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天賦の才

 ライネスにの身体に雷が走る、ライネスを中心としてバリバリと光の柱が無数に発生する、あまりに強い発光により、夜だというのにライネスを中心に一面が昼間のように明るく照らされていた。

 ライネスの金色の髪は帯電の影響でふわりと浮き上がり、瞳の色も金色に変色していた、ラザリオンは間違いなく『発動』したのだ。


「おい、ケイスケ、これは、どうなんだ、大丈夫なのか?なんだかバチバチいってるぞ!大丈夫なのか?なぁ」

「すごい……」


 ルルルンはライネスを見て驚きを隠せないでいる。


「なんだ?これは、どういう状況なんだ?ちゃんと教えてくれ!!」

「……成功、した」


 絶界の魔法ラザリオンは間違いなく発動し、ライネスの制御下にある。魔法の発動に成功したのだ。


「成功?こ、これが、成功なのか?バチバチしてるのが、全然わからんぞ!!」

「ライネス、すごい!すごいよ!!!成功だ!!ラザリオンが発動した!!」


 ライネスの快挙に誰よりもルルルンが喜んでいた。


「全然実感が湧かないんだが?」

「何言ってんだよ!絶界レベルの魔法を一発で成功させたんだぞ!!しかもそれが初めての魔法で……ありえない!!天才だよ!ライネス!ほんとすごい!!ライネス!!」


 ルルルンは、思わずライネスに抱きつき大はしゃぎする。


「ちょっと!ケイスケ!落ち着け!」


 そういって、抱きついてきたルルルンを引きはがそうと、ライネスは腕に少し力を入れる。


「がっ!」


 バチッと電撃が走る感覚と共に、想像を超える力で、ルルルンを大きく突き飛ばしていた。


「ええええ!ケイスケー!!」


 想像を超えるその力にライネス自身が一番驚いていた。


「すごいぞぉライネスー!」


 100メートルほど吹き飛んだルルルンが、遠くから大声でライネスを褒める。

 ライネスは自分の意思とは全く違う力の発動に、かなり動揺している。感じたことの無い自分の想像外の場所からもたらされたような、異質な力、魔法に初めて触れるライネスは何度も自分の身体を確かめていた。

 何事もなかったようにライネスの元に戻ったルルルンを、突き飛ばした当の本人が心配するが、ルルルンはまったくの無傷であった。


「大丈夫なのか?」

「大丈夫、大丈夫、物理ダメージは基本受けないように自動障壁張ってるから」


 ルルルンの自動防御魔法により、物理のダメージは全て無効になる……それを聞いて少し安心するものの、ここまでとは聞いていなかったライネスは少し困り顔で文句を言う。


「肉体強化にしてもここまでとは聞いてないぞ!」

「言ってないから」


 動揺するライネスとは裏腹に、魔法を授けたルルルンは、ニコニコとご機嫌である。


「ラザリオンは、使用する人間の元々の力が強ければ強いほど、その効果が上がる魔法だから」


 単純な肉体強化ではなく、その人間の潜在能力を最大限まで引き上げるのが、ラザリオンの正しい効果である。ライネスほどの手練れが使用すれば、身体能力は通常のラザリオンの10倍以上に跳ね上がるだろう。実際ルルルンの予想は的中し、その効果は明らかに表れている。


「それは、なんとなく分かる、明らかに肉体が活性化してるからな」

「いつもみたいに剣を振ってみてよ」

「ああ……」


 そういいながら、ライネスは剣を構え、いつもの感覚で剣を振るった。


「なっ!?」


 その速さは、明らかに常軌を逸していた。

 通常のライネスの剣筋はギリギリ見えるレベルだったが、今は全く見えない、光の筋が何となく見えるだけ……おそらく剣を振るっているライネスが一番驚いているであろう。


「ありえないぞ、この力は」


 そう言いながら、なんども剣を振る、その太刀筋は全く見えない、本当に見えない、末恐ろしい力、ライネスはやはり天才だ。


「ほんとすごいよ」


 心の底から賞賛の言葉が出てきた、ここまで魔法を効果的に使える剣士が未だかつていただろうか?ルルルンの記憶ではおそらく存在しない、ライネスの力はそれほどなのだ。


「魔法の力、本当にすごいな……」

「ライネスの剣術と身体能力は、確実に俺より上、だからそれを底上げできれば、一番ライネスのためになると思って」

「そうなのか?」

「実感わかない?」

「まだ慣れてないからな、自分の力だとは思えない」

「だったらさ」


 ルルルンはそう言うと、ライネスの前に立つ。表情はまるで新しいおもちゃを見つけた少年のようであった。


「俺で試してみようか?」


 その言葉には、いつもの軽薄な言葉の軽さは存在しなかった。

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