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ふたり55


 「ごめん、遅れましたあ」


「てめえ!このやろお!」


「りょお!!俺まで待たされるハメになったんだぞおお!!」


「うおお!いでででで!ごめんなさい!ごめんなさい!痛い痛い!」


直ぐ近く、スマホに夢中な二人に謝罪を吐けば、二人が俺に飛び掛かってきた。

そして連携の取れた関節技に俺は唸る。

 少なからずの予期はしていたけれど、『ふたり』の声が聞こえないからか、二人の距離感を見誤っているように感じる。


 「ふう、スッキリした。あんたマジで、何考えてんのよ。どことっつき歩いてたのよ」


「そうだそうだあー、心配してたんだぞー」


やっと離れてくれた二人に謝罪を吐いても意味はなさそうで、その二人の口からは罵声が飛んでくる。

 そんな二人を面倒くさいと思ったのかはわからないけど、俺は目を細めた。


「み、道に迷っちゃいました…」


「てめえ!このやろお!嘘つくならもっとマシな嘘つけやあ!馬鹿にしてんちゃうぞおお!」


「いでででで!参った!まいりましたあ!」


「あやねぇ、いいぞいいぞー。もっとやってやれえー」


 吉田からのヘッドロックに降参。

進藤は止める様子もなく、興味なさげにスマホをいじっていた。


「うはあ、すみませんでしたあ。眠くて休みました、あと道で転んで手に枝が刺さったから病院に…」


 吉田から解放され、『ふたり』ないない中、休んだ言い訳は、我ながらに良い線を踏んでる。


 「ふーん、で?」


「でえ?なんすか…まだ何かあるんすか?」


「れーんーらーくー無視、なんで?」


「あっ、いやそれは…スマホの充電がなくて…」


「んなわけあるかあ!てめえ!!」


「うおおおお!!痛い痛い痛いっ!」


「おーい綾音、俺もう帰るぞ」


 どうして、俺が吉田に絞められなきゃいけないんだ。そんな文句の途中、進藤が俺らのいざこざに飽き飽きしたのか、鞄持って歩き去っていく。


「ちゃんとしろよな、おまえ」


 吉田も進藤の声を聞いて俺から離れる。鞄を持って進藤とは逆の方向。


「なんだよ、まったく。用事もないなら来なくて良いのに…。なあ…いや。なんでもないよ」


『ふたり』は意地でも話さないからか、二人から理不尽にやられた俺は話す気もなく、静かになった道路から、目の前にある家に入っていく日常。

変わりのないはずの光景に違和感を覚える俺は何を期待していたのだろうか。


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