表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム部と萌え魔法  作者: 黒丸鴉
18/32

正義の味方とのデートも危険がいっぱい?



 今日のデートの相手は正義の味方こと、とらり。場所はショッピングモール。彼女は今日も動きやすそうな服に赤いマフラーを颯爽と巻いている。オレは連れだって歩いているとらりの手を握る。


 その瞬間、派手な音を立ててオレの横のショーケースのガラスが割れた。突然のこと、とっさにとらりを抱きしめ、ガラスの破片から守る。ガラスの破片がわずかに服にぶつかったが、オレの身体を傷つけることはなかった。


 次の瞬間、天井から派手な音が聞こえ。――え、さすがに二階の床が降ってきたら、オレの身体も持ちませんよ? とか思って思考停止しかけながらも、とらりを強く抱きしめ、目をつぶる。


 抱きしめられたとらりが僕の腕から抜け出し、身体が慣性を感じ、僕の後ろで激しい音が鳴り、砕けたコンクリが霧のように舞う。


「ぶちょう? 大丈夫か? なんだよ」

 目を開けると、目の前にとらりが立っていた。僕は息を吐き出し、


「あ、生きてる」

 と呟いた。


「ぶちょうが死にかかっていたから、とらりがぶちょうを抱いてこんくりを避けたんだよ」

「……すごいな、お前」

「正義の味方なんだよ!」

 威風堂々と仁王立ちするトラリ、風もないのに赤いマフラーがたゆたう。


「しかし、正義の味方が器物破損とは……」

「う……」

 とらりの立ち姿がぶれる。とらりのモエルンは〈破壊〉のモエルン。萌えると近くの物体を破壊してしまうという迷惑千万のモエルンだ。


 普段は消しゴムが砕けたり、床にひびが入る程度の破壊現象なんだが――

「今日はすごいな。それだけ僕に萌えているというこ」「にゃー!」

 僕の呟きを打ち消すかのように、とらりが鳴く。


「べ、別にそんなにすごく萌えてはいないんだよ!」

 とそっぽを向き、頬を染め、腕を組みとらりが言う。

「お前の属性はツンデレじゃないだろ……」


「ぱ、ぱぱに比べたらぶちょうなんてたいしたことないんだよ!」

「そう、お前はファザコン属性」

 しかし、ファザコン属性って何だ?


「――まあ、それはともかく、この場から逃げよう」

 騒ぎを聞きつけ、だいぶ人が集まってきている。オレはとらりの手を握り、走り出そうと――

 ショーケースの中のマネキンが粉々に砕けた。

 僕はそっととらりの手を離した。――いや、またつかむ。


 ――しかし、良くこんな状況で萌えることが出来るな! とか思う僕も、こんな状況で、せっかく壊れるならとらりの服が破けろよ、と思っているので人のことは言えない。てか、僕の方がたち悪い。


 ともかくダッシュでショッピングモールから抜け出した。ショッピングモールの駐車場で僕は息を切らしている。とらりは後42.195キロメートルほど走れそうな余裕を残している。しかし、表情は暗い。


「ショッピングモールを破壊するなんて正義の味方失格なんだよ……」

 今頃になって事の重大さを実感したらしい。


「……まぁ、フィクションの正義の味方だって、戦闘中にビルの一本や二本壊してるし、大丈夫なんじゃないか?」


「でも、正義の味方が、器物破損だなんて、最悪なんだよ」

「大丈夫。たぶんばれない!」


 僕は笑顔で親指を立てた拳を突き出す。他人から見ればどう見ても事故に見えるはずだ。


「とらりが黙っていたら、崩落がショッピングモールの管理人の責任になっちゃうんだよ!」とらりは泣きそうな声で言う「その人にとんでもない不幸を押しつけることになっちゃうんだよ! 正義に味方がそんなこと出来るわけないんだよ」とらりは拳を強く握りしめ、苦しさをこらえるかのように、悲痛に叫んだ「正義の味方なのに……! いつもいつも、物を壊してっ、いつも人を傷つけちゃうんじゃないかって、思てって。今日、本当に人を傷つけそうになってるんだよ!」


 そこでオレは気づいた。とらりの苦しさをわずかだが知った。正義の味方を名乗りながらも、物を壊してしまわないかと、人を傷つけてしまうのではないかと、怯えているだろう虎璃の思いを。


「オレは壊れない」


 オレはとらりを胸に抱き、強く言う。

「例え、お前がどんな物を壊してしまったとしても、オレは壊れない。オレは変わらず、お前の隣で笑っている」


 オレの胸でとらりは泣く。とらりのモエルンで駐車場の自転車が砕け、飛び散るが、それから守りように抱く。


「知ってるか? オレは日本を代表する企業の御曹司なんだぜ? お前がどんなものを壊したってオレが弁償してやるよ。今回だって、謝れば許してくれるだろう。こんな可愛い女子高生が泣いて謝れば許さない男なんていないさ。

 もし、お前がどんなものを壊してしまったとしても、オレは壊れない。いつまでも変わらずとらりを愛し続けるよ」


「……そういってくれたのは二人目なんだよ」

 オレの胸でとらりがくぐもった声で呟く。


「誰だよそれ? オレの他に男がいたのか?」

「ぱぱ、なんだよ」

「はは、……お前のパパとやらには叶わないな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ