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勇者の教育

この国では早朝1番に訪ねるのがマナーなんか?

あまりに常識が違いすぎる。対応できる自信がなくなってきた。



いや、違うっぽいな。後ろの3人中2人はフラフラやし。

絶対ソシャが振り回して突撃してきただけやわ。



「こちらが歴史の講師でカレンガ先生、剣術を担当されるチェカルディ先生です。そして魔法の講師を担当されるルノー先生です。」



そんな一気に紹介されても、朝一の突撃で頭回ってないし

そもそも人の名前覚えるの苦手やから頭に入ってこない。



「それでは早速第一回目の講義としてこの国でのマナーについて始めさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」



「え?今から!?」



冗談じゃない。早朝に叩き起こされていきなりマナーの講義なんか受けれるか!

「すみません。昨日は慣れない謁見で疲れてまして。講義は午後からにしてもらえないでしょうか?」



「かしこまりました!では改めてお伺い致しますので、よろしくお願いします」

そういうと他の講師を連れて去っていった。



こっちがマナーを教えたくなるような講師やったなぁ。

ちょっと午後が憂鬱や。

午前は能力の確認をしておこう。

ステータスオープン



名前:白銀 上総 76.4

年齢:22

クラス:勇者

Lv.5

HP:20

MP:10

ATK:50

DEF:50

RES:10



スキル:

回復魔法Lv.2

呪い耐性Lv.1



ギフト:

生物のステータスに干渉し、奪い与えることが出来る



昨日は気づかんかったけど。

年齢が22になってる

これは召喚の影響なんか?



鏡を見ると疲れたアラサーの見た目から新卒の時くらいの見た目に若返っている。



これに関してはアラサーのまま魔王と戦わされるのは勘弁したいから文句はない。

問題はこのチートギフトやな。



ステータスに干渉して奪えるってことは

スキルとかギフトも奪えるってことか?



出来ることを試していきたいけど

鑑定士がおる以上不自然にスキルを増やすわけにもいかんし、

周りの人からスキルが消えたりしたらギフトの嘘がバレるやろう。



干渉できるということは見るだけでも出来るんじゃないか?



「ナタリアさん、紅茶をいただけますか?」

「かしこまりました。」



紅茶を注ぎにきたメイドに対してステータス干渉を試みる

見えんな

他人のステータスは見えないのか?

じゃあ奪うものはランダムか?

「シロカネ様紅茶の用意が出来ました」

発動に何か条件が

「シロカネ様?」

「あ、ああごめん。ありがとう」

紅茶を受け取る時にナタリアの指先がわずかに触れる



名前:ナタリア エドワーズ 42.2

年齢:14

クラス:貴族

Lv.14

HP:10

MP:20

ATK:5

DEF:5

RES:5



スキル:

生活魔法Lv.3

礼儀作法Lv.7

演算能力Lv.4



ナタリアの指が触れた瞬間

頭の中にナタリアのステータスが表示された。

「なっ!」

突然の情報量に驚き、紅茶を落としてしまった。

手を離れたカップは、ゆっくりと重力に引かれて床へと向かう



淹れたての紅茶は自由落下を始めたカップから

ぬるりと顔を出し、飛沫の一つ一つが鮮明に・・・



パリンッ



「申し訳ございません!お怪我はありませんか?すぐにお召替えを用意いたします!」

慌てて部屋から走り去るナタリアを呆然と見送った。



「なんや今の」



今までバスケの試合中にゾーンに入ったように時間が引き伸ばされる感覚はあったけど。

今のはその比じゃないくらい周りがスローに見えた。



それより、ナタリアのステータスが見えた。

指が触れてる間だけ、発動条件は直接接触か。ナタリアは手袋してたし、衣類程度の間接接触は大丈夫なんか



「すみませんナタリアさん。お怪我はありませんか?」

「私は大丈夫です。」



「それはよかった。ところでスキルというのは生まれ持ってのものなのでしょうか」

動揺したタイミングでの質問ならかわせまい



「え?スキルですか?スキルは研鑽によって得られるものがほとんどでございます。中には生まれ持った特殊なスキルもあるようですが、どんなスキルがさらに該当するのかは存じ上げません。申し訳ございません。」

ナタリアは深々と頭をさげる。



「いや、頭を上げてください。少し気になっただけなので、ありがとうございます」



少し安堵の表情を浮かべるナタリア

そういえば普段から緊張してるな



「そんなに萎縮しないでください。あなたに危害を加えたりしませんよ」



「お気遣いありがとうございます。しかし、勇者様のご機嫌を損ねることはこの国の未来をも左右しかねないことなので。」



あーね。なるほど。

それは緊張するか。



「大丈夫です。気軽に話してもらえた方がこちらも過ごしやすいので。もう少しラフに対応することを検討してみてください」



「かしこまりました。お言葉に甘えさせていただき検討致します。」



ビビられながらお世話されるのは居心地が悪いし。

そもそも庶民の俺がお世話されること自体落ち着かん。



ほんの少しだけ、メイドとの距離が縮まった。気がする。



午後になり、マナー講師が来てしまった。

「ご機嫌麗しくシロカネ様!」



ハイテンションマナー講師ソシャの1時間半にも及ぶ講義は

座学なのに酷く疲れた。



そのせいかスキルに礼儀作法Lv.1 精神攻撃耐性Lv1を獲得し、RESか10→15に上がっていた。



アイツの講義は精神攻撃判定なのか。

まぁ、耐性はいくら積んでも無駄にならんし

これはこれで有意義なのかもな。



続いて歴史の授業が始まった。

「改めまして歴史を担当します。ロマン・ル・カレンガです」

この国は620年前に魔族の王を討ち取った英雄王アルマン・デル・シヴィルが建国した。歴史ある王国です。

多大な犠牲を出しながらも魔王を捕え、公開処刑しました。

その武功を讃え、英雄王となられました。

それからも魔族との衝突は度々起こっていましたが、大きな戦争に発展することはなく小競り合い程度です。

しかし、5年前に突如新たな魔王が台頭し、辺境の街を丸ごとたった一発の魔法で消滅させて宣戦布告した。

その魔王に対抗すべくサンコッテ教の大司教が勇者召喚にて魔王に対抗すべしと啓示を受け、シロカネ様の召喚に至ったのです。



なんてはた迷惑な。



魔族は、王国民とは全く違う魔法形態らしく

防衛機構が全く機能せず苦戦を強いられているのが現状らしい。



前魔王が討たれてから600年以上経ってるのに、何故今になって宣戦布告してきたのかは謎だそうだ。



「魔法形態が違うっていうのは・・・」



バンッ!!



「勇者様!剣の鍛錬に討伐へ行きましょう!」


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