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第10話 『救済1』

「……ここ……かな?」


 特徴的な家は周りに他にもあるが、こんなにも真っ赤な家はここに来てから1度も見ていない。


「ここにレイノルズ様がおられるのですね。早速伺ってみましょう」


 そうしてフェイはその家の扉をノックする。


「……留守なのでしょうか?」


「…………今、生物感知をしてみたけど、中には誰もいないみたいだね」


 踵を返し、周辺にいないか探そうとすると、


「もしかして……依頼書を見てくださった方々ですか?」


 買い物用のバッグを手にぶら下げている、真っ白な髪の女性がいた。年齢は恐らく40~50ぐらい、この人で間違いないだろう。


「もしかして、レイノルズ様ですか?」


 フェイがそういうと、相手の表情は一変し、手にぶら下げていた買い物用のバッグを落としてしまった。


「ああ……ああ……」


 その表情から読み取れるのは強い安堵のみだった。

 そしてレイノルズさんはゆっくりと僕らに近づき、


「お願いします! 娘を! 娘を助けてください!」


 フェイの肩を鷲掴みして、強く懇願した。


「大丈夫です。必ず、私たちが娘さんを探し出しますから」


 フェイが相手を落ち着かせるように言うと、


「違うんです! 娘は行方不明になったのではありません! きっと、パーティの仲間にどこかに監禁されている、もしかしたら殺されてしまったかもしれない!」


「レイノルズ様! とにかく一旦落ち着いてください!」


「はあ……はあ……すみません。取り乱してしまい」


「大丈夫ですよ。ゆっくり話してもらえれば大丈夫です」


(フェイは人をなだめるのが上手いなぁ……)


「あなたたちが、依頼を受けてくださった方々ですよね? 立ち話をするのもなんですから、家に上がってくださいと言いたいところなんですが……実は今、とても客人を招き入れられるような状態ではなくて……ギルドでもよろしいでしょうか?」


「ええもちろん、大丈夫ですよ」


「本当にありがとうございます」


* * * * * * * * * * * *


──冒険者ギルドにて


「それでは、詳しく事情を教えて頂けますか?」


「はい、娘が家に帰ってこなくなったのは、その依頼書にも書いてある通り9月31日、娘と娘のパーティメンバーがグリフィン大洞窟に向かってからです。グリフィン大洞窟から娘のパーティメンバーが帰って来たとき、なぜか娘だけ帰ってこなかったんです。事情をそのパーティメンバーに聞いたのですが、誰も何も教えてくれなかったんです」


「グリフィン大洞窟……確か、冒険者ランクがフローライト級以降でなければ入れないというあの……」


 冒険者ランクの更新を行っていない僕たちはまだタルク級だけど、多分今の実力なら……


「フェイ、多分今の僕たちは、ちょうどフローライト級ぐらいじゃないかな」


「私も恐らくそうかと……ギルド受付に更新を頼みに行ってきます」


 そう言ってフェイは席を立ち、ギルド受付に向かう。

 僕の目の前にはレイノルズさんが悲しげな表情で座っている。

 こういう時、どう声をかけたらいいのかわからない。

 当たり障りがなく、事件に関連のあるような話題……


「リオさんの冒険者ランクは何級だったんですか?」


「フローライトです。最初のタルク級の時から、ずっと同じパーティメンバーで戦ってきたんです」


「ということは、パーティメンバーの方々とは仲が悪かった訳ではないと」


「そのはずなんですけど……」


「なら、パーティメンバー全員がリオさんのことについて口を割らなかったというのは一体……」


「私もわからないんです。皆口を揃えて、わからないと言うんです。パーティ全員で洞窟に行って、パーティメンバーが1人いなくなったのだとしたら、普通そのまま見つかるまで探すでしょう。だから、パーティの方々が何か企んでいるのではないかと疑ってしまい……」


 なんとなく話はわかった。

 話を聞く限り、他のパーティメンバーが何かを企んでいたのはほぼ確実だろう。

 しかし、まだ何もわからない。

 そうして色々考えているとフェイが戻ってきた。


「お兄様、受付にお兄様のステータスも一緒に伝えておきました。私はフローライト級、お兄様はオーソクレース級だそうですよ」


「……いつの間に僕のステータスを……というより、僕フェイよりも2階級分も差があったんだ……」


「それにしても、お兄様のアビリティのほとんどが最大で驚きました! いつの間に強化していたのですか?」


「ええと……いや、そんなことより今は依頼について話さなきゃだろ?」


「あ、そうでした!」


「それではレイノルズさん……パーティメンバーの居場所はわかりますか?」


「1人だけなら……娘の幼なじみの男の子で、名はアルス・フォーリス。彼の家は私の家の東側の隣の家です」


「わかりました。では、レイノルズ様は安心して待っていてください。必ず私たちが連れて帰ってきますから」


「よろしくお願い致します」


* * * * * * * * * * * *


──レイノルズ家前にて


「ええと……東側の家だから……」


「こっちですね」


 フェイが指さした方向を見て、自分の持っているコンパスを確認する。


「……フェイ、真逆だね」


「そんなはずは……!」


 慌てたフェイも僕のコンパスを確認する。


「……」


 理解したフェイはわかりやすいほど赤面している。


「……た、たまたまですよ! 決して方向音痴だとか、東西南北がわからないとか、そういう訳ではありません!」


「……じゃあ北西は?」


「ば、馬鹿にしないでください! ええと……東がこっちなので……西がこっち? だから……北は2分の1の確率で……こっち……のはず……だからその間で……こっちですよね!」


「うん、それ南だね」


 恥ずかしさに耐えきれなかったのか、フェイはそのまま床に四つん這いになって倒れた。

 フェイにまさかこんな弱点があるとはかなり以外だった。


「まあ別に、方向音痴は悪いことじゃないよ。僕もコンパスがないと正確な方向は少し曖昧だし。」


「……違うんです……方向音痴では……方向音痴などでは……」


 恥ずかしさで今にも蒸発してしまいそうなフェイを一旦放置し、生物感知で例の家の方向を見る。


「人は……いるみたいだな……」


 そして、その家の扉をノックする。


「すみません、少しお話を伺いたいのですが」


 数秒経ったあと1人の男が出てきた。


「はい、どちら様でしょうか?」


「ルーシュ・ラナタイトと申します。アルス・フォーリスさん……ですか?」


「ああ、はい、そうですが……ラナタイト、ということは、あなたは隣国の……」


「ああまあ、そこは一旦気にしなくて大丈夫です。それより……」


 単刀直入に言うべきか、それとも遠回しに言うべきか……

 そう悩んでいると、


「リオ・レイノルズさんについて知っていることを教えてください!」


 先ほどまであんな状態だったフェイが、いつの間にか背後にいた。


「……リオは……」


「リオさんに一体何があったんですか!」


 アルスは少し悩んだ様子の後、口を開いた。


「あんたたちは、フィルおばさんに頼まれてここに聞きに来たのか?」


「はい、その通りです。リオさんについて、あなたを含めたパーティメンバー全員が口を割らなかったと聞いて、私たちが直接聞きに来たんです」


「そうか……悪いけど、そういうことなら俺は何も言うことはない。帰ってくれ」


「どうしてですか! その素振り、何か知っていることがあるのでしょう!」


「フェイ……無理に尋問はしなくていい」


 勢いよく問い詰めるフェイを、なだめるようにして1度僕らから遠ざける遠ざける。

 "とある理由のために"。


「アルスさん、あなたはもしかして……」


「……!」


「リオさんを母親から助けようとしているのではないですか?」

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