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魔王様のケモミミニューゲーム  作者: Ai
ケモミミ達の国
4/11

アマミちゃん

第4話です。

今回はまた一人美少女が増えるよ。

お楽しみに。

「マオウさん。アマミちゃんすっごく可愛いんで驚かないでくださいよ?」

悪戯っぽい笑顔で笑うペルーシャ。後ろ手に組みこちらをのぞき込んでくる仕草が彼女のスタイルの良さや体のしなやかさを伝えてきている気がして俺は少し目をそらして答える。

「そんなに可愛いのか?」

「はい。それはもうすっごいので覚悟しておいてください!」

「なんかそんなに力説されるともはや恐ろしいな・・・。」

俺のつぶやきに「いえ。」とペルーシャは否定する。

「恐ろしくはないですよ。喧嘩は強いですし、口調も少し荒っぽくて短気ですけど。」

「いや、待て。」

「はい?」

クリンと小首をかしげまっすぐに俺を見つめるペルーシャ。今の発言になんの問題があるのか、心底分からないと行った顔をしている。

そんな彼女に俺はこめかみを押さえて言った。

「それはもう可愛いではなく鬼軍曹なんじゃないのか?」

俺の問いかけに、全力で首を振るペルーシャ。

「いやいや!違いますよ!しっかり可愛いです。たとえ鬼だとしても子鬼っていう感じなんですよ。」

「本当か?」

「本当です。信じてください!」

むぅうー、と頬を膨らませ俺の目を見つめる彼女の瞳は揺らぎのないまっすぐな瞳をしている。嘘を言っているようには見えない。

「なら、まあ信じるよ。」

「信じる」という言葉の響きが照れくさく、俺は後ろ頭をがしがしと掻きながらそう答ると、パァという擬音が聞こえるほど顔を華やがせて笑った。

「えへへ、じゃあ急いで行きましょう。ダッシュで行きますよ!」

「え?」

「え?じゃないです。ほら、掴まってください。これでも私、足の速さには自信があるんで。」

手を差しだし得意げにほほえむ彼女の迫力に俺は怖ず怖ずと右手を差し出す。

「お、おう?」

ギュッと握り返してくる彼女の手は小さくて柔らかい。でも力強い手だった。

俺が手を握ったことを確認すると彼女は駆け出す。

「早く!マオウさんってば!」

「ちょちょっと待ってくれよ。」

「ふふふ、待ちませんよ。おりゃあ!」

「うわぁああ!」

明るいかけ声とともに俺の手を引き、駆けるペルーシャは心底楽しそうだ。

始めは慌てていた俺も知らず知らずのうちに笑ってしまっている。

こうして俺とペルーシャは"アマミ"のいる物見櫓へと、手を繋いだまま駆けていくのだった・・・。


この国"アマルニ王国"は同心円状に広がっており、大きく分けて中心部と外部の二つに地域が分かれた。

俺たちの住む家は比較的中心部で、市場や呉服店などが立ち並ぶいわゆる「都市部的」な街並みであったのに対し、外部へと近づくと、軒の低い家や酒場、風俗などと言ったいわゆる「下町的」街並みへと変化する。

街並みの変化に応じてもちろんそこにいる人の雰囲気も変わった。

中心部では、理知的で細めなタイプの人が多かったが、外部の方へと向かえば向かうほど、粗野で恰幅の良い男が増えてくる。

 そんなむさ苦しい場所であれば、普通女の人は怖がったり、嫌がったりしそうなモノだろう。

 しかし、ペルーシャは違った。

 彼女は怖がったり嫌がったりするどころか、むしろ隣で歩く俺よりも堂々と道を歩き、ときには、知合いの人を見つけてお辞儀さえした。そこの男も彼女を見ると信じられないほど丁寧に挨拶をしていったりもする。なんだか村のドン・コルレオーネといった感じの扱いだった。

 俺はそんな男達の反応に疑問を感じていたので、隣で鼻歌を口ずさむペルーシャに聞いてみる。

「なあ、ペルーシャ?」

「ん?なんですか、マオウさん?」

「ペルーシャってもしかしてここのボスなの?」

「へ?」

俺のその真剣な問いかけに間抜けな声を上げ、口をポカンと開けるペルーシャだったが、次にはおかしそうに笑い出した。

「あはは。そんな訳ないじゃないですか。」

「え。違うの?」

「はい。全然違います。私はただの村人ですよ。」

「そうなのか。じゃあなんであんなに皆ペルーシャを慕っているんだろ?」

俺が前を見ながらそうつぶやくと、横から「ふっふっふ。」と言う誇らしげな笑い声が聞こえたので顔をそちらに向けると、ペルーシャは言った。

「私の人徳ですよ。」

「へー。」

「酷い!!全然信じてませんね!?」

そう叫んだ彼女は、その小さな拳で俺の肩口をポカポカと叩く。彼女がやるとまさしく猫パンチだ。しっぽは少し怒っているのかピンと立っている。

俺は彼女の拳を二つともキャッチしてやると今度は「むう。」とほっぺを思いっきり膨らますのでさすがに俺も苦笑して謝った。

「すまん。冗談のつもりだったんだが。」

「ホントですか?」

「ホントだ。ペルーシャが良い奴だって事はこの数日でよく分かっているよ。」

「そ、そうですか。恐縮です。」

さっきまでの威勢はどこへ行ったのか、と思わざるを得ないほどに照れて真っ赤になる彼女。口調はぶっきらぼうだったが、例のごとくしっぽが口よりも雄弁にうれしさを表現してしまっているのがなんとも可愛らしい。

しばらく、彼女のテレテレしている様子を眺めていた。可愛い。

すると、向けられている俺の視線にやっと気づいた彼女は「コホン」と咳払いをして居住まいを正す。

「コホン。スミマセン。取り乱しました。」

「いや、全然大丈夫。」

「そうですか。今のは照れていたんじゃありませんからね?」

「分かってるよ。」

「ホントですか?」

訝しげな視線を俺に向けていた彼女だったがこれ以上引っ張るのは逆に危険だと判断したのだろう。あっさりと話題を転換する。

「で、さっきの話しに戻ると、まあ、癪ですけどマオウさんの読みは確かに間違ってはいないです。」

「というと?」

「私の人徳と言うよりもたぶん、私の親友アマミちゃんが皆怖いんだと思います。私に無礼を働けば、たぶんあの子黙っていないんで。」

ピンと人差し指を立ててそう解説する彼女はどこか誇らしげですらある。

だが、待て。

あんな屈強な男達が恐れをなすような子ってそれってやっぱり・・・。

「それってやっぱり、アマミって子。鬼軍曹なんじゃ・・・?」

「誰が鬼軍曹だ!!」

「うぉ!」

すぐ後ろで大声が聞こえ、俺は思わず飛び退いた。

俺は「誰だ、こんな大声出すのは?」と怪訝に思っていたのだが、隣にいたペルーシャは突然目を輝かせてこう言った。

「アマミちゃん!」

その声にそいつも手を上げて答える。

「よお、ペルーシャ。」

「もう、なんで帰ってきてくれないの?心配してたんですからね?」

「ごめんごめん。ちょっと忙しくってさ。」

いかにもペルーシャと仲よさげに会話している少女には黒いうさ耳が生えていた。

それにおしりには白く丸いしっぽも。

かっこいい、とペルーシャは言っていたが、確かに彼女はかっこよかった。


全体的に黒色で統一されたファッション――ファー付きの皮のジャケットにへその見える短めのシャツを合わせ、下には短めのホットパンツを履き惜しげも無くスラリと長い脚をさらしている。

髪はショートカット――艶やかで、美しい髪色をしていた。


どうやらこの子が俺の探し求めていた同居人"アマミ"であるらしい。


俺はペルーシャと仲良く話している彼女に勇気を持って話しかけてみた。

「あんたが、アマミで良いんだよな?よろしく。」

「誰こいつ?」

人差し指で俺を指しながらペルーシャに尋ねるアマミ。

まあ、俺の事を知らなくて当然なのだが、あまりにもそっけない態度だと思わざるを得ない。

だけど、ペルーシャはアマミのそんな態度を全く気にしていない様子で答えた。

「えーと、紹介まだだったね。こちら、マオウさん。ちょっと前から私たちの家族になったんだよ。」

「こいつが家族だって!?なんで?」

驚きをあらわにするアマミ。そらそうだわ。家族が知らない間に増えていたら普通驚く。

その辺の常識はペルーシャよりもあるようだと分かって、俺は少しばかり安心していた。

俺が感心していると、ペルーシャは俺がユスティーナ平原で倒れていたことや、記憶を失っていることを手短に説明した。

「ということなんだよ。だからアマミちゃんもマオウさんを家族だと思って生活すること。良い?」

ペルーシャが念押しするようにそう言うと、アマミはトコトコと歩いて俺に近づき胸ぐらをつかんだ。そして。

「うちのペルーシャのこと泣かしたりしたら私が許さないから。」とドスのきいた声で脅してくる。

俺はあまりにも鋭い彼女の視線にひるみそうになったが、できるだけ目をそらさないようにしてこう言った。

「そんなことはしないよ。ペルーシャは仮にも命の恩人。恩を仇で返すようなことは俺はしない。」

俺とアマミの視線が交錯する。一秒、二秒、が永遠かのように長く思えた。

アマミは相変わらず鋭い視線を俺に向け続けていたが、不意に破顔する。

「あははは。マオウ。あんた面白いな。」

「そうか?」

「おう。私の視線にビビらないでそんな言葉言った奴あんたが初めてだぜ。」

「いや、内心めちゃくちゃビビってたけどな。」

「でも、目をそらさなかったじゃねーか。」

「まあ、そりゃ大事な事を言うときには目をそらさないようにするのが普通だろ?」

「そっかそっか。マオウ。あんた意外に根性あるんだな。気に入ったぜ、私。これからよろしくなマオウ。」

アマミは無邪気な笑みを浮かべ、手を差し出してくる。俺もその手を取って言った。

「ああ、よろしく。アマミ。」

こうして俺はアマミと握手を交し、同居人兼家族の全員と面識を持つことができたのだった。

「さて、マオウさんの紹介も終わりましたけど、どうします?」

「あ、そうだ。アマミに聞いておきたいことがあるんだった。」

「うん?なんだ?」

腰に手を当てて首をかしげるアマミ。

「巨人族対抗戦。俺にも参加させてくれないか?」

「なに?」

俺の言葉に再び視線を鋭くとがらせるアマミ。

「マオウ。お前それがどういうことか分かっているのか?戦場にでれば死ぬかもしれないと言うことなんだぞ。」

「ああ、分かっている。その上で言っている。」

俺の真剣なまなざしに何かを感じたのだろう。アマミは呆れたように言った。

「マオウ、お前私がもし許可を出さなかったら単独でも戦う気だろう?」

「そうだ。」

「はあ。」

深くため息をつくアマミだったがすぐに笑顔に戻って言った。

「しょうがない。私の戦力に加えてやるよ。一人で犬死にされるより、私の作戦を遂行する戦力としてこき使った上で死んでもらう方が遙かに有益だしな。」

「ありがとう。」

「いや、礼なんていらねーよ。それにしても、お前もペルーシャに負けず劣らずのまじめだな。どうせ、私たちに恩義を感じているからそれを果たしたい、とか思ってるんだろ?」

「な、なんでそれを!?」

俺が驚くその様子を、ヤレヤレ、と両手を上げ、首をふるジェスチャーで呆れるアマミ。

「そんなのすぐに分かるぜ。マオウもペルーシャもわかりやすいことこの上ないからな。」

「そんな。」「え、嘘ですよね?」

俺とペルーシャは信じられない思いから唖然としている。

アマミは俺たち二人を「分かってなかったのか?こいつら馬鹿か?」とでも思っていそうな目つきでこちらを見ていたが、ふわぁ、と大きなあくびをするといかにも眠たそうな声で言う。

「ま、いいや。とりあえず家に帰ろうぜ。私もさすがに疲れたし。」

スタスタと歩いて行ってしまうアマミに俺とペルーシャは「ねえ、アマミちゃん。今言ってたことホント!?私ってそんなにわかりやすい?」とか「俺はわかりやすくないよな?な?」などと聞きながら、アマミの隣を付いていくのであった。




いかがでしたか?

アマミちゃんの活躍する回をどこかで設けようと思っているので期待していてください。

感想くださいねー!笑笑

では、また次話で会いましょう!

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