ふたり30
「あー、痛いっ」
「赤くなってる。あれ、ちょっと腫れてない?本当に大丈夫なの?」
『それほど日も沈んでいない帰り道、じわじわと鈍い痛みを感じる左頬。君にまで心配されている僕は情けない。しかし、それはそれで良い気分だ。そう思う僕は気色が悪い』
「まあ、うん。大丈夫かな…」
別に、良い気分なんかじゃないし、大丈夫でもない。結構痛いし、結構腫れてるのを自分でも感じる。
たぶん、カバンに入っていた水筒が当たったのか、違う硬いものが当たったのかはわからないけど、今も頭に響いてきてる。
「涼くんって、だいぶ鈍感だよね…」
『マジで鈍感』
「あぁ、『ふたり』も僕のこと鈍感って言ってるよ」
「ほらー、やっぱり私は見る目があるなー。涼くんのこと好きになれてよかった」
「僕もだよ、まだ全然怜奈のこと知らないけど。これからもっと知りたいし。あっ、そうそう。母さん喜んでたよ、今度からは「卵焼きいっぱい作る」って言ってた」
「そっかあ!じゃあいっぱい食べれるね!」
「あと、今度さ、家に泊まりに来いって…」
「えっ?」
「いや!違くて!母さんには友達が食べたって言ったから。友達なら家に泊めても良いってことで、別に僕が怜奈を誘ってるわけじゃなくて…ごめん。変なこと言った」
「涼くんってだいぶ大胆だよね…」
「そりゃあ、どうも…」
「うそうそ、わかってるから大丈夫だよ」
『ぎくしゃくする会話。僕が会話の流れを支持してやろうか?なら、会話の続くお題をひとつだけ教えてあげよう。先にある夏休みの旅行』
「そういえばさ、夏休み中行きたい場所とかある?目星付けば、その…泊まりで。一応考えてるんだけど」
「あー、四人のやつ?それともふたり?」
「……」
『…』




