盤外編「将棋講座1」
「赤坂千穂と!」
「ええっと、乙坂美波女流三段です…あ、の、の!」
「将棋時間〜!」「…で、です!」
「さて美波ちゃん!」
「いや、ちょっと千穂さん待ってくださいよ」
「なんでしょうか、なんでしょうか!」
「いきなり本編未登場の私たちが話し始めたら見始めた混乱するのでは?」
「本編とかよくわからないけど私達が将棋を普及するために講座番組をするだけなので問題はないよ!」
「ちょっと言葉が理解できないので一個ずつですね――」
「ではー始めまーす!」
「ちょちょっと千穂さん!?」
「さて、」
「もういいです、知りません」
「ちょっと美波ちゃんごめんて、許して」
「もういいですからまずは何をするのですか」
「う、うん…ごめんね。さて!ここではまず、駒の動かし方を覚えた後の人が何を覚えれば良いか、用語の解説などを私たちなりにしていこー!という番組なのです!」
「さて!美波ちゃんは居飛車党?振り飛車党?」
「私は居飛車党です」
「はい、将棋には大きく分けて二つの戦法がまずありまして!」
『居飛車』と『振飛車』は初期配置から、飛車を動かすか、その場所のまま戦うかの違いです。
ちなみに棋譜というお互いの指した手を記録する物の読み方は先手側から見て、盤の右から左へ1から9の算用数字で表記されるのが縦筋が『筋』、最上段から下に向かって一から九に数えるのが『段』と呼びます。
例えば飛車の初期配置は先手『2八飛車』、後手が『8二飛車』と場所を表記する。
先手から ▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩……のように。
「居飛車同士の戦いは角換わり、矢倉、横歩取り、相掛りなど、端歩一つとっても無数の変化が序盤から存在し、手筋や定跡などの知識が求められると覚えていただけたら良いかな?
振り飛車は自身の左から3筋目に振る三間飛車、4筋目に振る四間飛車、相手の飛車の目の前に振る向かい飛車、玉の前に振る中飛車とあります。
なぜ飛車を振るか、単純に考えれば居飛車で戦えるのならただの一手損ではないか。
そう思われるかも知れません。
そこで駒の動かし方を覚えた後は『囲い』を是非覚えるのをお勧めします。
将棋は相手の王様を狙いながら、自分の王様を守るゲームでもあるので、攻めてばかりでなんとかなるというものではありません!
囲いとはすなわち王様を守る城なのです。実は王様自身のパワーがそれなりにあるとはいえ、一人でフラフラしているようではなかなか戦場では生き残れない、ですので序盤の『駒組み』と呼ばれるフェーズは攻めと守りの準備をする段階なのです。
初期配置では王様は真ん中にいますが、戦場のど真ん中で城を築けば右から戦いが起きても、左から戦いが起きても、王様への距離が近い。
そこで、右か左に城を築いて、その反対で戦いを起こすのが将棋の基本形となるのです。
『攻めは飛車角銀桂』という格言がありまして、攻撃の理想形は最強の兵である飛車を中心にそれをサポートする一枚ずつの銀桂と長距離から狙う角という構図。
つまり、二枚の金と一枚の銀が守備部隊の要になるわけですが、ここで覚えておくのは居飛車は左へ、振り飛車は右へ囲うということです。
実は右玉だったり、藤井システムのような居玉、中住まいなどありますが一旦は、飛車の反対に囲うと覚えて良いでしょう!
そこで振り飛車は開幕数手で飛車を左に振るので、あとは目をつぶってでも玉を右に持って行って右の銀を真上に立てばそれで囲いは完成。実は振り飛車はアマチュアにも人気な戦法ですが、その理由がこのわかりやすさが一つの要因だったりします。
角道開けて、閉じて、右に玉を持っていくだけで形はできる。
攻撃にすぐ目を向けられるので、じっくりじりじりと攻める将棋も面白いですが、最初はやはり決まれば爽快に相手玉へと迫れる振り飛車は楽しいものです!
居飛車同士の戦いは開幕数手の定跡が多く、角換わりから雁木や、相掛りに見せかけた横歩取りだったり、なかなか角換わりがしたくとも、別の戦型になってしまうことも多いので、振り飛車は自分で飛車を振れば中飛車でも三間飛車でも自分の好きな戦型が行えるというのもありますかね。」
「その分、居飛車党も対振飛車の形も覚えやすいですけどね。
それと、居飛車同士の対局を『相居飛車』、振飛車同士が『相振り飛車』、居飛車対振り飛車の形を『対抗形』と呼びます。
振り飛車は序盤の形が決めやすく、居飛車は相手との駆け引きが序盤からあると思っていただければ良いかと思います。」
「美波ちゃんありがとう、では次に、その囲いの種類です!
振り飛車は先ほどあげた、玉を桂馬の上まで運んで銀を一つ上に上げた形を『片美濃囲い』、そこから左の金を右上に一つ上がれば『美濃囲い』、と振り飛車の基本はこれを組めれば一人前、美濃囲いに端歩一つはワンセットでも良いかな!
そこから発展する天守閣美濃や、高美濃、銀冠などありますがそれは追々と、では美波ちゃん居飛車は?」
「居飛車は対抗形ならば『船囲い』と言われる角の隣まで王様を運んで右の金を左上に上がる形がまず基本になりますかね。
相居飛車の場合は矢倉も含めどの戦型も自分と相手の攻めの速度とのバランスが重要視されるので、金銀三枚くっつけて戦う名前のない形で戦うことも多いです。ただ、先手なら7七銀と7八金の形が堅いと覚えて貰えれば良いですかね」
「ちなみに先手側で7七銀、7八金、6七金の形が『矢倉囲い』ですね! あとは振り飛車も居飛車も穴熊という囲いがあります。 穴熊は美濃囲いのように桂馬の上まで玉を運んで、香車を一つあげ、その下へと潜り混んで銀を桂馬の上に運んで一旦は完成、そして理想は金二枚も引き寄せた形で、まさに冬眠に入るクマが如く将棋の囲いの中では最強です! なのですが…やはり手数が掛かります、序盤のほとんどを守りの駒を動かすのに費やしてしまうので、その間に相手に攻められる事も多いです。 組めればある程度自陣に火がつこうと『穴熊の暴力』なんて私たちは言いますがそうそう玉には届かない、だから相手は堅くなる前に攻めに力を注ぐのも当然で、特に『玉のハッチを閉める』直前、つまり銀が上がる前がとてつもなく危険で無防備という点には注意してくださいね! なので、やはり将棋初心者の方は船囲いと美濃囲いがおすすめで、何局も指してみて穴熊の安全な組み方を覚えてみると良いでしょう。 無料アプリの某ヒヨコ将棋などは隙あらば穴熊組んでくるので」
「とまあ、長々と話してしまいましたが今日はこれまでです! 居飛車と振飛車というものがあり、それぞれに囲い、というものが存在すると覚えてもらえれば嬉しいです!」
「将棋の棋士は囲いとその崩し方を小さい頃から叩き込まれているのですっ飛ばしてしまいますが、将棋連盟のサイトにあるコラムも充実していますし、ネット中継なども最近は多くなっているので、プロの形を真似してみたり、解説の方がやっていた変化を自分で試してみたり、先程あげたアプリではヒントや局後の解析などができるのでとりあえず一局を多く指すのが上達の確かな道だと思います」
「まぁ、序盤の形覚えてもそこから玉を詰ますまでは全く違うベクトルで難しいんですけどね」
「そういうネガティブな事は言わないでください」
「ともあれ、序盤の定跡ややってはいけない事などは本でたくさん出ていたりしますが、なかなか手を出すのは難しいと思われてしまいがちです。 将棋は確かに取っ付きにくい、地味なゲームと思われている方もいるかもしれませんが、どんなプロが何十年、将棋の歴史が江戸時代、もっと言えば平安時代から存在していても全く同じ一局というのは存在しないゲームなので、先程まであげていた囲いなどは強くなるためのもので、将棋を指すのには必要はあまりありません、自由でいいのです! たくさん将棋を指す事で上手くいった、いかない、など知識が蓄積して、考えるのが楽しいゲームですので! 皆さんも是非!」
「将棋は駒の動きを覚えてしまえば子供から大人まで誰とでも遊べるゲームですから、この機会に知ってもらえれば嬉しいです」
「ではではーお相手は赤坂千穂と!」
「乙坂美波女流三段でした」
「…ね、ね、美波ちゃん何だったのこれ」
「知りませんよ、多分、用語が本編で飛び交うからそのためでしょう」
「いや、大丈夫かなあ…これ」




