思い出した。僕たちはパーティメンバーも集めければならないのだった。

 話を聞く限り、アルスたちのパーティは人数が少なさそうだし、もしかしたら……


「ああ……ごめん、1つ忘れてたと言いますか思い出したと言いますか……」


「どうした?」


「その……僕たち、パーティメンバーを集めてるんですよ。それで、色んな人にパーティへの加入を勧めたり、色んなパーティに加入を頼んだりしてたんですけど、ダメでしてね。良かったらアルスさんのパーティに入れさせてもらえないかなと……」


「もちろん構わないさ。ただその代わり、それだと部外者じゃなくなるよな?」


 やっとパーティメンバーを増やすことに成功したぞ!

 なんか、条件的なの出されてるけどまあ別にいいや。


「はいはい、わかりましたよ」


「よーし、それならパーティの皆にも伝えておくよ」


「それじゃ、本当にこれで」


 この件はフェイにも伝えなければ。

 フェイの了承はとってないが……まあ……大丈夫だろ。


 そうして、アルスの家の玄関の戸を開くと、


「──お兄様。」


「ああフェイ。丁度いいところ……に……」


 戸を開けた先には、フェイがいた。

 フェイの剣を、フェイの首に当てているレイノルズと共に。

==========

ルーシュ・ラナタイト

レベル33

役職(ジョブ)魔法騎士(ルーンナイト)

 体力:620

 魔力:480

攻撃力:218

防御力:198

魔攻力:302

魔防力:257

素早さ:189

 知力:203

アビリティ:王家,勇者,転生者,生物感知・極,魔力感知・極,魔導・極,物理耐性・極,魔法耐性・極,陽炎・極,水月・極,疾風・極,慈悲・極,達人・極

 称号:勇者

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固有魔法(ユニークマジック):不明

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