普通-フツウ-の俺たち
学校へと続く桜並木。
まだ花は咲いていないが、
もう蕾はピンク色に
綺麗に色づいている。
開花も
そう遠くないのかもしれない。
毎日、
ここを歩いて学校へ行く。
俺が暮らすこの街は
都会でもなく田舎でもない
中途半端な街だ。
もちろんパソコンの
ケーブルもちゃんと
通ってるし?
山の中ってわけじゃない。
まぁ、これといって
高いビル群や
大きなデパートが
あるわけでもない。
「普通」
という言葉がしっくりくる、
そんなところだ。
「おーっす、セイント!」
なんか来たぁ……。
朝からハイテンションな
コイツは木滝世羽-キタキヨウ-。
腐っても幼なじみだ。
「セイント言うな。
俺は聖-ヒジリ-だ。」
それに残念ながらうちは
仏教だっての。
「だいいち、
お前だってヨハネだろ。
洗礼者さまか?」
コイツと話してると
俺が黒い嘲笑になってる、
ような気がするが……
気のせいだな。
俺、心澄んでるしな。
「どこがだよ、気色悪りぃ。
真っ黒だっつの。」
「なんだと、この野郎。」
ばかな会話。
こんなんが15年以上も
続いてんだから
腐れ縁ってやつだな。
むかつくやつだけど、
世羽は親友、なんだよな。
いちばん近くにいるせいか
知らず知らずに
お互いをわかりあってるんだ。
普段は言わないけど
俺はわりと
コイツとつるむのが好きだ。
「洗礼者さまに
逆らうなよーー。
あ、俺が清めてやろうか。」
ほんっとにむかつくけど。




