普通-フツウ-の俺たち2
「にしても無事追認
受かってよかったなぁ、聖。」
にっこにこで話す世羽。
「あぁ、そうだな。」
桜綺麗だなぁ……。
はやく咲かねぇかなぁ。
咲いたら花見でもするか。
「俺、聖が後輩になったら
どうしようかと思ったぜ。」
「あぁ、そうだな。」
ん? ちょっと待てよ……。
追認って?
「世羽。」
「なんだー?」
ますますにっこにこな世羽。
いや、この場合にやにやか?
「追認受けたのは」
俺の表情の変化を
感じ取ったのか
世羽の笑みがひきつる。
「お前だけじゃねぇかっ!」
そこで世羽の腹に一発。
「ぐはっ。
てめぇ殴ってんじゃねぇよ!
痛てぇじゃねぇか!」
お前がふざけたボケ
かましてるからだ、ボケ。
「その追認の面倒を
見てあげたのは誰かしら?
ばか世羽くん?」
世羽の顔が
よりいっそうひきつった。
「梶茉李亜っ!」
なんでフルネーム……。
「おっす。茉李亜。」
「おはよう、聖。
貴方も大変ね……。」
茉李亜の冷たい視線が
世羽に向けられた。
「朝からこんなアホの
相手させられて。」
茉李亜に便乗して
俺も世羽に冷たい視線。
「仕方ねぇ。
世羽のアホは今に始まった
ことじゃねぇから。」
「それもそうね。」
世羽は俺たちの視線に
耐えられなくなってきたのか
だんだんちっこくなっていった。
「蛇に睨まれた蛙」
ってこんな感じか?
「まぁちゃんっ!
酷いよ置いていくなんてぇ!」
短い髪を
ぴょんぴょんさせながら
走ってくる奴がいる。
「貴女が靴履くの、
遅いからでしょ。」
「それが酷いのーっ!
待っててよぉ! ……って、」
俺に気づいたように
そいつは言った。
「聖くん! おはよう!」
「あぁ、おはよ。芽詩亜。」
このちっこくてかわいい奴は
茉李亜の双子の妹の芽詩亜。
性格のキツい
お嬢様気質の茉李亜とは
大違いな清楚系女子だ。
「芽詩亜ちゃん! 俺もいるぜ。
おはようっ☆」
あ、世羽が復活した。
「あらら、
世羽くんいたんだー。」
ぐさっ。
「影薄すぎてわかんなかった☆」
ぐさぐさっ。
ばたん。
あ、世羽がまた萎れた。
芽詩亜は
びっくりするくらい
毒舌だ。
かわいい顔なもんだから
ほんとにぐさっとくる。
「芽詩亜。
それくらいにしといてやれ。
つか、俺らが遅刻する。」
「そうね、行きましょ。」
この3人が
俺の通学仲間だ。
別に、
「一緒に行こう」
って言って
集まってるんじゃない。
自然と毎日のように
当たり前のように
一緒に行く。
いいんだ。
これが俺たちだ。
これが
普通の俺たちの
普通の毎日だったんだ。
「聖、茉李亜、芽詩亜ちゃん!
全員スルーって酷くねっ?!」
*




