4、アメノムラクモの剣
4、アメノムラクモの剣
「問題は俺に魔物を倒す力があるのかどうかなんだが」
運動全般でもそつなくこなせるだろうが、ケンカと狩りを同列に語るわけにはいかないし、そもそも俺とこちらの身体能力の基準が同じとは限らない。
「大丈夫です」
「根拠は?」
「私がいますから」
アヤが戦うの?
小さな妖精が虎みたいな魔物を打撃で粉砕するイメージ。うわあ、シュール。
「どのような魔物であっても神器の敵ではありません」
や、わかってたから。
改めて腕輪に目を向ける。
「神器っていうけどこれってどうやって使うの?」
「復唱願います。『アメノムラクモ』」
うわあ。中二ワード。
「アメノムラクモ?」
恥ずかしさに語尾が疑問形になる。ゲーム以外で実際に口にすることがあろうとは。
羞恥心はすぐに引っ込んだ。
腕輪の一本が音もなく変形していく。明らかに体積を超えた量がスルスルと伸びていき、ほんの一呼吸の間に左手の内に一振りの剣となって収まっていた。
柄を含めて長さは1メートルもない。鋭い白刃が冷気に似た圧力を放っている。不思議と重さは感じなかった。
「そちらが神剣アメノムラクモです。付与スキルは全属性付加・防御貫通・連続攻撃10・治癒阻害となります」
「ゲームみたいなことを言うな」
「遊戯ではありません。樹海の迷宮ではスキルの活用が生死を分けます」
ああ。樹海内はルール設定されてナノデバイスによって法則化しているんだったか。
それよりも『日の出の国』で『日本語』が通じて神器が『アメノムラクモ』なのか。やはり共通点が多い。
パラレルワールドなんて言葉もあるが。
とまれ考えても結論が出ないことは後回し。
「この近辺の魔物など一撃です」
淡々とした口調ながらもどこか自信に溢れている。呪いのアイテム扱いも嫌がっていたし、自身のことだと熱くなるのか。
正直見た目からは神器や神剣という触れ込みほどの印象はないのだが、ルール化された中でなら物理的な現象以上の効果もあるのだろうか。
「試してみるしかないな」
結局、自分の目と手で確かめなければ実感できない。
戻れと念じると神剣は逆送り映像のように腕輪に戻った。便利だな。
「よし。行くぞ」
「行きましょう。ところで、ご主人様」
冷静な視線に向き合う。
「裸なのは何らかの主張か宗教的な戒律でしょうか」
乙女のような悲鳴を喉の奥で必死に押し殺した。
やめて。見ないで。
小さな女の子の前で全裸とか。変態すぎる。




