8. お姉ちゃんは可愛い。でもオトナな彼女との同居は刺激が強すぎる
五
合コンというのは知人の繋がりでやるものもあれば、知らない人同士でやるものもあるらしい(ネット調べ)。
その場合は合コン運営サイトなるものに登録し、お金を払うことで参加できる(ネット調べ)。休日だけかと思いきや、平日も随時開催しているのだそう(ネット調べ)。
というわけで。俺は姉を合コンに行かせることを決意した。いわゆる『可愛い姉は合コンに放り込め』と故事にもあるアレだ。
俺はその日の夕飯時、
「試験どうだったの〜?」
ささみチーズ春巻きを口にしつつ、こう尋ねてきた早姫姉への答えをどうにかはぐらかして、
「それより早姫姉さ、彼氏欲しくない? 欲しいよな、そうだよな」
と同意を求めた。
合コンに無理に連れて行かせるのは気が引けたのだ。本人の了解が欲しかった。理想の回答は、「うん! だから今度合コン行きたいんだ!」だったのだが……。
早姫姉は愛らしい顎にちょんと左の人差し指を当てる。
「いらないかなぁ。ほら今の私にはこうくんがいるし!」
「なんで俺? 今は彼氏の話してるんだ」
「こうくんがなってくれるの? なら欲しいかなぁ♡」
「……なっ」
姉は、きらんと目を輝かせる。それがあんまり可愛くて、どきっとしてしまった。
やめてくれ、早姫姉。その目は俺に効く。なにせ数年前には好きだったこともある人だ。
不意打ちに、俺は少し引いてしまった。そこへ、彼女は箸で掴んだ春巻きを「はい、あ〜ん」とこちらへ近づける。
「お昼はごめんね、こうくん。つい大声で叱っちゃって。許してくれる?」
「……別に先生だったら普通だろ」
「普通じゃないよ。こうくんが女の子と話してたからってだけで、ちょっと言い過ぎちゃった」
早姫姉の声は、尻すぼみになっていった。
どうにかもう一度彼氏作りの話に持ち込みたかったが、この状況では簡単じゃない。俺は素直に口を開いて、春巻きを受け入れる。
「美味しい?」
まず大きすぎる。もごもごしか言えない。
が、味はたしかに素晴らしかった。噛み終えてから、うんと頷く。すると姉は、
「ありがと♪」
と俺の頭をひと撫で。
そこまでされてしまえば、彼氏の話を振り返すことはできなかった。
なになら一人暮らしの意志さえ揺らいで、やっぱり『可愛い姉は家に置いておこう』とさえ思ってしまう。
早姫姉が同棲にOKを出しているのだ。もう世間の目は気にしないというのもアリなのかもしれない。たしかに勉強はさせられるが、ゲームが全くできないわけじゃないし、不自由なことはそれほど──
そんな風に頭を巡らせつつ、食事のあと、俺は洗濯物に取り掛かる。
カゴから洗濯機へ、衣類を移していて、はたと、自分が右手に握っているものに気がついた。ふっくらと柔らかい、かなりの大きさの半球状の布生地が二つ。
oh,it's her ブラジャー。
そしてあろうことか左手にも、oh,it's her パンティ。
俺が手を震わせていたら、
「なーに、お姉ちゃんの下着で興奮しちゃった~?」
洗い物をしていたはずの早姫姉がニタニタと、両脇から交互に、俺の顔を伺ってくる。
「してない!!!!」
本当は少ししかけたけど。
何カップなんだ、Eは固いだろこれ、と確認しかけたけど。
「はーい。じゃあブラジャーはね、このトップの部分の真下のところを洗濯はさみで挟んで干してくれる?」
早姫姉がつんつんとブラジャーの突起部分を触る。手つきからなにから、単にエロくて困る。
男子高校生には有毒だ。
今のやりとりごと、街の白ポストに投函してしまいたい。いやギャルゲーならいいんだよ、ゲームなら。でもこれは現実だ。
こんなとことがこの先繰り返されると思えば、メンタルが持たない。
「やだ、顔真っ赤だよっ。こうくん? あっもしかして、なにか想像しちゃった?」
「してない!!」
したけど。
こう叫んで、隣人に二日連続の壁ドンをくらい、再度俺の決意が固まった。
指の先に、きゅっと力を込める。ブラジャーとパンティを握りしめた形になったが、やましい思いはゼロだ。
こうなったら、もう一人暮らしをするしかない。
そのためには、無理にでも、早姫姉に彼氏を作らせねばなるまい。
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