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ふたり32


 「何が良い流れだよ!ぜんぜん空回りしてたわ!うわっ、恥ずかしかったあー!最悪だっ…」


まったくもって難しい距離感だった。

でも、君はスマホいじってなかったし、別に退屈はしなかったのかな。そう上手く捉えた方が良い気がする。


 「涼おー!ごはーん!」


「はーい、今行くよー」


『自分の部屋、夕飯ができるまでの間に小説を読んでいた。だいぶ話も進んで来て、面白いところだったけど、母さんの呼ぶ声と、先ほどから鳴っていた自分の腹の音には敵わず。静かに小説を閉じた』


「面白くねーな、小説って。何を思って読んでんだ?」


『はあ、これだから馬鹿は困るんだよ…。まず言葉の意味もタイミングも全てに意味があるんだ。見えない景色を見ようとしながら、嗅げない匂いを想像しながら。こんな感じなのかな?って疑いが湧けば…そうなったら、それはもう小説に魅せられた証拠だ。言葉でもなく口でもないもの、この文字だけが小説を完成させてくれるんだ』


「ふ、深いなあ…。腹減った!」


やっぱり、あんまり小説は好きじゃない。興味もないし、そもそも文字が嫌いだ。

『ふたり』の願いに応える為、強制的に読まされている。でも、なんだか…。時間が過ぎる。

 夜が早い気がする。

薄暗い部屋。網戸にから入る風が薄いカーテンを靡かせる。その瞬間に俺は、夏の夜。そんな臭いを連想させてみた。

こんな感じなのかな。


『何してんだよ。早く夜ご飯食べて歩きに行くんだろ?』


「あぁ、いや…うん」

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