ラッキー(?)スケベ-ジャングル伐採-2
男が女に力で負けたのが恥ずかしいとかそういう考えが一瞬だけよぎったが、扉の先の光景に思考は一気に別の物へと変わる。
ものすごい肉付きがいいというわけではない。だけど張りのある肉体に、出ているところは出ている体つき。
テレサのスタイルの良さはぱっつんぱっつんの服の上から見てわかっていた。
しかし服を脱いで、全身が綺麗な肌色の体を見てしまうともはや自分の若さが仇になって頭の中が真っ白になって何も考えられなくなってしまう。
大人の女性の裸体を見るには、まだ耐性が無さすぎる。
俺は急いで両手で目を覆った。
「み、見てないからな! 俺は見てないからな!」
指の隙間からちらっと見る。そしてすぐに閉じる。
ダメだ。直視できない。
「目隠しして思春期かコノッ! 思春期か。別に子供に見られたからって恥ずかしくはないわよ。それにしてもグヘヘ。顔は隠してるけど下は丸見えイヤアアアアアアアアアアアア!!!?」
「下……? イヤアアアアアアアアアアアア!!!?」
下と指摘されて俺は急いで風呂桶にダイブした。
テレサに背中を向けて見ず見せずの体勢を取る。
我ながらなんて情けない叫び声……と言うより何でテレサも叫んだの?
「恥ずかしくないとか言って男の股間に悲鳴上げるとか、テレサって意外に純情なんだな」
「……グル……茂」
「え?」
「なんで、何でジャングルが生い茂ってるのよ!」
じゃ、ジャングル? ジャングルって、何のこと……あぁ、そういうことか。
「15歳なら股間にジャングルぐらい自生するわ! それにこのジャングルは実年齢より下に見られる俺がアダルトだと言える要素の一つで、」
「伐採!」
きゅぴんとなんか金属製の輪っかが弾けるような音がした。
伐採? 何のことだよ……あれ? 股間の感触がなんか物足りない。
俺はゆらゆらと揺らめくお湯に沈む下半身を見る。
先ほどまで会ったジャングルが平原になっていた。
「あ……ない。無い無いないナイ! 俺の股間のジャングルがない!」
「成功ね。やっぱ子供はツルツルじゃないとおぉう」
「うわぁああああン! なんて事してくれたんだよぉ!」
俺は風呂桶から出てテレサの肩を掴んで思いっきり泣き言を叫ぶ。
「返せ! 俺のアダルトを返せ! 深々と生い茂るジャングル返せよぉ! どうやったか知らないけど、返してよぉ!!」
「ダメよ。ジャングルなんてお姉ちゃんが許しません。永久脱毛しときます」
「永久……!? うわぁああああン!」
あんまりだ! 男らしさとアダルトの証を奪われるなんてあんまりだ!
魔法か? 魔法でジャングルを伐採したのか? そんな魔法あってたまるか! 異世界に来て股間のジャングルを伐採する魔法なんて夢がなさすぎるだろ!
「育毛剤! 育毛剤を塗布らなくちゃ! ヒッ!」
風呂場から出ようとしたら今度は逆に肩を掴まれる。
痛い。この人手に力が入りすぎ。と言うか目が据わってるぞ。
「テレサ……離して、ね?」
「君の肌……すっごいきめ細やかで滑々してるね」
肩に置かれた手がスルリと二の腕へスライドする。
マズい。摩られるくすぐったさが身を震わせると同時に貞操の危機!
「テレサ。俺はまだ15歳で、俺の国じゃ……事案で、逮捕される事案で」
「ここは私の家。私が法律よ。さぁ、背中の流しっこしようねぇ」
「待って! せめて! せめて腰にタオルを巻かせて! ごめん! ほんとにごめんだけど本当に後生だから……」
「うーん。濡れてるから泣いてるかわかんないや。ホラホラ座って座って。洗ってあげる」
もはや抵抗する力すら入らない。と言うより必死に抵抗してもテレサの方が地力が強いみたいだから無理やり捻じ伏せられる。
俺は引っ張られて鏡の前に座らされる。鏡には俺の後ろに腰掛けるテレサが断片的に見える。
クソ。目のやり場がない。
「思春期なんだから異性の体に興味があるのは健全な証拠よ。別に見ないことに努力しなくていいのよ」
頭から桶のお湯をかけられる。
「うわップ! うるしぇー! 体洗われたらぜってー出るからな! この歳で女と一緒に風呂なんて恥ずかしいんだよ!」
「いやん。反骨心モロダシで生意気♪ じゃあ頭から洗うからジッとしててね」
頭に異世界に置いてのシャンプーをかけられ優しく丁寧に泡立てられる。
何で俺はこんなことをしているんだ。
頭に触れている手の感触を通じてテレサの今の状況を妄想してしまう。
手を通じて腕を想像して。腕を通じて肩を想像して。肩を通じて胸を……。
「ダメだ! これ以上はダメになる!」
「ちょ、頭洗ってる時に頭をブンブン振らないでよ」
「うるしぇー! ちぇめーより俺が強けりゃ速攻でいなしているところだ!」
「じゃあどうぞ」
なんて言われるけど俺は黙っていた。
反撃しないというより、できなかった。さっきの扉の開閉で地力の差は明らかだし、何よりタッパが違う。反旗を翻そうと簡単に鎮圧されるのがオチだろう。
俺は黙って色々と湧き出してくる欲情とか感情とかを抑えつつ頭及び体が現れるのを必死で我慢した。
「ふぅ、ふぅ。よし。もう洗ったよな。じゃあ俺は風呂から上がるから」
フラフラとしながらも立ち上がり脱衣所に向かおうとするも腕を掴まれる。
これ以上何かあるの?
「ごめん。今日はもう休ませて」
「何言ってんのよ。洗いっこって言ったでしょ」
「ほんとに、本当に勘弁して」
「だったら髪を洗うだけでいいから」
髪を洗うだけでいいからと俺を鏡の前から退かして座る。
髪だけって、テレサの髪は長いだろう! それに女の人が自分の髪の毛をおいそれと異性に触らせていいのだろうか……とも思ったけど一緒に風呂に入ろうとしている時点でそんなことはどうでもイイのかもしれない。
俺はごくりと生唾を飲んでテレサの後ろに腰掛ける。
長い桃色の髪の毛。まっすぐスラッと伸びる長髪はまるできれいに実った果実のような艶やかさ。触っていいのか、触ること自体が億劫になるほどの美麗さだ。
「早く洗って頂戴な。別に洗い方が雑とかで怒りはしないから」
「でも、分かんねぇよ女の髪の洗い方なんて……洗い方なんて」
チョンと髪先に触れる。
ダメだ。髪を垂らしているがそれでもわかる出ている胸に引っ込んでいる腰。そしてでんと鎮座する尻! 緩急の付いたテレサの肉体。
触るのか。俺は裸体のテレサの一部を触るのか?
恐る恐る髪の毛に手を触れて、指を絡める。
風呂場に籠る熱気が思考を蒸らしていく。目の前の美麗に息を飲む。
触らなければ……触らなければ。
恐る恐る手を伸ばすと、俺の意識はまるで泥沼に陥るように濁り、意識が混濁へと沈んでいった。
目を覚ますとどうやらのぼせたとのことでテレサに『そんなに興奮したの? ムッツリスケベ』と笑われ、しばらくの間、テレサと会話することはなかった。




