ラッキー(?)スケベ-ジャングル伐採-
食事も終えて、テレサの隣で後片付け、皿洗いをしていた。
「別に手伝わなくてもいいよ。昨日みたいに書斎から本持ってきて読んでていいのよ」
「それは手伝ってからでも読めるし、時間はいっぱいあるからできることはしなくちゃって思ってさ」
「エラァイ。え? レンってそんなにいい子だったんだ。もしかして私のことが大好きだから」
「感謝はしてるけど、基本自分のことは自分でしてってやめろ! 濡れた手で頭を撫でようとするな!」
正直言ってしまうと、三日目の今。この暮らしを結構楽しんでいた。
そりゃ接客は大変というよりおもちゃにされるからもうどうしたもんだと頭を悩ませているよ。
だけど異世界と言う今までにない非現実とポーションを扱うとこれまた異世界チックなことをしてことに感動にも近い楽しさを得ていた。
ファンタジー世界のポーション。飲んだら疲れが吹き飛ぶポーション。体力が回復していると確実に実感できるポーション。
元の世界で売られていたなんちゃってポーションなんかとは比較にならないな!
それに、ここでは笑いながら食事ができる。
煙たがっているけど、テレサとアホな話が楽しいのも否定でいない。
「あぁーびしょびしょになっちゃったね」
「テレサのせいでショー! ああもう、服まで濡れ濡れだ」
「だったらお風呂に入ってきなさい。片付けは私がしておくから」
風呂に入って来いと勧められて俺はそうするよと応えて風呂場に向かう。
一昨日と昨日から俺の寝床として使っている脱衣場。俺は着ている服を桶の中に入れ、備え付けのホースで中に水を貯める。
テレサ曰くこの水に漬けておけば汚れが落ちるとのこと。ほんまかいな。
とりあえず全裸。チラッと鏡を見るが我ながらほっそい体だ。筋肉はあるが肉の総量が足りない感じ。おまんまも食べて運動もしているのにな。
兎に角俺は風呂に入るために扉を開けバスルームへと入る。
水は張っているのだけど……文字通り水だ。お湯じゃない。
この街では水で湯あみをするのかと最初は思ったけど、テレサに教えられたこの備え付けの球を風呂桶に突っ込むことで水が湯に変わる。言わば沸騰石のような物だ。
「ふぅ。今日も一日お疲れ様。頑張った自分への労いだ」
桶に貯めたお湯をざばぁっと頭からかぶる。
暖かい。どの世界でもやっぱ風呂はいいもんだ。
体を洗おう。そう思った矢先。扉の向こうの脱衣所からがたんと音がした。
髪を濡らした俺は髪を捲って扉の方を見る。
何だ? 何か落ちたのか?
それとも……まさか。
「レーン。湯加減はどう? て言ってもホオテストンが勝手にいい感じにしてくれるから聞いてもしょうがないか」
やっぱりテレサか。
「そうだなー。水に球を入れただけでお湯に変わるって便利だよなー。で、テレサは脱衣所に来て、洗濯物でも取りに来たのか?」
「いや、違う用があって来たの」
違う用?
その用とはななんだと聞こうと思った矢先、パサ……とか言う布を置くような音が聞こえた。
嫌な予感がする。そして嫌な予感は的中するのが常。
「私たち、同じ屋根の下で三日過ごしたよね」
「うん。そうだな」
「一緒に働いて一緒に食べて一緒に寝てるけど」
「いや寝てないよ。寝てないよ! え? もしかして寝てる間に何かした? ちょっと、変なことしてないよね!」
「でも、いまひとつ信頼し合えていない気がするの。そう思わないレン?」
そりゃあ会って三日で信頼し合ってますとはいかないだろう流石に。
でも仲良くしたいというか、信頼関係を築きたいとは思っているのか。
「そんなの時間が解決してくれるだろ。感謝してるんだぞ。色々と世話になって、」
「だけど私は分かったの! 信頼を得るにはどうしたらいいか」
こいつ聞いてねぇ。
「そんな考えてどうにかできるものでもないだろ。それこそ時間をかけて」
「本当の信頼関係は裸の付き合いから生まれる。そう確信してる」
「は? まあ、分かんないこともな、」
その時。俺に一筋の思考とそれに対する答えが浮かんだ。
裸の付き合い。風呂場。信頼関係。布を置いた音。今現在俺が裸。
子供好きをこじらせているテレサ。俺を子どもとカテゴライズするテレサ。
嫌な予感は的中する。
「だからね。私たちも次のステージとして背中の流しっこを」
扉の隙間からきれいな細い指が顔を出し、カラカラカラと開かれようとする。
俺は自分の持てるすべてを出し切るつもりで扉まで詰め寄りテレサとは逆の方向、扉を閉めようとする。
「……レン。扉が開かないけどなんでかな? もしかしてお姉さんのこと嫌い?」
「だめ、ダメェ……! 絶対ダメ! 入ってくんな! 自分で洗えるから……入ってくんなあああ!」
「何よ。恥ずかしがってるの? 大丈夫よ。私は恥ずかしくないから」
「そりゃちぇめーの問題だろうが! 恥ずかしいとかじゃなくて、知り合って三日目で一緒にお風呂なんて……じゃなくてテレサと入る気はないから! お願い止めて! 後生だから!」
というか扉が閉まらない。こいつ力つえぇ!
「いいじゃない。子供なんだから。それ」
「どわぁっ!?」
無情にも扉は開けられた。




