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本気のテスト

「俺で試すとは、どういう意味だケイスケ」

「ラザリオンの力をフルパワーで俺にぶつけてくれって意味」


 そう提案するルルルンの表情は嬉しそうで、ライネスは逆に不気味に感じる。


「正直この力でも、お前に勝てるとは思わないんだがな」

「俺の魔法が、ライネスをどれだけ強くするのか、それを見たいんだ」

「……わかった」


 対峙する二人に遠慮の空気は全く存在しない。


「制御の訓練でもあるから、遠慮せず攻撃して!中途半端じゃ訓練にならないから」

「わかった、ケイスケこそ手加減は許さんぞ」

「手加減したら特訓にならないだろ?」


 にやりと笑むルルルンから放たれる気配は、遠慮など少しも感じられない。ライネスが剣を抜き、息を整え、構えをとる。

 ライネスの帯電した全身からは、圧倒的な闘気が溢れ出ている、髪の毛はラザリオンの影響でフワリと浮かび、美しく靡く(なび)

 おそらくこれほどの力を持つ剣士は、この世界には存在しない、魔女の力を高く見積もったとしても、ライネスの力は飛び抜けている、実際手合わせをしたルルルンの見立では、それほどの力だ。その力を更に魔法で強化する、魔女には悪いがそんなのもはやチートでしかない、ルルルンはとんでもない魔法剣士を生み出してしまったのだ。

 ライネス自身も手に余るその力に恐れを感じている、いままで不確かだった魔法の力を、自らが行使することで、改めてその圧倒的な力を認識したからだ。この力を持っているのと、持っていないのとでは、確実に大きな差となる。魔女の魔法に聖帝騎士団が手玉に取られる事も今なら理解できる。だがしかし、これだけの力を手に入れてもなお、ライネスは感じている。


『目の前の魔法少女には絶対に勝てない』


 それほどまでに彼女から見たルルルンは底知れない化け物なのだ。


 しかしライネスの心は、底知れない化け物を目の前にして高揚していた。全力を出しても勝てない圧倒的な力を持つ強者との対峙に、喜びに近い興奮を感じていたのだ。今の自分自身と、魔女と呼ばれる者達との力の差を計る好機。

 剣を握る手に力が入る、力を込めた足先が全力で飛び出そうと、土を噛みしめる。


「いくぞっ!!!!」


 先に動いたのはライネスだった、地面を蹴るその足は雷を纏い、踏みしめた大地が土煙を上げて跳ね上がる、その踏み込みの速度はまさに稲妻の如く、ラザリオンで強化された肉体は、ただでさえ速いライネスのスピードを更に強化する。

 常人には決して認識できないレベルのスピードに、ルルルンはまったく反応できず、首元に閃光が迫る。


「入る!!!」

「そうはいかない」

「な!?」


 ライネスの一撃は確実に決まったと思われたが、ルルルンの掌がそれを防いでいる。


「反応した!?」

「さすがライネス、思った以上の速さだ。でも」


 ルルルンの眼が鋭くライネスを見透かす。


「今寸止めしようとしただろ?」


 図星であった、ライネスはもしかしてを想像し一瞬躊躇した。


「それは……」

「その躊躇が自動防御魔法の反応を超えられなかった」

「自動防御魔法?」

「遠慮は無用だって、何かあっても大丈夫だから」

「絶対か?」

「絶対だ、多分死んでも死なないから」

「馬鹿な事を言う」


 念を押したライネスの雰囲気が変わる。


「だったら遠慮は無しだっ!!」


 ライネスが刀身に力をこめると、雷が走る。


「!?」


 ライネスの一撃を防御するも、ルルルンの掌に展開していた魔法障壁に亀裂が走る。


「障壁が破られる」


 ライネスの雷剣がルルルンの魔法障壁を破壊する。身体のラザリオンを武器へ流し威力を増大させる応用魔法を、ライネスは無意識に行っていた。


双呪接続ディレグル(ワン)広霧展開クラディア・アクリオ

「なにを!?」


 障壁が破壊された瞬間、ルルルンが双呪を展開する、二つの魔法を同時に展開するルルルンの独自技術、同時に違う属性の魔法を発動することで、全く違った魔法に昇華させることができる。

 ルルルンが発動したのは霧魔法、クラ(火)とアクリ(水)を合わせる事で、あたり一面を一瞬で霧に包む超界魔法。


「ぐっ!!」


 放たれた霧の勢いに、ライネスがルルルンから弾かれる、すぐに態勢を整え、ルルルンの次の攻撃に備える。


「見た事のない、魔法ばかり……」

2(ツー)アクリ」


 バシャン!ライネスの頭上から大量の水が落ちる。


「わっぷ!」


 突然の水攻めにライネスは反応できず、まともに食らう。


「油断大敵、今のが攻撃性のある魔法ならライネスの負けだよ」

「わかっている!!」


 濡れた髪を勢いよく振り、水を払うと、霧に隠れたルルルンの気配を探す。

 ほんの少しの気配でもライネスは見逃さない。今までの戦闘経験から、どんなにうまく隠れる相手であっても気配を完全に消すことはできない、神経を研ぎ澄ませば半径500M以内であれば、必ず見つけることが出来る、しかし……


 ライネスの自信はあっさりと打ち砕かれる、ルルルンの気配をまったく掴むことができない。気配は完全に消えている。


「こんな事があるのか?」


 気配の完全遮断とでも言えばいいのか、ルルルンの底なしの力に、ライネスは恐怖する。

数ある作品の中から、この作品を選び読んでいただきありがとうございます。


面白い!続きが読んでみたいと思っていただけたなら幸せでございます。




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