ふたり36
「涼くん、夜歩くの好きなんだね。私もたまに歩くよ」
「まあまあかな、でも昼間はいつも眠そうでしょ?眠そうと言うより寝てるか…。原因はこの散歩のせいなんだけどね」
『僕の家から歩いて五分程で交差点を渡る。さらに五分ほど掛けて、君の家に着いた。そして、僕の家の敷地よりもニ倍は広い君の家』
「すげえ、逆に泊まりに行きたいくらいだよ」
「広いけど寂しいんだよね、この家。じっちゃんとばっちゃんは二人とも優しいけどね」
「だれそれ?」
「今のお父さんとお母さん見たいな人のこと、私が勝手にそう呼んでるだけ」
「ま、まあ…今日はありがとう。僕も怜奈のこと少しだけ知れたし、嬉しいかな。ちょっと考えてみるよ」
「考えるって、なにを?」
「んー、色々かな。『ふたり』も、たぶんそのことでうるさくなると思うし」
「おー!なんか嬉しいかも。そう思ってくれると」
「じゃあまた、明日」
「うん、、あっ。涼くん明日も一緒に学校行こ」
「うん、わかったあ」
『今日二度目の「また明日」に確信を持ち。君からの明日の誘いに了承。静かな夜が戻って来れば、この道に見覚えもあって、慣れている事を今に気づく』
「この家さ、前から広いなって思ってたんだよなあ。君の家だったんだな…」
『ひとりの足音。そろそろ知らない道に辿り着きそうだ。でも、ここから前に進めば夜までに戻れなくなりそうで、明日を考えてしまうと、もう直ぐ引き返した方が良い気がしている』
「うぅー!そうだなあー」
夜、知らない道に辿り着いたけど、やっぱりこの先は行かない方が良い。また夏休み中にこの先へ歩いていければそれで良いか。
『来た道へ引き返して行く。足もくたくたで。微妙な汗が滲む。こんな帰り道に思う事はひとつで。それは、小説を読んでいた方が楽しかった』
「おい、そんなこと言うなよ。せっかく歩いて来たんだからよー。それに明日も明後日も午前中までしか学校はないんだから。丁度よかったろ」
『いいや、こんなに疲れるならゆっくり部屋で夜風を浴びながら文字に浸ってた方が好きだ。でも今日はとんでもないイレギュラーがあったから、どの道歩いてた』
「確かに、そうかも」
『今更に、こんな帰り道で君の事を思い出すけれど、未だに君に興味が湧かないのはどうしてだろう。いや、それはわかる。それは…』
「やめろ、今日はただ。疲れたんだよ…」




