1.普段通りの朝
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ
うっすらと目を開け、枕元に置いているスマホに手を伸 ばす。電源をつけるとよく知ったアイコンから電話がかかってきていた。
「おはよ。」
「ちょっおまその声今起きたんか!?もうそろそろ講義始まるぞ!」
「えっまじで〜?もうそんな時間〜?」
俺は時計を見る。時計には8:50と書かれている。
「うわっ、まじじゃんやば〜!急がなきゃ〜!」
「お前この講義の単位取れねえとやべぇんだからさっさと来いよ!最悪遅れてもいいように教授にばれねぇような後ろの席氷翠と取っといてやるからよ。」
「それマジで助かる〜!音速で支度済ましていくわ〜!」
「急ぎすぎてジャージのままで来んなよ〜!」
急いで顔を洗い、歯ブラシをし、服を適当に選んで、
カバンにパソコンと教材を詰め込んで家を飛び出す。
鍵をかけてからマンション共用エレベーターのボタンを押す。
「なんでこーゆー焦ってる時に限って1番下にあるんだよ〜!」
俺はこの世の不条理を嘆きながら階段を下ってく。
うちは8階なので朝からの階段はなかなかハードだが、そんなことを言っている暇はない。
2階と1階を繋ぐ階段の踊り場から外に出て猛ダッシュする。ここから大学まで歩いて12分だから走ったらなんとか講義開始の9時までには間に合うはず。俺はそう信じてひたすら走る。講義室の後ろ側のドアが見えてきた。
腕時計を確認すると58分を指していた。
ギリギリセーフと思いながら息を整えるために歩く。そして、音を立てないようにそーっとドアを開けると手前に見知ったふたつの横顔があった。
「お〜、何とか間に合ったな〜!ほんとに俺が電話しなくてこの講義受けれなかったらどうするつもりだったんよ?」
「信じてたぜ!相棒!」
「また調子のいいこと言って〜、ほらこれ今回の課題!」
「ありがと!マジで助かる!」
氷翠からプリントを受け取る。
「本当にギリギリの生活してんな〜」
「いや、迴斗も5時まで一緒にゲームしてたろ!」
「その時間から寝る心渡がおかしいんよ〜。
5時に寝て9時に大学なんて無理に決まってんだろ〜」
「てことはオールしたん?」
「いえあ」
「相変わらず不健康生活送ってますね〜お二人さん。」
氷翠が横から口を挟む。
「大学生になったんだから夜更かしなんて当たり前だよな迴斗〜」
「当たり前やん!夜更かししてない氷翠の方がレアだって〜!」
「いや、夜更かしはお肌の大敵だからするわけないでしょ〜。」
ここでチャイムがなり、教授の授業が始まる。
できる俺はスマホを取りだし、ニュースをみる。
なになに?できる人は単位ギリギリにならないし、朝から友達に起こしてもらわないし、講義中にスマホをみないだって?
勘のいいガキは嫌いだよ。
ニュースによると、この大学周辺で高校生が大型トラックに轢かれたらしい。未だに犯人は逃走中との事なので早く捕まってほしいものだ。
「いや〜、怖いよなその事件ここら辺だから尚更だわ〜」
迴斗が横槍をいれてくる。授業に集中して欲しいものだ。
やれやれ。




