北の魔女、その後
ルルルンと、エクスキャリバーンとの激しい戦いから少し後……
上空に出現した巨大な魔法陣、責任者でもあるライネスの単独行動、かつてない異常事態に、急所聖帝騎士団が出陣するも、全ては終わった後。
北に広がる広大な森は、凄惨な戦闘の跡と巨大な魔法陣の謎だけが残された。
討伐対象であった北の魔女も発見することできず、北部遠征は聖帝騎士団の徒労に終わった。
単独で出撃したライネスは、遅れて到着した他の隊長達に、不満げに証言する。
「私が到着した時にはすでにこのような状態だった」
聖帝騎士団の第一位がそう言うのであれば、それが真実。今後も行方不明となった魔女を捜索し、この付近の調査を行う―――
これが今回、聖帝騎士団の出した結論である。
その話とは別に、街にはとある噂が広がっていた。
『北の魔女が消えた』
空に魔法陣が出現して以降、街では魔女による被害がピタリと止んだのだ。
噂は瞬く間に広がり、消えた魔女については様々な憶測で尾ひれのついたニュースが、世界を賑わしていた。
「北の魔女は死んだ」
「聖帝騎士団が討伐した」
「普通の人間になりすまして潜伏してる」
多くの噂は、どれも結論付ける証拠もなく、魔女の姿を見た事のない世論が作り出した妄言でしかない。真実を知る物はごくわずか。
あの場にいた、ルルルンとライネス、そして当の本人であるサクラだけなのである。
世間がその噂で盛り上がっている一方。
「で?説明をしてもらおうかケイスケ」
魔女討伐の一件の当事者たちは―――
一連の騒動の総括を始めていた。