最後に残ったのは天使か悪魔か。くぅ子BATEND
ifのくぅ子バットエンドです。見たくない型はスルーで。
僕が部室にある私室(1LDKのもはや一つの家)でパソコンをしていると、〈女装女子〉ひなが襲撃してきた。
「よぅ!ぶちょー」
扉を勢いよく開け放つひな、扉が壊れそうだ。ひなは大量(八袋)の紙袋を重そうに持っている。僕はパソコンのメーラーを閉じメッシュチェアを回転させて、ひなの方を向く。僕の部屋はL字事務用デスクの上にパソコンのほか、プリンターとスキャナーが置いてあり、引き戸のクローゼットとベッドがある。そのほかにはほとんどもが置いてないシンプルな部屋だ。当たり前だ、ここで生活しているのではなく、ここは部室だ。
学校の一階をほぼ占拠するハーレム部部室は、一般生徒にどう思われているのだろう?部員に聞いた話では一般生徒は意識しない様にしているとか、聞いたことがあるが。「一階ですか? 我が校に一階なんてありましたっけ? この校舎は二階からしかありませんよ? 階が見えるなんて目医者に行ったほうが良いのでは?」みたいな感じに。
で、話を戻そう。どこかの高校か、もしくはどこかのアニメの制服を着たひなが「よっと」と紙袋をベッドの上に置いた。
「で、何なんだ?これは?」
僕はとりあえず訪ねる。
「いやねー。何故か家が大掃除する羽目になっちゃてさぁ。僕の部屋も姉とか母とか父とかにあさられそうなんで、エロ本とか、エロゲとかAVとかを避難させようと思ってね」
その紙袋に全部エロが入っているのか、八袋ある上にテレビが入るほど大きいぞ。
「って、僕の部屋にそんなモノを持ってくるな!」
「遠慮するなよぅ!」
「してない!」
「ぶちょーも興味あるだろ?」
「あるけど、だめだ!」
一夜とかシロイとか恋歌とかに見つかったらなんて言われるか、ものすごい引かれて悪口言いまくられるぞ。
「そもそも、お前高校一年だろ!どうやって買った!?」
「僕の〈モエルン〉があればお茶の子さいさい」
右手の人差し指をくるくるさせながらドヤ顔で言うひな。
たしかに、ひなの〈モエルン〉なら可能だろう。ひなの〈モエルン〉は幻覚を見せる〈モエルン〉だ。
「まさか、盗んできたのか?」
「いやぁ、僕の見た目をちょっと大人っぽくしただけだよー。監視カメラは騙せないしねぇ」
「こんなに買う金はどこから出たんだ?」
全部あわせると何十万もしそうだぞ。
「ハーレム部のみんなを隠し撮りした写真がさぁ~、学園でも外のもおじさん達にも人気なんだよねん☆」
笑顔でピースをするひな。
「何をしているんだ……お前は!そんなことは僕が許さないぞ!」
「部員隠し撮り写真のデータは全部ぶちょーに送ってあげるよ~、僕のエロ資産も欲しいのがあったらあげるぜ。僕のPCに入っている一〇テラのデータって、欲しいでしょ☆」
「……よし、今日のところは許そうじゃないか」
だめだな……僕。
「で、僕のエロ資産見るかい?」
と、紙袋を逆さにして中身をぶちまける。
見てみる。二次元三次元ごちゃごちゃで、あれとかそれとかこれとかがあった。
「……僕でも引くようなモノばかりだな……近親なんたらとか、拘なんたらとか、スカなんたらとか、レイ何とか、ふたなんとか……」
ひな、お前は変態だよ。立派な変態だよ。
「僕としてはねー、レ■■が好きなんだけどねー、少ないんだよぅ。もっとライトなモノは家に置きっぱだよ。家族にはそれを見られてもかまわないし、それぐらいが僕の好みだと思ってくれたら、都合が良いし☆」
次々と、袋を逆さにして中身を出すひな。と、そこでいきなり部屋の扉が開いた。
「ぶちょう、ちょっと様があるんだよ――って」と断りもなく部屋に入ってきた〈正義の味方のファザコン〉とらりが、ブツを見て固まる「――ちょっと、待っているんだよ」
と、真面目な顔をして出て行いった。僕は(やばい、僕の〈モエルン〉を全開にしてもこの状況は打開できない! ハーレム部終わった。いや、僕、人生とおさらばだ……)と、思っていた。冷や汗が止まらない。
「お待たせだよ」
と、とらりが抜き身の刀を携え戻ってきた。部員を連れて。
「ま、まて、待つんだ! こ、これは、ひなが持ってきたモノで……!」
ひながいた方を指さす――が誰もいない。
「あいつ! 逃げやがった!」
僕をスケープゴートにしたな!
部員達は、
「ふっ――」
と、ブツを見た〈ほんわかドジっ娘〉シロイが気絶し、白雪が受け止める。
「……」
と、いつも僕をさんざんけなす〈メタ女王〉一夜も言葉が出ないほど引いている。
「うっ――」
青ざめた顔をした〈心は女の子〉アキトが、嘔吐しそうになり口を押さえて慌ててどこかに行った。
「貴様は悪だ!何か最後の言葉はあるか?ないなら死ね……正義のための犠牲となれっ!」
悪人討伐モードとなったとらり、物が切れそうなほど鋭い眼光で僕を見つめ、刀を首に突きつける。冗談ではない、とらりなら本気で悪人を殺せる!
「私はあなたのためだったら何でもする」
と最後に残ったのは〈ジト目素直クール〉くぅ子。表情はいつもと同じ。
「くぅ子助けてくれ! 君の〈モエルン〉でこの状況を打開してくれ!」
僕は泣き叫びながらくぅ子に懇願する。
「それが最後の言葉か? 悪よ、貴様の存在をこの世から抹消しよう」
とらりがいつもと百八十度も違う、低くそれだけで犬ぐらい殺せそうな声で告げる。
「待って、もうちょっと待ってくれ! お願いだ! くぅ子! 助けてくれ!」
僕は生まれてから最高の必死具合で、泣き叫びながら懇願を続ける。
「これからは私以外の女は愛さないと誓う?」
この状況でも表情を一切変えずに話すくぅ子。
「誓う! 誓うから!」
僕は助けてくれるなら、内容などどうでもよく、よく考えてもいなかった。
僕のその姿を見たくぅ子は、いつものジト目のまま口だけをにやりと、わずかにほころばせ、
「じゃあ、助けてあげる、あなたの私への愛を言葉にして」
と怪しく悪魔のささやきのように告げるくぅ子。
「あ、愛しているっ! だ、大好きだ!くぅ子! 僕には君だけがいれば十分だ!僕には君しかいない!」
僕は全力で愛を告げた。ある意味この状況でしかできないほど、感情が込められた告白だった。
「私もあなただけを愛する……あなたのその必死な顔、死を恐れ、生を強く求める惨めな人畜生の姿……最高に萌えるわぁ――」
と、くぅ子がいつものジト目を崩し、ほほえみ、僕の意識は途絶えた――
僕の選択はこれで正しかったのだろうか――?
くぅ子BATEND




