ミーリスだにゃ
猫耳のような髪飾り、小柄で子供のような風体、笑顔が眩しい可愛らしい少女が、あのライネス率いる第一騎士団の副団長?ルルルンは驚きを隠せずいた。しかし、ルルルンにはミーリスの容姿よりも気になる部分があった。
「ミーリス・ムジカダニャちゃん?」
「違う、ミーリスだにゃ」
語尾に「にゃ」反応するなという方が無理な話である。
「え?なにそれ、キャラ無理してない?大丈夫?」
「してないにゃ!」
「辛かったらライネスに相談しなよ」
「辛くないけど、わかったにゃ!」
「みんな席につけ、休憩だ」
ライネスはそう言うと、ジェスチャーで自分の隊に着席を促す。
隊のメンバーがおのおの席につくが、ルルルンのミーリスへの興味は何故か尽きなかた、妙なキャラクターという理由だけではなく、どこかで会った事があるような、既視感。
「そんなに見つめてどうしたにゃぁ?」
「いや、気になって」
「視姦はやめてほしいにゃ」
「その顔からそんな言葉は良くないと思うぞ」
「あ、ちなみに、ミーリス同性でもいける口にゃ、どんとこいにゃ!」
「ああ……そう」
「冗談がすぎるぞミーリス」
「ごめんにゃさい」
「ちなみに年齢はおいくつで?」
「22にゃ☆」
「見た目詐欺!!」
「合法ロリにゃ」
とんでもない逸材だ!!ルルルンは目を輝かせる。
「あのさ、ミーリスってどっかで俺と会ってない?」
「うーん、ルルみたいな美少女なら忘れるわけにゃいと思うけど」
二人してうーんと悩むが、思い出せない、ミーリスの耳、ニャン言葉、確かな印象がルルルンの記憶の底に存在する。
「にゃん、にゃん」
「にゃにゃにゃ」
ぶつぶつとにゃんにゃん言う二人を、ライネスは生暖かい目で見守っている。
「あ!」
ルルルンが声を上げる。
「思い出した!」
「にゃん?」
「馬に乗ってたにゃんこ騎士!!」
「馬?」
「そう、街の外で化け物に追われて死にかけてた所を助けてくれた!!!」
「外で?」
「でっかい犬に追われて!!」
「あー!!!思い出したにゃ、魔獣に追われてた美少女にゃ!!」
異世界に転生してすぐ、犬のような化け物に追いかけられていたところを、助けてくれたネコミミの騎士、それがミーリスだったのだ。お互い指さし、思い出した事への満足感に満たされる。
「その節は助かりました」
「ご無事でなによりにゃ」
「知り合いなのか?」
「命の恩人だ」
ケイスケの命の恩人??自分より遥かに強いルルルンをミーリスが助けた?どういう訳か理解できず、ライネスが首を傾げていると。俄然にゃんにゃんミーリスに興味がわいたルルルンはミーリスの隣に座り、会話をしようと試みるが、ミーリスの座っていた椅子はライネスによって強引にズラされて、ライネスがルルルンの隣に座った。
「なんでライネスが隣に座るんだ?」
「別に、深い意味はない、お前はちゃんと仕事をしろ!」
「団長かわいいにゃ」
深い意味は無いと主張する席替えを、クールにこなしたライネスは、ルルルンに耳打ちをする。
「今日の夜、魔法の事、訓練してくれるか?」
約束をしていた、魔法の訓練についての相談であった、継承したものの中々都合が合わず伸び伸びになっていたのだ。
「OK、じゃあ店で待ってるから、大丈夫になったらここにおいで」
「わかった」
こそこそ密約を交わす二人にミーリスが近づき、猫のように絡みつく。
「おやおや、夜に二人で会う約束なんて、やっぱり噂は本当なのかにゃ?」
「噂?」
「ライネスの愛人、噂の美少女ルルルン」
「ああ、その話ね、実は」
嘘だと言おうとすると、それに被せるように。
「本当だ」
「にゃぁ!」
「ええ!?」
ライネスが愛人疑惑を肯定する。
「ラ、ライネスさん?」
「だから密会をする、ミーリス、いいか?密会とは秘密の逢瀬、誰にも知られてはいけない、だからお前は『この事を口外してはいけない』わかるな?密会は秘密だから密会なんだ」
「ミステリアスにゃ!秘密、密会、わかった、内緒にするにゃ!」
「そうはならんだろ!」
「ありがとう、流石ミーリスだ、内緒で頼むぞ、内緒で」
そう言って、ミーリスの頭をなでなでするライネスからは「喋ったらどうなるか分かっているな?」オーラが出ていた。ミーリスはプルプルと震えながら頷くしかなかった。
「肯定しちゃっていいのライネス?」
「否定していかないスタイルで行く」
「嘘に嘘を重ねるのは愚策だと思うけど?」
「そうかな」
「自分はライネスがそうしたいなら、反対しないけど」
「ケイスケには迷惑はかけないから、そういう設定でいいだろ?……だめか?」
急にしおらしいライネスから、ルルルンは目を逸らす。
「その言い方はズルいぞ」
「なんで?迷惑をかけないのは事実だろ?」
「いや、そいう話じゃ……まあ、いいか」
そんな言われ方をしたら、認めざるを得ないじゃないかと、少しずるいライネスのお願いは受理される。愛人否定したカイン先輩にはなんて言おう……
「まあ、いいか」
ルルルンは二秒で考えるのをやめた。
「おう!ルル!料理運べ!!なにさぼってんだ!!!
「はいはーい!じゃあ、また後で」
「ああ」
「また後でにゃ」
「ミーリスはお留守番」
「にゃい」
バルカンにどやされながら、第一騎士団を全力でおもてなし!ルルルンの忙しい一日はまだまだ続くのだった。
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