ふたり31
全然会話続かないじゃんか!
だめだ、『ふたり』の思考も止まってやがる。
コイツ、提案しといて危機に至ったら黙るのかよ。
なんて奴だ!
「涼くん?」
「ふ、二人で行きたいかも…そう。二人だけの方で考えてる」
『気まずい質問にぎくしゃくしているのは僕だけ。それに、僕の考えた会話の流れを口にしたのはお前だ。僕は悪くない』
こいつっ!あっ!
「痛っ!くっそー、吉田の奴ぅ、手加減知らねーのかよー」
「ぜんぜん大丈夫じゃないじゃんー、ほら、ちょっと見せてー?」
『隣にいた君は突然に僕の目の前近く。左頬に当てた僕の手をそっと触り、腫れた頬を観察し出した。
やっぱり、痣になるね。帰ったらちゃんと冷やして」
「う、うん。わかった」
近いっ、君の顔なんて見れない。目を右上を向けて空を直視。これで気恥ずかしさは誤魔化せているのかはわからない。
まあ、素直に真剣な君は今俺の気持ちなんて考えてないだろうし、別に大丈夫だ。
『また歩き始める。そろそろ僕の家。会話はなくて、先ほど聞いた君の行きたい場所。そんなことも聞き出せないまま、君を視界から外す僕。いったい何をしたいのだろうか』
「そうそう、山にいきたいかな、川沿いとか、景色がいい観光スポット?キャンプとか?」
「そ、そっか。わかった…じゃあちょっと調べてみるよ。怜奈も行きたい具体的な場所があればまた明日教えてよ」
「うーん、わかったー。じゃあバイバイぃーまた明日ねー」
「うん、また明日」
「ふたりくんも、バイバイー」
『挨拶をし、歩き去っていく君を数秒見つめたあと、頬の痛みと僕と君という人間の間。不思議な距離感に悩まされる。まあ、先の夏休みの予定を聞き出せたから、良い会話の流れを感じ得た気もする』




