正義の味方! 響夜虎璃!
僕が部室の部長席に座って勉強する、という、いつも日常を行っていると、
「昨日、悪を討伐したんだよ」
と、響夜虎璃が話しかけてきた。僕は目線をあげる。彼女の服装はライダージャケットにダメージジーンズ、手には木刀。顔つきは勇ましく、ライオンと戦かっても勝てそうな勇まいしい美形。
そして、赤いマフラー。彼女はたとえどんな服装でも赤いマフラーは外さない。「正義の証」だそうだ。噂では風呂に入るときにも外さないらしい。僕が見た限り、海で水着になっても外さなかった。
「どんな悪を退治したんだい」
僕はとらりに訪ねる。
「犬に首輪をつけ、引っ張っている悪人――いや怪人がいたんだよ! とらりがそれを退治したんだよ!」
ガッツポーズで答えるとらり。ふむふむ、夕方によく見かける怪人だな。
「で、退治って何をした?」
「木刀で滅多打ちなんだよ?」
「ふむふむ」
とらりの方が大変、悪人です。だが、しかし、僕にはそれを言う勇気はない。
「ん?」
突然とらりが僕のノートをのぞいてきた。
そして、とらりが、ノートのある一点を指さし言う。
「貴様? これは何だ? 答えろ?」
突然とらりの声が低く脅すようになる。正義の味方と言うよりは、鬼だ。
とらりの指さす先には、なんというか、
「……女性の胸部につく脂肪的な何か?」
という絵が描かれていた。
「悪即斬!」
ライオンの遠吠えのような、勢いある声を発しながらとらりが見事なフォームで僕の頭を打った。
僕は気絶した。
「……小学生レベルのバカです」
遠くの方で〈毒舌オタク〉恋歌が、あきれたように呟く声が聞こえた気がした。




