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策謀のマギリア④

設定変更による矛盾点修正のため、30話から67話までを順次再投稿しております!!

 ひとしきりシアとのいちゃいちゃを見せつけた後、ルルルンはフェイと本題に入る。


「結論なんだけど……」

「はい」

「申し訳ない!!」


 ルルルンはフェイに対し深々と頭を下げる。


「現状即決は出来ない、正直こんなにもいい物件を紹介されるなんて思ってなかったし、すぐにでも契約したいのが本音だけど」

「そうですか」

「今はまだ、金がないんだ、だからどうにもこうにも、ならなくて……」


 ルルルンは事実をフェイに伝える、申し訳ない気持ちと、自分の中に目標を持たせてくれた感謝と、反する気持ちが両立している。

 そんな気持ちとは裏腹にフェイはニコニコと笑顔を浮かべる。


「大丈夫です、分かってましたから」

「え?」


 ガッカリされると思っていた手前、予想と違う態度にルルルンは面食らった。


「ミーリスさんからは、あいつ金にゃいから冷やかしになるけど、許してくれにゃ、と言われておりますので」

「いや、事実だけど、なんかムカつくな」


 なるほど、と納得するものの、ニヤニヤしているミーリスが容易に想像できる。


「なので、お金の事は、ルルルンさんのタイミングで大丈夫です『この街が商売をするのに適しているって事を知ってもらう』今日の目的はそっちの方が大きいですから」

「いや、なんかすいません」


 今日のアテンドの目的を聞き、ルルルンは、はっきりとフェイがやり手である事を認識する。きっと知り合いになって損のない人物だと。


「ルルルンさんに少しでもこの街で商売を始めるメリットがある、条件のいい立地が多いって事を知ってもらえれば、私は満足です……それに」

「それに?」

「貴方には才を感じるんです、根拠も何もない私の勘ですけど」


 オリオール商会のやり手、フェイの商才がルルルンと懇意となる事が自分の会社へのメリットになる、そう感じているのだ。


「だから今日のこの日は、決して無駄じゃないんです」

「ありがとうございます、そう言ってもらえると、やる気がでます」

「期待してます」

「あの!」


 二人の話がまとまりそうなタイミングで、それまで黙って話を聞いていたシアが口を開く


「どうしたシア?」

「お金っていくら必要なんですか?」

「え?」

「今の話ってルルさんの夢なんですよね!」

「そ、そうだけど」

「私、ルルさんのお力になりたいです!!」

「シア?」


 ルルルンの力になれるかもしれない。シアは困っているルルルンを見て黙っていられなかったのだ。少しでもルルルンを助けたい!強い思いがシアを前のめりにさせる。


「それはシアさんが、ルルルンさんの代わりにお金を出すという事ですか」

「はい!こう見えて、貯金はちゃんとしますので!」

「シア、いいんだって、そういう話じゃないから」

「大丈夫!任せてください!おいくらなんですかね?」


 ルルルンの声は聞こえておらず、フェイに具体的な金額を質問すると、フェイが優しくシアに耳打ちをする。耳打ちした内容、それは物件を購入するための具体的な金額であった。


「!!!!!!!」


 あまりの金額にシアは固まってしまう。


「シアさんの気持ち、ルルルンさんはすごく喜んでると思うけど、無理はだめですよ」

「ごめんなさい、ルルさん、私は無力ですぅ」


 涙目で申し訳なさそうに謝るシアを、ルルルンは優しく撫でる。


「無力なんかじゃないよシア、今ので決心がついたまである」

「決心?」

「うん、この街でなんとしても会社を作って成功させる、絶対ね」

「ルルさん……」

「シアにそんな顔してほしくないからね」

「そんな顔?」

「笑ってるシアの方が好きだからね」

「ルルさんっ!!!!」


 ルルルンの軽口に、シアは翻弄されている。


「もし本当にこの街で会社を作るって、そうなったら……」


 シアも一緒に、と続ける前に言葉を止める。ノリと気分でそんな大事な事を約束するのは軽率だと考えたルルルンは、言葉の代わりにシアの頭をポンポンと軽く撫でる。


「なんですかぁ?そうなったらなんなんです?」

「いや、やっぱりシアは可愛いなって」

「うえぇぇええ!だから、それだめですってばルルさんん」


 顔を赤くするシアを笑顔で見つめるルルルンは、彼女の思いを受けて決意を新たにする。


「ありがとうなシア」

「えへへへ」

「フェイさんも、今日は本当にありがとうございます、困ったら多分頼ると思いますんで、その時はよろしくお願いします」

「こちらこそ、応援してます」


 フェイと別れ、シアと帰路につく。


「そういえば」

「どうかしました?」


 ふと先日の襲撃者の事を思い出すが、今日ほど油断しているタイミングで何もしてこないという事は、諦めたのか?と、ルルルンは軽く考える。


「いや、考えすぎか」

「?」

「なんでもないよ、シア明日仕事入ってるんだろ?」

「はい!」

「そっか、じゃあまた明日だな」

「また明日です」


 シアと自分の宿の分かれ道、シアに手を振り見送ると、得体の知れぬ襲撃者の事を考える。


「俺の方から探すか……」


 ライネスに任せるべきか、自分で処理するべきか、優柔不断な思いを抱えながらルルルンは帰路に就くのであった。

数ある作品の中から、この作品を選び読んでいただきありがとうございます。


面白い!続きが読んでみたいと思っていただけたなら幸せでございます。




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