【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな○○がいたら
【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな言い訳の方がクリエイティブな小説家がいたら
【小説家という生き方はー】
ある小説家先生の自宅に完成原稿を取りに担当編集者がやって来た。
えっ、今時直接?、と思われるでしょうが事情があるんです。
だが、書斎には先生の姿が見えない。
中を探し回ったら、なんとキッチンを改造したジムで倒れていた。
「先生、大丈夫ですか⁈」
「ああ、君か。我ながら驚いた。
作家というものは体力なんだよ。日夜鍛えておかんと続かない。まず雨ガッパを着込んでランニングを5分決行した後、サウナでバーベルトレしたんだ。栄養価の高い食事療法もした後、睡眠療法を敢行したら丸一日経ってたわ」
編集者は表情を崩さず小説家先生と向き合い言った。
「先生、原稿はいかがですか?」
「ああ、そこにまとめてある」
テーブルの上に無造作に重ねられた原稿用紙の束をパラパラとめくった。
そこに描かれていたのは、壮大なラブロマンス。総勢8人の女キャラが恋に苦悩し、ひとりの男を奪い合う様が赤裸々に描かれていた。
ただし、用紙の隅っこにパラパラマンガで。
肝心のマス目は埋まっていない。
キッと視線飛ばす編集者の口が開く前に、小説家先生は堂々語ったのはーー
「いや〜、座れないんだよ。
切れ痔歴5年目でね〜。出血ひどくて、一度トイレ入ると数十分苦しくてもがくんだわ。
腰椎も損傷しててね。首都高バトル中にダンプと接触しちゃってね。まあ奇跡的に助かったんだけど。そのかわり、書斎の机がちょうと通り道になっちゃったんだよ、悪霊っての。
机で考えてると、ちょうどその上通り過ぎてね。そのあと2、3日金縛りあっちゃうんだわ。『長期間腰掛けられない3大秘話』ならすぐに100ページ書けるけど、タイトル変える?」
「つか、商売変えろよ!」




